急行した先に見た者
風が体に吹きつけ風景が凄い速さで流れていく。
かなりの速度で走り続けているがスピードが緩むことなど無く、街道を抜け林道に入ると更に速度が上がり駆け抜けていく。ただ相手が真っ直ぐに走ったかどうかなんて分かるハズも無いが、相手が魔法使いで助かったとつくづく思う。
レミナを攫った輩は慎重なタイプだと思うそれもかなり、一定間隔で同じ魔力の残光が目に付くのだ。恐らくは道を惑わす類の魔法を行使しているのだろう。効果の強いモノを一度ではなく、効果が多少なりとも薄くても連続使用する方が効率が良いのだろうな。なにせここは林道だ。普通に移動するだけでも同じような風景ばかりで進んでいるのか?
と感じてしまうような場所なのだ。
「ただし、エルフや俺のようなタイプには意味が無いんだけどな!」
「ヒ~ン!!」
「ドリドゲス!あまり無茶はするなよ?疲れたら速度を落としていいからな!」
「ヒヒヒ~ン!!」
「うぉっ!!どこまで速度上がるんだよ?それよりなんで上げるんだ?」
「ヒィ~」
「全然余裕ってことか?」
「ヒン!!」
「まったくドリドゲスは本当に凄い馬だな!」
「ヒヒン♪」
「なら頼むぜ相方!」
「ヒン!」
俺自身は魔力残光が見えていたのだが、こっちだあっちだ!なんて指示はしていのに、ドリドゲスは自分で見えてるからお前は乗ってろと言わんばかりだ。まったく天晴れな馬だぜ!元の世界にドリドゲスがいたら競走馬界で世界取れるだろう。
林道を蛇のように蛇行して行くと樹木が増え霧が薄く漂いだす。気味が悪く進むほどに霧が濃くなって行くにも関わらずドリドゲスのスピードが落ちない。ドリドゲスには何か見えてるのかと思える一方で俺には枝がバシバシ当たって痛いから体を屈めて回避に集中する。
林はもう森と呼べる風景に様変わりしていて二、三メートル先すら見えなくなっていた。俺の事を思ってなのか?それとも単純に危ないからなのか?
流石のドリドゲスも歩く程度の早さとなって進む。
「どうした?ここなのか?」と歩みを止めたドリドゲスに訊ねると「ヒンッ」と小さく返答したので音を殺して降りた。
俺が歩く後ろをドリドゲスも音を立てずにゆっくりとした歩みで続く。進んだ先に洞穴への入り口を発見した。ドリドゲスを見ると小さくブルルッと返事をくれたのでここで合っているらしい。
ドリドゲスにここで待てと手で制して奥へ進む、薄暗い洞穴の天井には鍾乳石がいくつも釣り下がっていて水がぽたぽたと滴り落ちている。出来るだけ体を屈ませ進む先から曇った声が響いてくる、数人の男の声だと分かるがここで出て行くのは早計だともう少しだけ接近して様子を伺う。
「にしても流石は元魔法兵なだけはあるな!」
「ジョコラの警備体制の穴なんて俺達だけじゃ抜けきれなかったぜ!」
「アンタはいいのか?国で兵の仕事をしてれば生きるに困らないだろうよ?」
「俺は自分の強さを確かめたいと常々思っていたのだよ。それに商売にも興味があったのでね」
「それでも一月でこれだけの奴隷を集めてしまうとは恐れ入ったぜ!」
「あぁ!!それにエルフもいやがるぜ・・へへ頭!味見させてくれよ!」
「まぁ待て、今日連れてきた中にガキが混じっていたようだが?」
「単純に趣味だと言えば理解してくれるか?」
「別にあんたの趣味をどうのこうの言うつもりなんて無いよ!なぁ頭!」
「実際、ほとんどあんた一人でやったんだし俺は文句なんてねぇぞ」
「ふっ・・・まぁいいだろう。今日ので十五人も集まったことだ好きにしろ」
「やったぜぇ!!この前から袋叩きにしてるヤツはもう飽きたからな!」
「お前って本当変態だよな・・・」
「おいおい?俺は別に女を殴るのが好きな訳じゃねぇんだ!あの叫び声がたまらないだけだっての!」
「それを変態つーんだよ」
「そう言うお前はどうなんだよ!」
「俺か?俺は女の泣く姿が・・・」
「てめぇも人の事を言えねぇだろうが!」
「喧嘩するんじゃねぇよ!とっとと言って来い」
「「へいっ!」」
「あんたはどうするんだ?」
「俺はあのエルフを調教したいんでね。失礼させて貰うがあんたはどうする?」
「俺も同様だよ」
「はっ!移動は明朝にするからそれまでは互いに楽しもうや」
「あぁ」
足音が遠のいて行くのを確認し誰も居なくなった空間へ出た。攫われたのはレミナだけかと思っていたが十四人も同じ被害に合っている者がいるとは、何とも胸糞の悪い話をケタケタ笑って出来るもんだな。ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てないと駄目だ!それにあんなks共には鉄槌を下さんといかんだろう?あの変態野朗の趣味でレミナを汚すわけにもいかんし、他に捕まっている十四人には悪いが優先順位は付けさせてもらう。
「主様いない!嘘付いた!」
「大丈夫だよ?直ぐに来てくれるからね」
「お前怪しい」
「大丈夫だって痛いことはしないよ」
「あっちいけ!やめろ!頭どけろ!」
「ちょんなこと!いわにゃいでバブー」
「何を訳分からん事を言う!!」
「ばぶーばぶううう」
「どくといい!」
「ミャミャ~!」
俺が穴で区切られた部屋の前に立った時、元魔法兵と思われる男はレミナの足に顔を擦り付けようとしている最中だった。ゆっくり鈍器鎌を抜き取りケツをブン殴ってやるとゴロゴロ転がって岩壁に頭をぶつけて痛そうにしてる。
「主様っ!!」
にぃ~とした笑顔で俺の胸へダイブする彼女に成すがままにされているとボディーアーマーを装備してるかのような感じになってしまう。
「お前は何やってんの?」問うと「アイツ嘘付いた!主様の所連れて行く言った」やだ完全に騙されてるじゃないですか。
「あのな?いいか?知らない人に声をかけられても着いて行っちゃ駄目!」
「分かった!」
「本当か?」
「本当だ!」
「もうしないな?」
「やらん!」
「ならもういい」
「おー!」
痛みから解放された元魔法兵が立ち上がり俺を見ると物凄い嫉妬の目で睨んでいた。
「あんだよ?この変態バブー野朗」
「貴様は兵に捕まったハズだろう!」
「あ~リエラとは知り合いだからな?本人と会えば冤罪なんて直ぐ晴れる」
「っち!城に行く前に殺しておくべきだったか!」
「流石にバブーバブー言う変態には負けねぇよ」
「主様!この前寝てた時レミナの腕ニギニギしながら笑ってた」
「そんな事はありません!」
「そんな事ある!小さいぐにぃが!言ってた」
「それについては後でお話しましょう!」
会話をしていると誇らしげに魔法を展開した変態バブーが口を挟んで来た。
「ふふふっ。だがここで殺せば同じ事だろう?こう見えても私は闇魔法の三番目の濡まで極めた男だぞ?どうが?怖いだろう?だがもう遅いぞ?」
「極めるって闇の最高位は黛天だろう?三つ目で極めたとか言われてもハズかしくて外も歩けねぇよぷっぷ~!」
「ぷっぷ~!ぷぷっぷ~!」
「貴様らぁ!闇魔法使いのダークエクストラマスターの私を侮辱するのか!」
「なっ・・・ダーク・・・エクストラ・・・マスター・・・だとっ!!」
「ふふっ!どうやら私の凄さが理解できるようだな?ならば分かるだろう私を敵に回す恐怖がっ!」
「なんて・・・ヤツだ・・・」
「我が暗黒の牙に穿たれし者には漆黒の苦しみによって断罪されるのだ!」
「ぷっく・・・ぐっ・・・ふっ・・・ふっふふ」
「どうした主様?う●kしたいのか?」
「女の子がう●kとかはしたない事を言っては駄目です!ペチン!」
「あうっ!おでこ痛い!」
にしてもどんな世界のどんな時代でもこんなヤツって存在してるのか、なまじ魔法やらが本当にある世界だから性質が悪いけど。目的を達成した以上はコイツの相手をする必要も無いけど、こんなキャラのヤツに限ってしつこくてしぶといんだよな。
ダークエクストラマスターには悪いけど無力化させて貰うのが手っ取り早いだろうけどなんか相手するの嫌だ。幼女に向かって赤ちゃんプレイなんてレベルの高いことを平気でする変態だぜ?触りたくも無い!でもDEMさんの方はやる気まんまんで構えていらっしゃるから無視出来ない以上はやるしかねぇんだろうな。
「おい!貴様!ママ、ゴホッゴッホ!!!その子を返してもらおうか?」
「今さママっていったよな?」
「レミナ、ママちがう。頭大丈夫か?」
「ぐっ!やめろっ!貴様の力なんぞ借りなくても一人でやれる!」
「あの・・・そう言うのホントにいいんで、勘弁してもらえませんか?」
「主様!なんだアイツ!誰と話してる!」
「一人で話してる気分を味わってるんだよ?」
「なんのために?」
「友達いないんだろ」
「悲しいな」
「もう容赦はしない!行くぞ!ダークエネルギーフラッシュハリケーン!!」
「最早、形が見えねぇよ」
「ダークエネルギーフラッシュハリケーン♪」
「真似しちゃいけません!」
「えぇ~」
これ以上はレミナの為にならないので放たれたDEFHらしい魔法を豆粒サイズの蒼煉ぶつけて消し飛ばしてやった。驚きの表情を浮かべているDEMの顔面にグーをめり込ませてサクッと終わらせたのだった。
「主様・・・ダークエクストラマスター弱い」
「レミナ?これのことは忘れろ」
「ダークエネルギーフラッシュハリケーン!!」
「やめろ!!」
DEMの体をヤツの服で縛り上げて転がし、レミナを連れて一度入り口へ戻る。レミナを見たドリドゲスはむしゃむしゃと草を食べるのを止めヒンヒンと何かしゃべってるようにも見える。彼女もドリドゲスに会えたのが嬉しいらしく首に抱き付きふんふんと返していて、初めて会った時からそりが合うと言うべきか仲が良い。
大人しくここで待っていてくれと言い残すと俺は再び洞窟へと足を踏み入れた。DEMが居た部屋付近で女性の叫び声が響いてくると俺の足取りは速くなり音を頼りにどんどん奥へと進む。壁からメイドは見た!そんな感じで壁から顔をすっと出して覗くと目を覆いたくなるような光景だけがあった。
「もう・・やめて・・・おねがっいっ」
「駄目だ!まだまだ足りないんだよ!」
「いや~~~!もう止めて!!」
「そうだもっとだっ!」
「あはははっははは!」
女性が縄で縛られた状態で変態に足をペロペロされている。助け出すのは当然なんだが、こんな光景を見せ付けられた俺はどうしたらいいんだよ。俺がぐにぃを愛するようにあの変態は足フェチということなのか?足フェチでも度が過ぎていて気持ち悪いんだが。だが見捨てることは出来ない以上はやるしかねぇんだ!例え相手がどれだけ変態でもな!
なるべく触れたくないし触れ合いたくもなかった。だから鈍器鎌を槍を持つように構えてそのまま変態のケツに突き立てそのまま突き上げた。
「あひゃん!」変な声を出しながら変態は見事な縦回転を見せるとそのまま地面にへばり付いた。男の顔はコチラを見ているが何故だろうか?
苦悶に満ちたその顔の中には恍惚の表情が伺えるのだ。とても気持ち悪くて勢い余って蹴りを入れると簡単に落ちた。
縛られている女性の元に近づくと女性は更なる悲鳴を上げてもがいている。タイミングを計って声をかけても「嫌!こないで!もう止めてぇええええ!」と拒否の反応しか得られずで何も悪い事してないのに凹む。まずは解放して上げれば少しは冷静になってくれるハズだと思い、紐を切ってあげようと鎌を展開したのがマズかったようで。
「いっいやっ・・殺さないで!お願いします!なんでもしますから!ホラッ!あなたも足を舐めたいでしょ!好きなだけ舐めていいから!助けて!!」
別に足なんて舐めたくもないんだけど?でもなんでもするって?うへへへっ!!あかん!あかんのや!こんなもんは違うんや!ワイがしたのはこんなもんやないんや!叫び狂う女性の意見は横に流して鎌をブンッと振るうと容易く女性を解放できた。女性はなんで?みたいな顔で俺を見つめているが手を引いて立たせてあげた。
「俺のツレもコイツらに連れ去られてしまって助けにきたんですが、他にも捕まっている人がいたようなので・・・」
「あ・・あの・・」
「もう大丈夫ですけど歩けますか?」
「ほっ本当に助けてくれるんですか?」
「え?そうですけど?」
「あのっ、足舐めたりしませんよね?」
「なんで?」
「やっぱり舐めたいんですか!」
「いやだから舐めないから」
「そっそうですか」
取り合えず出口まで一度行こうと言うと頭を下げて走って出て行った。なんで舐めないって言った時に残念そうな顔をしたのだろうか?彼女もまた舐められすぎて歪んでしまったのかもしれない。でも袋叩きだのなんだの言ってたけどまさか変態プレイに興じているとは闇が深いぜ。
三人目の声が聞こえたのは洞窟のさらに奥で蝋燭やよく分からない文字で埋め尽くされていてまるで祭壇だ。コチラの女性は下着姿で壁に貼り付けられ涙を流し男を見つめている。嫌なら見なければいいのにと思うのだが恐らくそれが出来ない状態なんだろうことは察しがつく。
だって男は全裸で「Y」だったり、ジャンプして「エ」だったり、座って「M」のようなポージングを見せ付けているんだもん。
「うへっ!うへへ!ほぅらっ!ほら!ほらぁあ!」と腰をグネグネさせたりしてるんだが恐らく男のプロペラを回転させているのだろう。コイツらは全員変態しかいねぇのか?頭おかしいんじゃないの?
だんだん俺のヤル気も削がれてきている。
「嫌!もうそんなの見せないで!嫌あぁああ」
こんなに嫌がって泣いてる女性を見た事が今までなかったので居た堪れない気持ちになる。それと同時に前者の変態男達よりも腹に据えかねるもんが沸々と湧き出てきてしまうのだ。
「おい!粗チン野朗!!」
俺の声が届いたほぼ同時、こちらを振り返る見返り変態の股を蹴り上げをプレゼントしてあげた。
「ふぇにゅふぇ!」
聞いた事のない声で変態粗チン野朗は数メートル浮かび上がると泡を吹いてそのまま落ちた。ぐにゅうとした感覚が足から消えなくてもの凄い不快感が残っていて、鈍器鎌を打ち込めば良かったと後悔が込み上げる。
泣きじゃくっている女性の枷をハズして行くと
「ひっぐっ・・あひうっううがっとぐっじゃいまふぇ~んうぅぅ」と泣きながら感謝された。
彼女の物かは分からないがローブを着せてあげ、「外までいけるか?」そう問うと頭をブンブン振って袖をぎゅっと掴み無理だから付いて来て!目線をくれる。
変態粗チン野朗の足を持ち引きずりながら他の変態共を回収しつつ一度外に出た。先に助けた女性達はどうやら洞窟の中で知り合ったらしく互いに抱き合って三者三様の感謝の気持ちを貰ったが、変態達を見るや否やぽこにゃんに狙いを定めて蹴りを数発入れていた。その時の彼女らの目には何の感情も無くてめちゃくちゃ怖かったのだが終わってみるとスッキリとした顔が見えたのでこれで良しとしよう。
「主様!」と俺のボディーアーマー化したレミナの頭をぐりぐり撫でてやりドリドゲスの背に乗せて上げると鞍のようになった。
「ドリドゲスゥ~!」「ヒン!」「ドリドリドゲス!!」「ヒヒヒン!ヒン!」良く分からないコミュニケーションを取り始めていて、なんだろう凄く楽しそう!俺もしたい!今度ドリドゲスと俺もやろうと心の予定表に書き入れた。
「ドリドゲス!」いつものように呼ぶと「ヒン!」分かっていると言わんばかりの返事をくれたので、「俺はこれから中に戻るけど頼むな!」そう言うと「ヒンッ!!」任せておいてよ!と俺には取れたので頬をなでなでして洞窟へと向かった。いざ入ろうとした時に遠くから馬の走る音が聞こえてどんどん近づいてくる。
近づいてきた正体はリエラの私兵達だった。
本話もお読みいただき有難う御座います。
ブックマークをして下さった方々にも感謝です。
台風が接近中で涼しくて有りがたいですが注意が必要ですね。
皆様もお気をつけ下さい。次話以降も宜しくお願い致します。




