ギルドでぱぁ~ん
ルビネラはそのまま滞在することになった。
なった、というよりも彼女自身もジョコラに降臨すること自体は数百年振りらしくゆっくりしたいとの事だった。タンテ達、龍殿で働く者達は彼女の降臨を相当喜んでいるようだった。
やはり祭られるだけの存在の彼女はジョコラにとって奇跡のようであり、伝説なのだそうだ。偉そうに話す彼女だがその顔には懐かしむようでいて嬉しいという気持ちがあるみたいだ。あの空間で訓練していた時に偶に見せる笑顔以上の笑顔があった。
その日は色々な人達と話をしたりで時間を取られていたが笑顔の彼女を見ていると俺もなんだか嬉しかった。結局、俺とレミナは二人で街の散策に行く事にして時間を潰すことになったが、リエラがどうせならギルド登録でもしてきたらどうか?と提案してくれたので登録しにギルドへ向かった。
ギルド登録するメリットは正直俺には無いかもしれないとの事だが手紙を出したり連絡を取る時に役立つようだ。手段があるのは良い事だしいざと言う時に役立てばそれで儲けもんだしな。
ジョコラのギルド本部へ入り受付へ向かう。
本部内にはゴツイ野朗共で溢れていると想像して若干ながら入るのを躊躇ったけど、ジョコラも男性より女性が多いらしくその想像は簡単に打ち消された。
ローブに身を包んだ女性やデカイ剣を背負った女性など色々な装備の女性で溢れていた。天国だ!ここは天国なのか!!小さいぐにぃから大きいぐにぃまでたくさんのぐにぃがここにはある!俺も男だ!こんな光景みたらテンションもあがろうて!
「主様・・顔がへしゃべげてる」
「へしゃげてるとか言うなよ!」
「凄く汚い顔してた」
「えっ?そんなに?」
「気が付いてたのレミナだけセーフ!」
「よしっ!セーフなら問題ないだろう!」
二人揃って受付に立つと係りの女性が挨拶をくれる。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
丁寧な対応してくれるので気持ちが良い。
「ギルド登録したいんですが?出来ますか?」
出来るだけ俺も丁寧に接しようと心がけて言うと笑顔で「はい」の返事を貰えた。
「こちらにの用紙に名前と出身地、後は出来ればお願いしたいのですが遺品などお渡し出来る方のお名前を頂けると助かります」
「え?」
「ギルドでは命に関わる依頼などもあります。初めは受ける事は出来ませんけど遺品などの回収依頼なども偶にあります」
「依頼中に死んだ場合に連絡出来る人が居た方がいってことですよね?」
「そうなりますね」
ゲームじゃないんだしそんな事もあるのか。
でも俺は基本的に依頼を受けてどうのこうのって事は現時点で考えてないけど、書いておいて困ることも無いだろうし書いておくことにした。
「書けました!」
元気良く用紙を係りの女性に渡すとチェックしているようだ。女性が何度か用紙と俺を交互に見て「少々お待ち頂けますでしょうか?」と丁寧に言うので了承したのだが。何か変な事でもあるのだろうか?
苗字が無いからココで今考えて造ったのがマズかったのかな?心配になりながら女性が戻るのを待っていると奥からグラマラスなお姉さまが出て来た。
G級だ!G級を持ちし女性だ!登録だ!登録しておかないと!身長は170前後か?軽くウェーブの掛かった胸まである紫の髪に紫のローブに身を包んでいらっしゃる。唇には紫の紅を引いてなんだか凄くエロティックだっぜ!などと女性を見ていると。
「初めして、申し訳ないんだけど奥の部屋に来てくれるかしらん?」
「えっ・・・と」
「悪い事なんてしないわよん」
「はっはい・・・」
ねっとりした喋り方がまた凄くいいです!はい!たまりません!エロいです!テンション上がります!
ぼけっと立っていたらケツをレミナにぎゅーっとされて現実に引き戻された。
「主様!奥!」指を指して引っ張られる「ん?あぁ分かってるよ」と返事しながら奥の部屋へと入った。
「初めまして、ジョコラのギルド本部を取り仕切ってるファシナ=ベネラウラよん。べネラって呼んでね~ん」
「はっ初めましてべネラさん。俺はシンでこっちのちっこいのレミナです」
「ランザヴェール=シンちゃんねん?」
「はい」
苗字が無かったからヴェルさんとヴォルマの名前を頂いて合体させて貰った。俺にとって大切だから調度良いと思ったのだ。了承は貰ってはいないけどダメだとは言われないだろうと思う。きっとヴェルさんら構わないと言うだろうし、ルナなら笑顔をくれるハズだ。
「それから~レミナちゃんねん?」
「レミナちゃんだ!」
「んふっ。可愛い子は好きよん」
「べネラさんどういった用件なんでしょうか?」
「べネラでいいわよん?用紙には遺品預かりの爛にリエラ様の名前とヴォルマの王の名前があったから直接的に言うと嘘書いてるんじゃないかってねん?」
「確かに・・・怪しいですね!」
「ふふっん。それを書いたのは坊やでしょん?」
坊や扱いされてテンションあがりますけど!あがりますけど!!でも迂闊だったかな?確かに書いた二人の名前はどっちも王様だったし。せめて三侍女達の名前でも書いておけば良かっただろうか?
それなら問題なく終わってたような気がする。
「あ~それでしたら直接リエラか龍殿のタンテさん辺りに聞いてもらえば分かると思うんですけど」
「ん~。直接聞いた方が確かに早いわねん。ただ行き成りギルド側からそういった質問を上げるのもねん」
「取り扱って貰えないんでしょうか?」
「ぶっちゃけそうねん!一々構ってられないって言う兵士ちゃん達が多くて困るのよん」
「あのっ!べネラさん!!お城から使者の方がお見えになっておられますが?」
受付にいた女性が部屋へ入室して後ろにはティガトが立っていたのだった。
「じゃあ入ってもらってん」
「失礼する」
「ティガトさん!どうも」
「あぁシン殿!昨日は色々と迷惑を掛けたな」
「何かあったのかしらん??」
ティガトが件の事件を細かく説明しているとべネラは「あらん!それは大変だったわねん」と俺が嘘を付いていないと理解してくれたようだ。
リエラが問題があったらめんどくさいからとティガトに行って来いと顎で命令したようで、諸所の問題は無くなんとかギルド登録をしてもらえたのだが。
「それじゃあ~坊やには実績があることだものねん。そうね~事件の規模が規模だしねん?クラスは下から三つ目辺りがいいかしらん?」
「それが妥当だろうな」
「クラスがあるんですか?」
「そうだ、ギルドへの貢献度や依頼の処理数などでクラスは上がるのだよ。全部で六種ある」
「そうなのん、それで坊やは殆ど一人でこれだけの事件を処理しているからぁん。行き成り中堅クラスにしたのよん」
「クラスってどう別れてるんですかね?」
「下から御・獅・燦・仁・威・零となっている」
うわぁ・・・まんま数字順じゃないか。
当て字にも程があるぞこれは・・・。
なんか恥ずかしいんだけど・・。
「じっじゃあ俺は燦のクラスってことですかね?」
「そうなるな!正直これは凄い事なんだぞ?」
「そうなんですか?」
「そうよん?行き成り燦から始まる人なんて今までいなかったものん」
「主様凄いかもしれん!」
「坊やは凄いのよん?」
「はっ・・・はぁ・・・・」
「ははは!シン殿はそれだけの事を行き成りなしたのだぞ?もっと自信を持たなくてはなっ!」
「でも俺はレミナ助けるついでに一発入れていっただけなんですけど・・・」
「誰も血を流さずに助けれた功績は大きいのよん」
俺は変態を駆除しただけで本当に大した事なんてしてないんだけどな・・・。鈍器で殴ったら終わってたようなもんだしなんか腑に落ちないけど貰える物は貰っとくもんだ。
「それじゃあ坊やにはこのギルド専用のブレスレットを渡しとくわねん」
「これがあったらギルドの人間って分かる訳か」
「シン殿それだけではないぞ?」
「え?」
「いいかしらん?それにはどんな任務をこなしたとか記憶されるのよん」
「ハイテクな代物があったのかどんな原理だよ」
「魔法が成しえる技術の結晶よん?そこに魔力を流してみてねん!」
え・・。魔力を流さないといけないのか?
どっどどどどどうしよう!
俺にはもう魔力は無いから流せないんだけど。
だらぁ~と汗が流れていつまで経っても魔力を流さない俺に不審な目をくれてるし。
魔法は龍法の劣化品で模造品なんだよな?
じゃっじゃあ龍力流しても問題ないよね?大丈夫だよね?えぇえいままよっ!!勢いで龍力を流してみたらブレスレットがぼやぁ~と輝いてパァーンと砕け散ったのだった。
「あれっ?」
「うそん!」
「なっ!?」
「ぱぁ~ん!」
何で砕けたんだ・・・。
凄く少量の龍力しな流してなかったんだけど・・。
これはやってもうたか・・・?
「えっと・・・あのぉ~」
「砕けるなんて見たことないわぁん!」
「なっなにが起こったのだ!?」
二人が怪しいとの目で見ているのだがどうしよう?
「シン殿?一体何を?」
「あっあの!一度城に戻っていいですか?」
「あらん?なにか問題でもあるのかしらん?」
「いや!あのっ!」
「ダメよぉ~ん?逃がしてあげないわぁん」
「むがっふっううん」
「主様!ぐにぃきた??」
「いふふぁああ!」
べネラにチョークスリーパーでがっちりホールドされて動けない。素直に話せば良いかもしれないけど。あんまりぺらぺら喋るのは良くないんじゃないかと思う俺は頑なに沈黙を貫いた。あまり喋るのは良くないからな。ぺらぺらは良くないんだ!
「坊やには何か秘密があるのねん?別に詮索するつもりはないのよん?ただ見た事ないから興味は出るわよん?」
「ちょっどまっでぇ!」
ぐにぃが!ぐにぃが!気持ちい良いんですうぅううう!ティガトなんであんたは生唾をゴクっと飲んでらっしゃるのでしょうか?助けてよっ!おいいい!
「主様っ!凄いか?ぐにぃ凄いか!?」
んなこと言ってねぇで助けろってでぇぇえぇえ。
腕をタップしてギブアップの意思を示しているのに止めてくれなくてぐにぃが気持ちよくてどうしよう。何度か腕をタップしていたら「あんっ、イタズラはダメよん?でも坊やも男なのねんっ」触れてしまった、というよりぐにぃをペチペチしてしまった。ティガトが凄く羨ましそうな顔でコチラを見ている。
助けを求めますか?無理だろうなぁ~。
暫くそんなやり取りが続いてそろそろ俺も辛くなってきた時に助けが来た。いや降臨なされたのだ。
「べネラ?お前はシンに何をやっているんだ?」
「何かに付けて最低な事してるんだなゲロ野朗」
「リエラ様に・・そちらのお方は誰なのん?」
自然にべネラの力が緩んだ隙を突いて転がるように逃げ出し、見上げた場所にはルビネラが腕を組んで仁王立ちで見下してる。助かったのは事実であり俺は無実なんだ!でもそんな事を話してもうっさいゲロ野朗としか返事が返って来ないことなんてお見通しさ。だからやるんだ!
「ルビネラぁああもう少しで圧殺される所だったんだよ!」なんて技とらしく言いながら彼女の腰にしがみ付いた。それを見たレミナも真似して逆側から抱きついたのだ。「なっ!ちょ!引っ付くな!はなしぇ!」嫌だ!離したくない!より強く引っ付くとルビネラがプルプル震える。
「ルビネラ!助けてくれてありがとう!」
思ってもない事を言いながらレミナと張り付いていると顔が真っ赤になってる。はは~ん。これは行けますよ!レミナさん!とばかりにレミナと目を合わせてアイコンタクトを取り動く。立ち上がり俺は後ろから抱き着いて、レミナは前から抱きついてサンドイッチにしてやった。
「すんすんすん」
「くんくんくん」
「やめ・・・・」
「ルビネラはいつもいい香りがするんだよなー」
「ルビネラ良い匂い!食べれそうかもしれん!」
「うきゅ~」
「とりあえずルビネラ様から離れろ。止まってしまわれているだろうが?」
「え?分かった」
「わかった!」
何の躊躇も無く離れると心無しかルビネラは「え?もう離れるの?」見たいな顔していたから満更でもないのだろうか?椅子に座りなおすと膝にレミナがドンと腰を下ろしてきたので彼女の髪を弄りながら話を聞いた。真横に座ったルビネラはそれを羨ましそうな目で見ているのは勘違いだろうか?うん勘違いだろう。
「ジョコラ龍殿に祭られるルビネラ様本人だ」
「リエラ様、それは本当なのん?」
「嘘付いてどうするんだ」
「ルビネラ様がこんなに綺麗な方だったなんてん」
「口悪いけど本当ですよ?」
「余計だゲロ」
「で?ティガトまでいて何をしてたんだ?」
「もっ申し訳ありませんリエラ様」
「だってぇん!ブレスレットに魔力流したら破裂したんだものん!」
「何を言っているんだ?破裂なんてする訳がないだろう?アレには結界が付加されてんだぞ」
「しかしリエラ様!あっしも見ましたから嘘では無いですよ?」
「本当なのか?」
「ゲロには魔力にゃんて無いだろう?魔力無いから同じでぃやぁろうと思って龍力流したんだろう?」
「ダメだった?」
「ルビネラ!凄かったよ?パァーン!だった!」
「そうか!パァーンか!」
ルビネラはレミナの事を気に入っているらしく、俺にはしてくれない態度で彼女を扱うのだ!不公平過ぎるんだよ!俺に魔力が無いと知っているレミナとルビネラは普通に会話を続けているのだが、他の三人は魔力が無いと聞くと驚きを露にしていた。
「坊やに魔力が無いのならさっきのアレな何なのん?」早く答えろと言わんばかりに鋭い目が全然笑ってない、ルビネラの腰を指でぐにぐにして助けを求めると彼女は面倒くさそうに全てに答えてくれる。
「ルビネラ様?それは事実なんですよね?」
「にわかに信じ難いものだが」
「坊やって凄い子なのねん」
三者三様だったが理解はしてくれたようで何より。
「ブレスレットでギルド登録するって事はさ?俺には登録出来ないってことになるんだよな?」
多分何度やっても砕けて終いだろうし諦めるしか無い。登録出来ないとしても余り困らないから別にいいや、こんな事もあるだろう。
ルビネラがべネラに向かい手を出し「おい、そこの乳子!他のブレスレット持って来るといい」そう言うとべネラはさっきと同じブレスレットを手渡した。
「そもそも龍力を持ってるゲロにこんなものもちゅ必要あるのか?」
指でブレスレットをグルグルしながらリエラに訊ねる。
「ギルド登録しておけば何かと役に立ちますから私が薦めたのですが・・・」
「まぁいい、見てろ」と空中にブレスレットを放り投げたら地面に落下せずにクルクルと回転して浮いた。ブレスレットがぼやぁ~と光るとそのまま俺の方へゆらゆら飛行して掌に落ちた。
「それ付けて龍力流して見ろゲロりん」
言われるがままに付けて先ほどと同じぐらいの龍力を流してみると砕けることなく収まり、中心に添えられているガラス玉が白色から黄色に変色しキラキラと輝いている。色の変色に意味があるのかと訊ねようとリエラ達を見ると何度目だろうか?驚きの顔で俺とルビネラを交互に見ていたのだった。
「これ色変わってんだけどなんか意味あんの?」
単純な疑問として答えを求めただけなんだけど。
「リエラ様これは皇暁色ですよね?」
でかい図体のティガトがロボ見たいにカタカタ動くのに呼応してリエラもべネラもルビネラに答えを求めた。
「色の種類なんて知らんがこのゲロはしゅくなくともほぼ龍のそれと変わらんだけの力がありゅんだから驚く必要なんてない」それを聞いてダラリと汗を流したべネラが「オトシゴなのは理解したつもりだったわ~ん。でもこれほどだと」
「見た目は頭悪そうなギャキでも龍の姿のルビネラ様とまともに戦えるだけの強さはあっづんだぞ?」の言葉にもう驚き全快で。
「シンがそこまで強いとは・・・」
「ヒトの身でシン殿に勝てる者なぞおらんと言うことか」
「坊やだなんて呼べないわねん」
感想もそこそこに「レミナも戦えば結構強いよ?」
と俺が言うともううんざり顔へと変化していたのだった。
「主様に全然勝てない!いつもレミナの負け!」
んんぅ~と呻るレミナの頭を撫でてやるとふにゅ~と蕩けている。「おいゲロリン!」名前を一切呼ばなくなったから俺も負け時と「何だよ蒼パン!」で返す。何故にそこで少し赤らめますかね?
「うっ・・今から龍殿に戻るから着いてきょい!」
「なんかあんの?」
軽めの訓練をするのか?下手するとボコられるから気が重くなるけど、ルビネラの事だ俺を思ってだろうと思い素直に頷きで答えた。
お読み頂きまして有難う御座います。
ブックマークをして下っている方にも重ねて感謝です。
シルバーウィークなるものが差し迫ってきておりますね。
ここ最近は雨が多いので晴れると嬉しいのですが・・・。
皆さんは予定とかありますか?私は何もありません・・・。
なのでいそいそと龍軌伝の続きを執筆して行こうかと思ってます。
次話以降も宜しくお願い致します。




