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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第五章 ドリドゲス 編
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宿場町

平坦な道をただ進む。

体に当たる風と立ち込めた草木の香りがたまらなく気持ちが良くて気分も上々だ。町での一悶着の後、遅れた時間を取り戻すかのようにドリドゲスは疾走した。ただ、ドリドゲスは何かを振り切るような気持ちで走っていたのかもしれない。いつも以上のスピードだったのかあっという間に宿泊予定の町に到着してしまったのだった。


夕方ぐらいには着けばいいかぐらいの気持ちだったのに空の光は少し傾いた程度。地図を広げて見ると港町ヴィルポルトまでの距離はもう目と鼻の先でどうするか悩んでいると。


「ブルルッ」嘶く、ドリドゲスが全然余裕なんですけど?むしろまだ進みたいから行くけど良い?なんて視線を向ける。俺としても進めるなら進んでしまいたい気持ちがあったからドリドゲスに合図するのだがレミナは眠そうで少し機嫌が悪そうだ。


「どうしたレミナ?」

彼女の顔を覗き込むように見ると白目をひん剥いて寝ている。ダメだ!この顔は見ちゃ駄目な顔だよ!まだ幼さの残る顔をしているけどレミナは結構な美人な顔立ちをしているのにこれでは残念美人だよ。

少し早い時間だがこのままではレミナの顔面がへしゃげてしまうのではないか?なんて冗談を考えてドリドゲスに合図する。「ヒ~ン」返事したドリドゲスはゆっくりした足取りで予定通りの町の入り口へと向かった。


前の町とは違い入り口に門兵は立っておらずそのまま入ってもいいのかと心配になる。そんな事お構いなしにドリドゲスはぱかぱか勝手に進んで行くのでそれにまかせて運ばれて行くがどこに泊まるか分かっているのだろうか?進むのはドリドゲスに任せておいて俺は地図に目をやる。

地図には細かく文字が書き込まれていて、この宿が良いとかここの食べ物が美味しいとかまるで旅のガイドブック並みの情報量で今後ともお世話になりそうだ。


この町に来て他の町との違いを感じる。

女性の多かったぐにぃの楽園とは違い野朗の数も多く存在しているようだ忌々しい!!町とはいっても多くが旅の者のようで宿の数が圧倒的に多く宿町といった方がしっくりくる。ドリドゲスの動きが止まり顔を上げると他の宿より数段豪華な造りの宿ルクスの前に居た。宿の前にはドアボーイだろうか?一人の男性が佇んでおり彼はコチラに気が付くと頭を下げてから近づいて来た。


「お疲れ様でございます。本日はこちらにご宿泊なられますか?」

「二人と一頭なんだけど大丈夫か?」

「馬は裏に専用の厩舎がございますのでこちらでお預かり致しますのでお客様はどうぞ中へ」

「あぁ頼むよ、ドリドゲスも今日はゆっくり休んでくれな?」

「ヒンッ!」


荷解きをして未だ白目をひん剥いているレミナを担ぎ中へ入った。石造りの宿の中には直ぐに受付があり女性がこちらを見ると直ぐに頭を下げて挨拶をくれる。


「二名様で宜しいでしょうか?」

流れ作業のようでいてきっちりとした対応で出迎えてくれた。肩に担いだ白目の少女を見ても何の反応も無く逆にドキドキしてしまうけど、何も言ってこない以上は俺も平然とした態度で臨む。

「三階の三号室しか空いておりませんが宜しいでしょうか?」

空いてる部屋がそこしかないので選びようも無い。

頷きで返事をすると部屋の鍵を渡してくれた。

支払いは今するのだろうか?取りあえずお金を出そうとすると手で制される。

「代金は翌朝にお支払い頂く事になっております」

笑顔で言われたので礼を言ってから三階へ上がった。


室内にはベットが一つに風呂とトイレだけの簡単な造りになっているが内装や調度品は一級品のような雰囲気だ。肩にぶら下がってる白目をベットに寝かせた瞬間にカッと目を見開いたレミナと目が合った。


「主様!」

本当はずっと起きていたんじゃないのか?

眠気を感じさせない声色がそう思わせてくる。

でも狸寝入りを決め込む為に白目なんてわざわざ剥くのだろうか?俺はレミナのデコに軽くチョップを入れてから隣に座った。


「主様?」

「今日のドリドゲスは何かおかしかったけどレミナは心当たりとかないか?」

どうも頭から今日のドリドゲスの行動が離れずにいたのでそんな話題を振った。賢いドリドゲスがあんな事をするには何か意味があるんじゃないのか?

そんな疑念のようなモノがどうしても生まれてくるのだ。


「レミナにも分からん。でもドリドゲスがいつも違うのは分かった」

「レミナにも分からんか~」

「でもレミナ的にはあの水が怪しいと思う」


なぜお前は眉間に指を当てて某刑事の真似してんだよ。でも、レミナの言ったことは間違い無いしそれが答えだと思う。癒しの水。どこぞの魔法使いが製造販売でもしてるんだろうか?だが、そんな物があるならもっと有名で出回ってそうなんだが。

ヴォルマでもジョコラでも聞いた事が無いからそう言う訳でもなさそうだし。


「どうした主様?」

「癒しの水って本当にあるのかなぁ~と思ってさ」

「レミナはあると思う」

「その心は?」

「ドリドゲスがあんな事したから」

「・・・なるほど」


確かにそうだ。偽物があるってことは多少の尾ひれが付いていたとしてもそれに順ずる何かがあるハズなのだ。でも、ドリドゲスに聞いても言葉のキャッチボールが出来ない以上は聞きようも無いんだよな。


「あんまり気にしても仕方ない」

「まぁそうだわな・・・それに旅をしていれば何か分かるかもしれんしな」

「そうだ!」

「取りあえず保留だ!」

「それがいい」

「飯でも食いに行くか?」

「おー!」


レミナを連れて一階におりると受付の女性が「おでかけでしょうか?」と丁寧に聞いてくるものだからどこかに良い食事の店が無いか?

訊ねると笑顔で「二階に御座いますよ?」ときたもんだ。しかも、頭を傾けて言うのだから断るに断れないのだった。店構えも良いし不味いもんなんて出さないのは分かるんだが、それに見合う金額になりそうで怖いのだよ。俺が稼いだ金なら全然構わないけどルナから貰った金だ、なるべく出費は抑えたいのが本音なんだ。


そんな俺の心を読んだのか「ご宿泊なされるお客様には朝食のみが付いておりますが、夕食などもこちらで食べて頂けますとお安くなりますのでお気兼ねなくご利用下さいませ」もう断れないと諦めて礼を言ってから二階の店へと向かった。


フルコースでも出て来るんじゃないのか?なんて内心ドキドキしたのが馬鹿らしい。なにせ店に入るとビュッフェ形式なんだ。魔法を使い冷めないようになっている技術に興味が沸くが流石にな?

レミナに手を引かれて行くと店員の格好をした女性が席に案内してくれて店のシステムを懇切丁寧に教えてくれた。聞くところによると、この形式で食事を提供しているのはこの町ではココだけとの事。


入店されるのは良いけどどうしていいか分からず右往左往する客が多いらしい。レミナにも説明してやると目が完全にキラキラしている。駄目だコイツ絶対に馬鹿喰いするつもりでいる・・・。

あまり喰いすぎるなよの注意勧告だけはしたけど果たしてどこまで効果があるのか計り知れない。


結局、皿にこれでもか!というぐらい様々な食べ物を盛りに盛った馬鹿がトコトコ歩いてくる姿を見て店員に頭を下げることになったのは言うまでもない。

となりでモグモグ食べ続けるのを見ているとこんな体の何処に入るのかが気になる。俺は俺で食べたことの無い料理ばかりを選んで食べていたが、さり気なく人の皿にまで手を出してくる始末で俺も負け時と馬鹿の皿に手を出したらマジ切れされたのだ。食べるペースが落ちず居心地が悪くなってきたところで部屋に戻る。そこにはいつもの如くお腹をぷくぅと膨らませた河豚がベットで寝そべる光景を見ることになった。


数時間程そのまま過ごしてから風呂へ入る。

レミナはベットで「うっぷ」とか「うげっ」とか声を鳴らしている。俺が風呂へ入ると準備をしていると察知しとてとて付いてきて振り返るとあの星人が立っていて「剥けぇえええ!!」などと叫ぶのだよ。


「剥けとか言うなよ」

「ふきゅうぉにゅがしてきゅりゃしゃい!」


服越しにほっぺを両手でぎゅうと挟んでやると星人がもがいているのが分かる。暫くそのままにしていると「主様、吐きそうだから止めた方がいい」

最終通告されたので止めて服を脱がしてやった。

お風呂戦争もいつも通りに催されて風呂から上がる頃には程良い感じに眠気が襲う。レミナの着替えを手伝いベットにダイブしてからそのまま落ちた。


それ程疲れていた訳でも無かったが一瞬で朝になっていた。昔なら損をした気分にもなっていたけど今の俺にはそんな感覚は生まれることは無かった。俺の上で百八十度回転した状態で寝ているレミナがいる不思議だけは理解出来ないが両手で彼女の太ももをぐにぃしていたのだろうな。


「あっ~じぃさま・・・ぐにぃ・・・しないでぇあ~うぅあぁ~」

うなされる様に寝言を吐き出すレミナの太ももを起きるまでぐにぃし続けてやった。

「主様・・・ぐにぃは禁止!いい加減にしろ!」

「なんだよレミナ!一々気にするなよ?」

「気にする!」

「なんでだ!何時からそんな子になったんだ!本当に信じられんヤツだな!!」

「主様!レミナの股開いてまでぐにぃする意味が分からない!」

「女の子が股とか言うな!」

「注意しながらぐにぃしてる主様には言われたくない!」

「うっうぅ~・・・」

「主様どうした?」

「レミナが虐めるよぉ~うぇ~」

「レッ、レミナはそんな事しない!」

「だってぇ~ぐにぃしただけなのに怒るんだもん」

「普通のことなのに何訳の分からん事言ってんだ」

「次から着替え手伝ってあげないもんね」

「それは卑怯!」

「卑怯じゃないもんね!そもそも自分出来ればいいだけだもんね!」

「うぅ~」

「ぷんぷん!」

「うがっぁ~!!」


噛まれた。腕を脚を脇腹を。仕返しに太ももと二の腕を噛んでやったけどな!結局はいつも通りの感じに戻り何も解決しないままに朝食を取り出発となった。受付で払った金はそこそこしたけどお金には全然余裕があったお陰で当分は不自由しなさそうだ。


出来る限り節約が必要なのは変わらずだが、自分でも多少は稼ぐ必要もありそうだな。

ギルド登録してるし適当にモンスターでも狩れば買い取ってくれるだろうと皮算用もいいところであった。

本話もお読み頂きまして有難う御座います。

ブックマークをして下さっている方にも感謝です。


もう少し物語の展開を早くした方が良いのか?

それとも会話を沢山入れたほうがいいのか?

なんてことを悩みながら書いています。


もし宜しければ色々なご意見を聞いてみたいです。

とは言え、実はこの章は既に全話書き終わってたりするのですが・・・。

気兼ね無くコメントなどを頂けると有りがたいと思います。


それでは次話以降もどうぞ宜しくお願いします。

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