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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第三章 ヴォルマ完結編
29/217

龍と竜

白い空間に二人の女性の声がある。

二人以外存在しない空間で暇を持て余し遊戯に勤しんでいるらしい。


「ぬぅ~これでどうじゃ?」

「そう動きますか!」

「ふふ~ん。妾の防御は完璧じゃ!」

「ソルナ様のジョンをコーンしてジュローします」

「なっ!ひっ卑怯じゃ!」

「卑怯じゃにゃいです」

「ぐぬぬ・・・!なら妾はルビネラのドンボにプンガし返すのじゃ!」

「ここでプンガするとは!ソルナ様も強くなってますにぇ!」

「じゃろう?」

「でもまだ詰めが甘いですね!プンガされたドンボをグッボしますよ!」

「「ガドバ!!」」

「これでソルナ様の九勝でつね」

「じゃがルビネラは十一勝で妾の負けじゃ・・」


一頻り遊び飽きた所で水浴びでもしようとソルナが言うとルビネラは半球体の水を出し準備を始めた。


「ゲロを撒かれたのが懐かしいのじゃ」

「あのゲロ野朗は許しません」

「アヤツのこと気に入っておったじゃろ?」

「しょんにゃきょとにゃいじぇじゅ」

「恥ずかしがる必要ないのじゃ?」


ルビネラは恥ずかしくて顔を赤らめながら服を脱いでいく。後ろからソルナも続くが「ぬおおおお!」と驚く声に振り返るとソルナが発光していた。


「ソルナ様!!」

「なっなんじゃああああ!?」

「これは・・・一体なんでつ!」

「なんじゃ?何かに引っ張られておるのじゃあ!」

「ソルナ様ぁあああああ!!」


ソルナは光に包まれると綺麗に消えたのだった。

「今の光は?引き込まれたような感じだったような?ソルナ様ならほって置いても大丈夫でしょう」

先ほどの叫びとは裏腹にまったく心配せず彼女は水浴びを一人で開始した。

「ん~気持ちいいわー!ゲロ・・いやシンは上手いことやってんのかな?」


光から解放されたソルナが聞いたのは聞き覚えのある声であった。

「あんた何やってんだよ・・・」

「ほぇ?」

「いや、意味が分からないんだけど?」

「ん?主か?ここで何やっとるんじゃ?」

「あの・・・戦ってるんだけど・・・」

「何とじゃ?」

「竜だけど?」

「何言っとるんじゃ?」


説明するのも面倒なので彼女の頭をガシッと掴むとグギギと無理矢理に竜の方角へ向けた。

「いっ痛いのじゃ!!」

「だからアレと戦ってんだって」

「ん~?汚い竜なのじゃ!」

「だよな~う●kみたいな色してるもんな」

「う●kじゃ!う●kうん?ぬぅあにぃいいい?」

「どうしたソルナ?」

「なんで妾がここにおるんじゃ!!」

「おるんじゃ!って助けに来てくれたんだろ?」

「妾はルビネラとガドパしてこれから水浴びしようとしてたのじゃ!!」

「何しに来たんだよ?」

「だから妾の意思で来たんじゃないのじゃ!」

「じゃあなんだってんだよ?」

「ぬっ?主よその眼はどうしたんじゃ?」

「眼って言われても自分で見えないし・・」

「もう一つの龍紋が浮き出ておるのじゃ!」

「ソルナの足元の模様だったり?」

「足元?」


彼女は足元を注視すると固まって動かなくなった。

俺は頭をぽんぽんしながらどうしたんだよ?

と訊ねるが返事が無い唯の絶壁のようだ!

「誰が絶壁じゃ!!」

と突っ込みをエルボーで鳩尾に入れられた。

「ふぐっ・・」

「ん~主よ何かあったか説明するのじゃ」

「うぐぅ~眼が急に痛くなったんだけど、その模様が出たら痛くなくなった。そんで触ったらソルナが生えてきた」

「妾は植物じゃないのじゃ!」

「ごふっ・・あのっさ・・それ痛いから止めて欲しいんだけど」

「もしかしたらじゃが。これが主のもう一つの龍紋の力なのかもしれんのじゃ」

「どういうことだよ?」

「憶測じゃが、主と契約した龍をその場に召喚出来る力ということじゃ」

「でもソルナとは一部契約なんだろ?」

「場の問題かもしれんのじゃ」

「ソルナの地だから呼べた的な?」

「じゃろうな」


本当になんでも出来そうな気分になってくる。

魔法や龍法って言うのは万能なのかもしれないと思う程に。


「じゃあソルナあいつやっつけてよ」

「嫌なのじゃう●こに触りたくないのじゃ!倒すと息巻いておったのじゃ!」

「あーちょっとまだ無理かも」

「なんでじゃ!あれぐらいなら主でも勝てるのじゃ!強化した状態で鎌でも振れば首がぽ~んなのじゃ!」

「あ~この鈍器のことか・・・これ返すわ」

「なんでじゃ!!妾の鱗から生まれた鎌なのじゃ!強いに決まってるのじゃ!」

「いやさ・・なんていうのかな?これ不良品だから返品しようかと思って」

「不良品じゃと?貸すのじゃ!!」


彼女が鎌を持ちジャグラーよろしくクルクル鈍器を回してから鎌を手に構えると刃がガチョンと展開して本来の形になった。


「あるぇ~?なんで?俺が持った時はまったく反応しなかったのに」

「ちゃんと龍力流したんじゃな?」

「え?なんで?武器なんだから必要なくね?」

「このっ阿呆なのじゃ!!妾の体から出来た以上は必要なのじゃ!!」

「取り扱い説明書が封入されてませんでした」

「何を意味の分からんことをいっておるのじゃ」


必要でしょ?それに渡した段階で展開方法があるなら教えておくべきだ。

「でもさー折角来たんだしさ~ソルナが強いのは知ってるけどさ~見てみたいなぁ~格好良くて綺麗なソルナの姿」

「綺麗!」

「それになーんか龍法が使いづらいんだよ」

「当たり前なのじゃ!空間の構成が違うのじゃ!だから鎌もやったのじゃ!!」

「先に言ってよ~このこの~」


彼女の髪を一房手に取り弄ぶ。

光が透けているみたいにキラキラで飽きが来ない。

三つ編みに挑戦しようと髪を分けて行く。


「言ったじゃろうが!!ぬぉ~妾の髪で遊ぶのは止めるのじゃっ!」

「なんていうのかな?見たいないなーって美しいソルナが戦う所を」

「美しい!」


凄くちょろいぞこの龍のねぇちゃん・・・。

ただ実際問題として俺一人だと正直辛いと身に染みて分かったから現状は手を借りたいのだ。じぃーとソルナを見てると顔がじわ~と赤くなってきてるんですが、何を照れてるんだよ。


「そっそんなに妾が戦う所を見たいのじゃな?」

「見たい!!」

「確かに主は実戦は経験不足なのじゃ!」

「じゃあ師匠!お願いしまっす!」

「師匠!!ふ~ん!良いのじゃ!見てるのじゃ!」


彼女がクルっと回り長い髪を靡かせて肩で鎌をトントンしながら竜と対峙した。さっきまで息巻いていた竜は息を呑んで彼女を凝視しているが心なしか恐怖しているようにも見えてしまう。


「妾の可愛い子らを殺しまっくておる下種は貴様じゃな?」

「ぐっ・・・」

「言葉が分からん訳ではないんじゃろうが?」

「ぐぅううう」


やはり怖気付いてるのか?体こそ動いてはいないが首を後ろに引いていて距離を少しでも取りたがっているようにも見えてくる。


「主よ?本当にあんなのにやれたんじゃな?」

「えっと・・恥ずかしながら・・」

「う~む・・主でも絶対勝てるのじゃ」

「え・・・?」

「アレは弱いすぎて話にならんのじゃ」

「でもそこそこやられたんだけど」

「体に馴染んでおらんと言うのもあるんじゃろうが、体を強化してみるのじゃ妾が見てやるのじゃ」

「おっ・・おう」


言われるがままに龍力で身体強化して行くのだが、ソルナの顔がやらかした!と言う顔に変化しているのだが・・・何やらかしたんだよ。

「おい、ソルナ」

「なっななんじゃ?

「正直者っていうのは救われるらしぞ?」

「ん~?なんのことじゃ??」

「へぇ~」

「べっ別に妾は何もしてないのじゃ!」

「ふ~ん」

「そのっなんじゃ?少しだけ眼を瞑っていると不思議なことがおこりそうなのじゃ!その不思議な力が主を助けるような気がするのじゃ!」

「正直に言ええぇえええ!!」

「ぬぎゃあああ!痛いのじゃあああ!!」


ソルナの顔面を龍の手で捉えアイアンクローで締め上げると脚をバタバタさせながら助けを請う。アンタそれでも偉い龍なのかよ・・・。

あっ涙声になってきてるどうしようかな?


「離して欲しいのじゃぁあっぐぅ」

「ちゃんと話して欲しいのじゃ」

「妾の真似事しないで欲しいのじゃああ」

「じゃあちゃんと話すのじゃ」

ぎゅっと力を込めていく・・ジワジワと。

「痛いのじゃあああ!!言うのじゃ!!だから離して欲しいのじゃ・・ぐすっ」


なんか可哀想になってきた。

半分泣いてるし・・虐めてるみたいで心が痛む。

すぅーと力を抜いて解放してあげた。両手で顔面を覆い痛みに耐えている彼女の姿を見ていると虚しくなる。彼女のこんなしおらしい姿を見た事が無かったから寧ろ動揺したという方が正しいかもしれない。


「泣くなよ」

「泣いてないのじゃ」

「痛かった?」

「痛かったのじゃ」

「俺も悪気があった訳じゃないんだって」

「ぐすっ・・」


泣かしてもうた。落ち込むなよと言わんばかりにさり気なく頭を撫でてやる。

前頭葉辺りを撫でていたのだがもっと上を撫でて欲しいらしく彼女は無言で少し移動した。なにこれ?俺はこういうの好きな女子とやりたいんだけど。

そろそろ話を聞きたいので撫でるのを止めた。


「うっ~ぐすっぐすん」

「わざとだろ・・」

「バレてしまったのじゃ」

「もう一回行くか?」

「やーなのじゃ!痛かったのは本当なのじゃ!」


プクーと頬を膨らませるこんな美女をかつて見たことがあっただろうか?

いいや、ない。断じてない!断崖だけどない!

「失礼なこと考えておるのじゃ。言わないのじゃ」

龍の手の関節をバキバキ鳴らしてみると彼女が明らかにビクついたので本当に効いたらしい。


「その・・なんじゃ!主の体に枷をしておったのを忘れておったのじゃ!」

「枷ってなんで?」

「枷と言っても主を守る為であって決して悪気があったわけじゃないのじゃ!」

「いや・・別に疑ってないんだけど?」

「本当じゃな?」

「あぁ・・・」

「怒らんのじゃな?」

「あぁ・・俺の為だったんだろ?」


お礼を言うことは多々あるし感謝もしきれないほどで、そんな相手に怒るほど恩知らずには育ってはいない。


「枷の中身は魔力抑制なのじゃ」

「俺の魔力を抑えてたってことか?」

「そうなのじゃ!」

「それが何か悪いのか?」

「主が龍法を学ぶ際に邪魔でしかなかったのじゃ。だから抑制したのじゃが」

「最後まで言ってくれよ」

「主の龍法を阻害する枷になりつつあるのじゃが」

「枷ははずせないのか?」

「はずせるんじゃが・・・その・・・」

「いいから言ってくれ!」

「枷を外せば滞りなく龍法は使えるようになるんじゃが、魔法は使えなくなると思うんじゃが」


左右の人差し指をトントンしながら伺うような目で答えを待っている彼女に俺は単純に簡潔に言った。

「そんだけ?」

「そうじゃ・・・」

「んじゃ外してくれ!」

「魔法に関しては使えんようになるんじゃよ?」

「元々魔法の才能なんて無いからいいよ」

「すまんのじゃ」

「ソルナに会わなければ龍法すら使えなかっただろうしな?これは対価だよ」

「わかったのじゃ!眼を瞑るのじゃ!」


眼を瞑ると服をペロンと捲られて心臓の辺りに彼女の吐息がかかってビクッとしてしまうのが恥ずかしい。心臓付近を指でなぞると冷たさを感じて力が抜けそうになるのを彼女が支えてくれたのでなんとか立っている。


「じゃあいくのじゃ!」

「あっ!あのさソル・・・」

「ガブぅぅうぅぅぅなのじゃぁあ」

「いってええええええ」


バシーンと彼女の頭を叩いてしまった。

そりゃそうだろ?ちゅーとか可愛いのなら大歓迎だがガッツリ噛まれたぞ。

取って喰うつもりだったんじゃないか?すげージンジンしてるし!

まだ噛んでるし!!いてええんだよ!!

二度叩いてようやく噛み付きソルナちゃんは外れた。


「なんで頭を叩くのじゃ!」

「いてぇんだよ!」

「行くといったのじゃ!」

「何するかぐらい言えよ!」

「むぅ~」

「怒るなよ」

「怒ってないのじゃ!」

「ありがとう綺麗で美しいソルナ様」

「様付けなのじゃ!」

「で?ソルナ様?俺はどうなったんですか?」

「うむ!魔力を込めてみるのじゃ!」

「分かりました!」


言われた通りに魔力で身体強化を試みるが、いつも感じる魔力を一切感じることが出来ない。いつも魔力で満たされている容器ごと抜き取られたような感覚だけがある。空っぽというよりも空洞になったような感覚が残る。


「どうじゃ?魔力を微塵も感じんじゃろ?」

「あっあぁ・・」

「その・・後悔とか・・」

「いや!後悔はしてない!大丈夫だ!」

「良かったのじゃ!次は龍力を込めてみるのじゃ」


と彼女が促した所で竜が動きを見せ、咆哮と共にブレスを吐き突貫してきたのだった。もう後が無いそんな全てを賭けるかのようなまさに命掛けという言葉が合うような雰囲気で困惑した。ソルナは確かに強い、でも実際に戦ってみて竜も強いと感想を持っていたから不思議だ。


「せっかちなヤツじゃ!妾も少し手伝うのじゃ!」

「あぁ・・・分かった。気を付けて頑張ってくれ」

「主は誰にそんな物言いをしとるんじゃ!」


言葉が全部聴こえる頃には目の前から彼女は消えていて、気が付いた時には竜が空中に凄い勢いで跳ね上がった光景があった。何したか全然わかんねぇ。

地面を揺らす衝撃を感じた時には竜が地面に張り付いてるのだ。


「ぐぅっがぁう」

「何いっとるんじゃ」

「え~と何したんだよ・・」

「殴り上げてから殴り落としただけなのじゃ」

「あっはい」


腰に両手に当て龍は竜の前へ立ち睨み付け言い放った。

「この程度で妾を狙ったんじゃな?」

「オマエが・・・」

「なんじゃ?」

「ソルナかぁあああがあぁあ!」

「五月蝿いのじゃああ!」


ドゴォっと凄い音と共に頭が突き上がると血は吐きながら頭がバウンドした。

「悪いなんて思わんのじゃ!」と竜の顔面に足を乗せて差し詰めヤンキーのカツ上げ現場のようで、竜はと言うと「ぐごぉう」と呻くだけである。

俺はこんなハチャメチャなヤツから教えを請ていたのかと思うと少し怖くなった。


「目的は妾とアヤツの魂じゃな?なんで狙ったのじゃ!」

「ぐぅうう」呻るしか出来ないでいる竜の顎を踏み砕くように力強く踏みつけると「言うのじゃ!!」と続けて二度踏みつけて容赦がない。

「ぐっ・・世界の破壊の為だ・・」

「なぜ潰そうとするんじゃ!」

「暇つぶしだよババァ!!」

「・・・・」

「あのソルナ?大丈夫?」

「・・・・」


ピタリと動かないが絶対今のは地雷だろうと思いソルナの顔を覗き込むと、眼に涙を貯めている美女がいた。ババァって言われただけで泣いてんのか?

こんなに強いのに?嘘だろ。


「・・・っぐ」

「ソルナ?」

「ひっ・・ぐっ」

「お~い!」

「ばばぁ・・じゃないのじゃっぐ・・」


何か空気が震えてる感覚とピリピリして重い重圧を感じるんだが?

ソルナを見ると龍力をぼわぁ~と出て来ている。

なんか危ないというか危険というかやばくないか?ぷるぷる震えてるし。


「ソっソルナは可愛いし綺麗で美人だぜ?絶壁だけどそんな所だってソルナの魅力だぜ?髪だって綺麗だし!こんなう●k竜には分かんねぇんだって!」

「年老いた薄汚い老龍のばばぁだろうが!!」

「うっせぇ!黙れ!!う●k!」


龍の手で力の限り打ち込んだらビックリ仰天な光景が生まれた。

ドゴン!と重低音のような腹に響く音と共に竜の首がへしゃげた。

あるぇ~?さっきまでと絶対に威力がおかしいことになってるんだけど。

わんぱん・・・?俺が?竜を?んなアホな・・・。


涙を貯めたソルナの頭を撫でながら「ソルナ可愛いよ!」「ソルナ綺麗!」「ソルナの髪サラサラ!」とか褒め続けること五分ぐらいだろうか?

やっと顔を上げた彼女はニコニコしながら言うのだ。


「先よりも力が十全に発揮できていたのじゃ!」

「そうなんだよ!なんか綺麗に流れるというかザラザラしてたのがサラサラになった感じっていうのかな?」

「魔法が使えていた事自体が不思議だと言っておったじゃろ?」

「人間の魂だからとかなんとか言ってたじゃん?」

「でも本質は既に龍の領域じゃから、龍法を行使出来るだけの力を得た今の主にとって魔力は毒のようなモノでしかなくなったと言う感じじゃな!」


「純度が上がったみたいな感じ?」

「綺麗に澄み渡ったと言うべきなのじゃ」

「実際、止めの一撃の破壊力は相当じゃったし」

「うん・・・俺が一番びびった」

「力の入れ具合などはまだ訓練が必要なのじゃ」


ソルナが俺の方を見ていたのだが、俺は竜の胸辺りに違和感というか異質な感じを得て見入っていた。どうしたのじゃ?と彼女も俺と同じ場所を見つめると「おぉ??」と驚くような声を上げた。


「主よ鎌で竜の胸を裂くのじゃ」

「え?嫌だよ!ソルナがやって俺スプラッター系無理だよ」

「何言っておるんじゃ?ほれ早くやるんじゃ!」


純白な刃の鎌を押し付けられると、竜へ近づいて刃を入れると以外だった。

鎌の切れ味が良いんだろうか?簡単にすっと刃が入っていくとホースから水が飛び出るように血が出た。溢れる血に気持ち悪さを感じ手が止まるが「もう少し裂くのじゃ!」の声に息を呑んで鎌を動かす。


竜の胸辺りを四角形に切り取ると以外と血が出ないことに気が付いて鎌を下ろした。四角形の奥から橙に光る何かが見えると。

「手を突っ込んで取り出すのじゃ!」と無茶振りされ完全に顔が拒否していた。が「早くやるんじゃ!!」の催促に反抗出来ずに最小限の抵抗とばかりに龍の手を突っ込んだ。


「うげええ気持ち悪い!」

「どうでもいいから早く取り出すんじゃ!」

「ソルナがやればいいだろう!!」

「う●kに手を突っ込むなんて出来ないのじゃ!」

「俺にやらせてんだろうが!!」

「弟子なのじゃから当然の義務なのじゃ!」

「さっきまで眼に涙貯めてたくせに・・・」

「泣いてないのじゃ!」

「はいはい」

「ぶううう」


手を突っ込んでいくと手に感覚が伝わりそれを掴み引き抜いた。

ぐちゅう!ぐちゃ!とかグロい音が耳に聞こえるだけで鳥肌がぞぞぞと出るが目を閉じて一気に手を引いた。手のは橙に輝く水晶?のような物が納まっているのだが見た事がないハズなのに何故か懐かしさを得る。


「ソルナ?」

「龍玉じゃな」

「これが・・?」

「主はそれから生まれたんじゃ」

「あぁ~成程だからか・・・」

「懐かしく感じたのじゃな?」

「だな。でもこれはどうなるんだ?」

「ただの龍玉という訳では無いのじゃ」

「特殊なのか?」

「その玉の中身は龍の魂が在るのじゃ」

「ん?」

「恐らく、このう●k竜はどこぞで龍の魂の一部を喰らったんのじゃろうな」

「俺の境遇と同じってことなのか?」

「そうじゃな、ただこの魂の持ち主が分からん以上はどうにもならんのじゃ」

「でも絶対に困ってるのは確かだよな?」

「うむ。それは間違いないのじゃ」

「持ち主が近くに居れば分かるのかな?」

「自分自身と同じなんじゃから分かるのじゃ」

「還して上げた方がいいよな・・・」


ヴェルさんの時は相当に感謝されてたからやっぱり大切なはずなんだよな。

でもどうしたら良いんだろうか?落し物を返すのは良いけどどこの誰か分からん以上はどうしようも無い。ソルナが突拍子も無い事言うから・・・・。


「よし!主よ!還して来いなのじゃ!」

「誰か分からんって言っただろうが!」

「探せばよいだけじゃ!」

「だからどうやって!」

「その玉に主の龍力を込めてみるのじゃ!!」

「なんで?」

「五月蝿いのじゃ!やれば分かるのじゃ!」


説明するのがダルいんだろうな。と思い言われるがままに力を流して行くと橙の発色が色濃くなっていく。綺麗だと思った。煌く玉の美しさに見蕩れているとピシッとヒビが入り割れると光に包まれた。

眩しさから解放されると驚く結果がそこに収まっている、橙の髪をした十歳にも満たない女児を腕に抱いていた。

本話も読んで頂いて有難う御座います。

ブックマークをして頂いている方々にも感謝です。

いつものテンプレ挨拶ですがお許し下さい。


気が付けばもう夏も終盤ですね。

今年は夏らしいことは何も出来ませんでしたが楽しい事は多々ありました。

皆様はどうでしたでしょうか?


次話以降も宜しくお願い致します。

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