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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第三章 ヴォルマ完結編
28/217

降臨

空には巨大な竜。

巨躯から生える翼が羽ばたく度に音と共に風が生まれる。絶大な力は圧倒的な存在感を放っていて一層強く羽ばたくと上昇し咆哮した。


コイツは本当に五月蝿い竜だな。

あの二人の龍の咆哮は一種の美しさのようなものを感じていたけど、コイツのは汚ねぇって感想しか出てこない。俺はどう戦うかを思考する。

アイツは暴れるように戦えばいいけど、こっちは周りを巻き込まないように動く必要がある。それにエスカのように俺以外を標的にしながら狡猾に仕掛けてくる可能性は高いだろうからな。


そんな思考とは裏腹に竜が取った行動は更なる咆哮であった。先程の咆哮とは違うと感じだがそれで何かが変わるのか、単純に気合でも入れなおしたのだろうか?竜の見た目に変化は無く変わらずに羽ばたいているだけ。だが、変化は起きた。雲間から無数の黒点が急速に近づくと増援とばかりに翼竜の数が増えた。明らかに増えた敵を前に兵士達の顔は強張っていく。


「ハハッ!テメェ以外は全員すでに戦意喪失してるじゃねーか?これから死ぬだけだろ?あ?」

「オマエは本当にごちゃごちゃ五月蝿いんだな?まるで雑魚みたいだぞ?あ?」

「テメェは一々癪に障るゴミだな!翼竜共!今から殺すヤツらは腸ブチ撒いて殺してやれ!」


数十の翼竜が降り注ぐ矢のように降下し兵士達を狙う。竜の言葉で兵士達は浮き足立ち数名で当たれば倒せる筈のそれに腸を喰われる。仲間が惨たらしく殺される所を見てしまった者はもう戦えない。

苦痛と絶叫で死んだ仲間と同じ様に殺されてしまうという思考が固定され恐怖で動けないでいる。その隙を見逃すはずもなく翼竜達はさらに降下し餌を喰らわんばかりの勢いで迫る。そこかしこから兵士達の悲痛な叫びと恐怖に怯えた叫び声が聞こえる。


「ルナ!兵士達を全員下がらせてくれ!!」

「えっ?」

「どこでもいいから兵士を下がらせるんだ!」

「シン様それでは・・・」

「早くしてくれ!!」


俺は叫ぶと一番攻撃の層が厚い場所へ疾走した。

後ろから名前を呼ぶ声が聞こえたが返している余裕も無く、容赦なく降下してくる翼竜を鈍器で殴り龍の手で翼を裂き走る。


翼竜が多く集まる場所は兵士達が一番消耗している場所であり、一番多くの死が集まる場所になりつつあった。兵士達を襲う為に群集と化した翼竜達へ向かいぐにぃを展開。

ぐにぃした翼竜から順番に頭を鈍器で殴りつけるという、火サスもビックリするような殺害方法で数体の翼竜を地面に叩き付けた。でもたったの数体で戦局が変わるわけも無く容赦無い攻撃が繰り返される。


圧倒的に手数が足りない以上は一手で数を減らす必要があるか。この状況で一番良い方法を考えて動かないと少しの無駄で誰かが死んでしまう。

数を巻き込める龍法を取捨選択するとすぐさま構築展開して行く。

竜が反応したが展開速度はルビネラとタメを張れるぐらいには速いんだ!

反応しきる前には掌に展開しそれをアンダースローで空中へ放り投げた。


群集となった翼竜達の中心近くまで綺麗に進むとそれは球状に爆ぜる。

龍法は色々と練習してそれなりに行使出来るようになったが、展開速度と威力のバランスが良く初めて行使した龍法である『玉炎・蒼煉』が一番馴染んだ。

更に応用が凄く効く、今も蒼煉から派生させた蒼煉華を展開させたが威力は絶大だった。


簡単に言えば花火と同じでサイズも自由が利くのが利点だ。三号玉と同じ大きさで放った蒼煉華の効果範囲は直径六メートル程度。普通の花火なら直径六十メートルの球体になるらしいが、流石にそれを再現するとなると違う龍法を行使する方が良いだろう。

現状は最大展開でも直系十五メートルまではなんとか展開できるのだが、大きくなると展開速度と放った時の速度が遅すぎて利点が生かせないのが悩み所だろうか?使いようで幾らでもどうとでもなりそうで可能性は色々と模索している状況だ。


効果範囲が六メートルと言っても威力は十分。

範囲内に居た翼竜達は全身が焼け絶命し、付近に居たであろう翼竜達は翼が焼け焦げ落下していった。ぽかんと空間が生まれ翼竜達が少し動揺したように見える。その隙に脚が折れた兵士を担ぐと他の兵士がフォローする形で撤退し始め、橋上付近で兵士を降ろすと未だ撤退していないルナ達が俺を見ていた。


「シ・・・シン・・・今のは?」

「ルナ!話しは後だ!城内に撤退してくれ!」

「ですがシン様!」

「シンちゃん!ウチ達も援護ぐらいなら!」

「そうなの!!」

「だから・・」


「ルナリア様!シンの言う通りにしましょう!」

「フェルチ!シン一人に戦わせるっていうの?!」


「今の私達ではシンの脚を引っ張るだけで邪魔でしかありません!」

「フェルチさん!幾らなんでも・・」

「いいえ!私達が居るだけでシンは守りながら戦わなくてはいけません!」

「そうなのシン・・・?」


「聞いてくれ、俺が何とかするから信じて城内にいてくれないか?」

「でもっ・・」

「シン・・・大丈夫なんですよね?」

「うん。大丈夫だよフェル」


「分かったわよ・・でも危ない時は絶対に逃げるのよ?もうあんな思い・・」

「無理だと判断したらちゃんと引くよ」

「辛い思いはもうしたくはありません」

「シンちゃん、絶対だよ?」

「嘘付いたらもう許さないの」

「シン・・」

「大丈夫だって!絶対大丈夫だから!」

 

改めて再会を喜んでるってのに翼竜共が余計な茶々を入れてくるのが腹が立って仕方ない。ぎゃーぎゃー喚きながらまた突っ込んできやがる。

コイツらには思考するだけの脳がねぇのか?何度着てもも無駄だと見せつけないと納得しないんだろうか?まぁいい!もう一発喰らってみろ!


「本当に邪魔だな。玉炎・蒼煉華!」

いつもは無言で展開して無言でばーんして終わるんだけどさ。なんて言うか格好つけたいじゃん。偶にはいいだろう?自分に言い訳をしてアンダースローで放り投げると同じ様に焼かれ落ちていく。


「本当に大丈夫なのね・・」

「ルナリア様!ここはシン様の仰る通りに」

「えぇ!この場はシンに任せて城へ撤退よ」

「城内で兵士達の治癒もしないと!」

「準備だけはしておくの!」

「シンいいですね?」

「あぁ!!任せてといて!」


彼女達が急ぎ城内に移動を開始した直後に竜が動いた。口から特大の火球を撃ち出すと翼竜達を巻き込みながら飛んでくる。

深呼吸をしてさらに掌に集中してさっきより大きい蒼煉華を展開して構えた。

速度は落ちるが威力は上がる以上ぶつけてしまえば潰せるだろう!

投げるというよりも押し出すような動きで進路上に配置し構えると真正面から火球と蒼煉華ば衝突した。衝突で生まれる奔流は莫大な熱の風を生み翼竜達をさらに巻き込みながら消滅した。


「てめぇの魂は希少だな!俺が喰ってやるからありがたく思えよ!」

「オマエ如き汚物竜が喰えるとでも思ってんのか?」

「殺せばしまいだろうが」

「本当しゃべるのが好きだな?友達居なくて寂しいのか?話し相手になって欲しいのでちゅか?」


「舐めるのも大概にしろおおおぉおおおお」

「さて頂上決戦と行こうじゃねーかよ」


竜と翼竜達はタイミングを合わせるように突貫してくる。翼竜はただ真っ直ぐ突っ込み俺の進路妨害と体勢を崩すことだけに心血を注いでる。その合間に竜の爪や尾が空を切る。


俺としては同時に来てくれる方ががありがたい限りで、翼竜達を踏み台にしながら竜へと接近していく。小さい火球なら連続で放つことが出来るらしく、いくつも撃ち出してくるがそのどれもが当たらない。お互いの一手が届きそうな距離になった時に竜は咆哮しブレスを吐いた。


口の奥から赤黒い蠢きが一直線に向かってくるが簡単に回避が出来てしまう。

蒼煉を展開して直接押し付けるように放とうとした瞬簡に、俺は身体を思いっきり反らした。赤黒いそれは意思でもあるかのようにUターンして追尾してきたのだ。


「ハッ!ブレスを吐いたらそれで終いとでも思ったか?ゴミがあぁあ!」

「・・・っつ」


そう言うともう一度ブレスが放たれた。

真正面と背後からの挟撃に、俺は翼竜を蹴り飛ばし上へと逃れるが追うようにブレスが来ると隙だらけだと言わんばかりに尾が真上から来た。

竜は空中で縦に回転し真上から尾振り下ろし直撃させブレスで止めを刺す算段なんだろう。ギリギリの所で軸をずらして尾は回避しブレスを誘導して当ててやろうと動く。


尾を回避して竜へさらに接近するが死角から翼竜達がブレスを吐いた。そのブレスを避けきれず直撃を貰ってしまった。小さな体躯からは想像出来ないほどの威力にバランスを崩されると数体の突進で城の崖に直撃した。身体はそのまま壁でバウンドし落下を始める。



「痛ってぇ・・・やべっ!!」

追尾してきたブレスが更なる破壊を生み、ズシンと下から突き上げるような振動を感じた彼女達が不安そうな顔で互いを見た。


「いっ今のは何!」

「分かりません!」

「どっちの攻撃かも分からないもんね・・・」

「出来る範囲で援護した方がいいの!」

「ですがっ・・」


龍力で強化していても衝撃と激痛が無くなる事は無いけど普通なら絶対死んでるだろ。それにあの翼竜がブレス吐くって言う可能性を考えてなかったな。

追い討ちとばかりに攻撃が飛んできて岩肌を削り、赤黒い蠢くブレスは依然と追尾してきている。落下に逆らわずに身体を捻ると両手を空に掲げて放つ。


両手から放つそれは蒼煉爛花。

蒼色の炎を断続放射し翼竜達を焼き竜のブレスを包むような光景は、蒼色の花が咲いているようにも見えるだろう。包まれたブレスの勢いは衰え蒼の花弁が消える頃には綺麗に消失する、が巨躯が目の前に迫り衝突した。衝突の勢いを殺し竜の角をなんとか掴んだが、一気に上昇され暴れるように振りほどかれると尻尾ビンタでブッ飛ばされる。空中から城目掛けて落ちるが竜もただではすまなかった。ドン!と音が三度鳴り響く。


「があぁああああ!!テメェ!!」

「翼が虫に食われたみたいに穴開いてんぞ!」


ドガッ!さらなる爆発は竜の角を折り両者は奇しくも初めの立ち位置へと着地する。倒せそうだけど威力の調整が凄いピーキーすぎる。

あの空間では簡単に出来た事が上手く出来ない。

蒼煉と派生させた龍法はまだなんとかなるけど、それ以外となると一気に難しく思える。正直な所、俺は焦っていたのだ。天狗になってたかもしれんな。


「クソがっ!テメェ如きが調子に乗ってんじゃねぇよ!!

「なんだ翼に穴あいてキレてんのか?」

「コロス・・・コロス・・コロス!!」

「ケナリ!」


挑発しているがあまり乗らないな。

俺は加速し肉迫すると口を開けて竜の顔が迫ってくる。手を突き跳び箱の様に跳躍し回避に成功。空中でクルリと回転し脳天を両足で踵落とししてさらなる跳躍を行った。少しだけ竜が唸ると背中に向けて追撃の蒼煉を放ち爆破して行く。

一端距離を取ると竜に動きが見えて、目は真っ赤に充血し息は荒々しく我を忘れたかのように暴れ始めるのだ。逆鱗にでも触れたか?

苦しそうと言うより・・・キレてますね。


「うがぁあああああ!!!」


けたたましい咆哮が起こると火球は連続で放った。

三つの火球は真っ直ぐ進む。対応しようと動くが火球はかなり手前で連続で爆発し、爆圧によって城の壁や周りの物を容赦無く巻き上げる。

その爆圧に飲まれた俺は焼かれるような熱さに悶え倒れた。


「あぐっぅ」

「ぐあぁあああ!!」


服のおかげだろうか?身体は焼け爛れることなく五体が無事だったが、竜の巨大な掌に押さえつけられ身動きが取れない。今度こそ喰らうとばかりに竜の口が開くがそこには火球が生成されている。この距離で喰らうと流石にマズいと身体を動かすが顔以外で動く部分は無かった。


「流石にこれはどうしようもないだろうがあああ」

「あっがっはっ・・・」

「どうした!許しでも請うかあああ」

「あがっあああ」

「ゴミはこれぐらいで簡単に死ぬんだったな!」


ほんの少しだけ押し付ける力が弱まるがそれで動けるかと問われると答えは否。

空気を吸ってようやく喋れる程度でしかない。


「聞いてんのか?」

「はぁっはぁっ」

「さっきまでに威勢が消えてんじゃねーか!」

「ごふっ・・」


いたぶるのが相当に楽しいようで生成した火球が消えていくのが見える。

身体が悲鳴を上げて激痛が走るけどそれ以上に痛い部分があった。


「あがっああ」

「ハハッそうだ!泣き喚け!!」

「痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

「アハハハッ!!」


なんだこれ?目が痛くてジクジク痛みが走る。目が熱を持っているのが分かるが感じたことの無い痛みに顔が歪む。勘違いした竜は己の力に苦痛していると勘違いし饒舌に語っているが聞こえない。


「痛い・・あっがああ」

「ハハハッ!!」


痛さの余り地面に後頭部を擦るように悶えると眼帯が取れる。

光を行き成り感じた目は余計にジクジクの痛みを増す。

目玉がぼろんと取れそうなツッパリ感が生まれ一段と痛みが増すと、何故か竜が後ずさり体が解放された。


青い空が見える。中に変な黒印が浮かんでいてゆっくりクルクル回転している。無意識だった、体を起こし黒印に近づくと回転速度がどんどん上がって龍の手で触れた。黒印の模様がスゥーと円形に変化して蒼白い光が生まれると、円の中心に背が高く無駄に長い白い髪を風に流し絶壁のぐにぃを持ちし女が立っていた。


「あんた何やってんだよ・・・」

「・・・・!!!」


後に語られることになる「ソルナ降臨の日」である

本話も読んで頂き有難う御座います!

ブックマークをして頂いている方にも感謝です!


お盆でしたが私は家でお船の女の子達が戦うゲームをぽちぽちしてました。

なんとかイベントクリア出来たので肩の荷が下りました。

皆様はお盆楽しめましたでしょうか?次話も宜しくお願いします。

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