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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第三章 ヴォルマ完結編
27/217

戦い時々再会

彼が消えた空間には二人の会話だけが響く。

「いきましゅたね」

「ルビネラ・・・別に妾しかおらんから続けんでもいいじゃよ」

「なんだかハマりましたのでこれからもこれでいきまっしゅよ?」

「あっ・・うん。好きにするのじゃ・・・」


「たったの三年でアレほど成長しゅりゅとは思いませんでつたね」

「気が付いたら妾達も結構本気で教えてたのじゃ」

「どんどん吸収していきゅましたからね」

「アヤツなら力を無駄に使う事なぞ無いじゃろうから心配はしてないのじゃ」


「いざと言う時は契約もありましゅっきゃらね」

「今後をどうするかはアヤツ次第じゃし、それにもっと多くの龍と契約するかもしれんのじゃ」

「楽しそうですね」

「永らく生きて来たが楽しいのじゃ」




ヴォルマ上空、潮風が懐かしい気持ちにさせ戻ったと言う実感を彼に与えていた。


いやいやいや、すげー高度じゃん!なんこれどうしたらいいんだよ!

ずっとたまひゅんしてて本当にひゅんとぽこにゃんが落ちて行きそう。

冷静!大事!OK俺は冷静だクールになるんだ!

クーール!!取り合えず訓練でも大概の高さから落ちても龍力強化で何とかなってたし行けるよね?真下の竜を視認して、貰った服ごと強化を行い両足を揃えてYの字で落下して行く。竜の姿がどんどん大きくなり脳天に突き刺さらんばかりの勢いで着地した。


そぉおおい!!踏んでやったら地面に投げられた面子のようにバチンと張り付いた。正直に言うと足首捻挫とかしないかと言う心配しかしてなかったけど何も無い。もう虚弱体質です!なんて嘘は付けないだろうな。そんな事を思いながら頭の上に居るのも失礼かと思い橋上へと降り立った。身長が伸びただけで世界の見えた方って言うのは凄く変貌するんだなぁ~とか感慨深いものを感じていると目の前の竜が話しかけてきた。


「てめぇえええ!何してくれてんだ?あぁ?」

TVとかで見るDQNみたいな竜だ、DQNが詰まってるのかもしてない。

「おい!無視してんじゃねーよ!殺すぞごらぁ?」

凄く怖い。やんちゃしてる俺格好いいとか思ってるタイプだよ絶対に。

高校生の時に居たもん、二年生でも同じクラスだったけど留年した宮前君の前じゃヘコヘコしてたし同じタイプだと思うんだよな。


最早目の前の竜が痛いDQNにしか見えなかったんだ。ソルナにルビネラはしゃべりながらでもこれ以上の凄味が出てたし、実際慣れるまでビクビクしてた時期あったし。そう思うと急に可愛く見えてきたけどコイツは敵でしかない。馴れ合いをする気なんてこれっぽちも無くて殺した皆や怪我をした皆の事を思うだけでボコボコにしてやりたいと思ってしまう。


「何だてめぇ?ビビッて声もでねぇか?あ?でもお前は終わりだ殺す事をもう決定してるからな!」

竜ちゃんの話が終わる前に彼は腕を横に薙ぐモーションを取ると、後方から懐かしい声が聞こえた。

「危ない!!避けて!」

レスタが叫ぶが同時に竜の爪がブォンと風を切りながら迫る。

「うぉっ!危ねっ!」ソルナに貰った手袋をした方の手でバシッと受け止めた。静寂が生まれた、後方からも目の前の竜からも何も聞こえない程で自分の心臓の音すら聞こえてきそうだ。


「てめぇ!なにもんだああああ!」

「うっせぇえええ!!さっきから目の前でデカイ声出してんじゃねええ!」

竜の腕を払いのけ下顎付近を蹴り上げてあげたら大きい牙がボキりと折れて竜は二、三歩程後退して頭がクラクラしているようだ。背後に目をやるとボロボロのルナが横たわってたいるのを見て直ぐに駆け寄った。


「ルナ!ルナ!大丈夫かっ?」

「あっ・・・うぅっあぁあ」


やばいと直感が告げている。

俺は魔法で治療なんて出来ないし、かといって治療したら治るとか言うレベルを遥かに超えているようにしか見えない彼女を抱き上げた。ルナは少しだけとは言え龍の血が入ってるからもしかしたら行けるか?ルナを身体を自分の体の延長線の様に感じ自分の力をゆっくりと流してあげた。見た目の傷や怪我が治る事は無いけどそれでも目に見えて顔色は良くなっているのが分かる。


「うっうぅ・・・あぁ」

「ルナ聞こえるか?ルナ!?」

「んあっ・・誰っ・・」

「良かった大丈夫そうだな」


ルナをお姫様抱っこして城へと向かうが、目の前には見た事ない気持ち悪い化物が俺を凝視している事に気が付つく。何あれ?やだ気持ち悪い。キメラ的な何かか?いやでも二足歩行してるっぽい、こんな種族もいるのか?いや~流石にいねぇだろ。

「蹴られてる!アハハッ!」

話かけちゃダメなタイプだよあれ、見ちゃダメだ見ちゃダメ。ルナの安全が先だ!うん!そのままケタケタと笑う変なヒト?の横をすり抜ける時に攻撃が来た。

「何を勝手なことしてくれてるのかな?キャハ!」


攻撃は簡単に避けることが出来たが素直に言おう、凄く気持ち悪いです。

例えば、道端にう●Kが落ちているとしようか?ギリギリのタイミングでそれを発見したらどうする?答えは簡単で避けるが正解なんだけどさ?でもそれを避ける時って自らの意思が強く働いて、体がいつも以上に過敏に反応する感覚があると思うけどまさにアレの感覚で避けた。絶対に関わりたくない。お願いですから話かけないでと祈るようにして歩く。


「無視しないでくれるかな?ねぇ~おにぃい~さん!それ返してくれない?回復してるようだからさ!もう少しだけボコボコに出来そうなの!キャハ!」

俺の脚は動くことを拒否した。

「キャハ!ありがとう!!じゃあ早く返しせ!ほらっ?アイツがクラクラしてる内にやるんだ!!次は目でも抉ろうかな!それが良いキャハ!!」


目を抉ると言う言葉で気が付いた。コイツ・・。

「ほらっ!早く!あのガキと同じにすんだからさ?!何してんだテメェ早くしろ!両手と両足は落とせって言われたからやるとしても!両目と耳も千切ってあげないとね!」


ルナには声が聞こえているのだろう。

さっきからガタガタ震えていて止まらないのだ。

俺は両足に動け!と命令してようやく動きだす。


「止まれっていってんだろうが!ぼべぎゃぐうう」

「俺がぶっ潰してやるから少し黙ってろゴミ」


この化物みたいなのがエスカだと気が付いたが、最早彼女と言えるような見た目では無かった。相手が女性とかそんな事を考えてあげるような余裕も無く、鳩尾に蹴りをぶちかますと竜の頭にヒットしてくれた。やった!百点だね!


ルナを抱く力が強くなっていたことに気が付く。

抱きしめられたりしていたのが懐かしく、逆転したなと改めて考えると心に満たされる何かが湧き出てきた。俺は守られるだけの存在では無いと今度こそ守れるのだと思うと身体が震える、武者震いなんて言葉が頭を過ぎて今の状態にぴったりだと身体で体験している。彼女をレスタ達がいる所まで連れて行く、彼女も兵士達も怪我だらけでターニャもフェルもボロボロだ。気持ちが溢れそうだけど深呼吸だ。


すると「ルナリア様!!」と声がする方へ目を向けると流れる血を止めるように腕を押さえているマーレがいた。数人の兵士と共に三侍女達が駆け寄って来てくれるのだが、幾人かの兵士は俺にも警戒する仕草を取っていることに気が付いて苦笑いになる。兵士にルナを引き渡すと全員の目が俺の手に注目していてより警戒を強められた。


「助けて頂いてありがとう御座います」

マーレの声に懐かしさを感じると振り返り、成すべき事を成す為に橋上を戻る。

「ここからは俺がやりますから、手出しは無用って事でお願いします」

「でもウチらも援護ぐらいならできるから!」

「ターニャ達もやれるの」

「大丈夫ですから助けれる人達を優先して助けてあげて下さい」

「ですがっ・・・」


彼女達の声を無視してヤツらを眼前に捉えて睨む。

「てめぇ!何してくれてんだ?」

「アンタも殺してあげる・・あのガキみたいにしてあげよう!キャハ」

流石にアレをもう一回されるのは嫌だ!絶対嫌!


「おい、テメェが本気で相手してろ」

「アンタはどうすんのさ?」

「増援を呼ぶんだよハハッ」

「翼竜が増えても仕方ないんじゃないの?」

「無いよりマシだ!あと二百以上はいるからな残ったゴミ処理といこうか!!」

「分かった。あのローブも殺していいの?」

「好きにしろ」


翼を広げて体が少しづつ浮く竜を見送るエスカがこちらを舐めるように見てくる。やっぱり無理だわ、でもここで逃がす理由も無いからな。

悪いとも思わんぜ?脚に龍力を溜め込み一気に踏み込み腹へと一撃をぶち込む。何の反応も出来ないエスカが龍殿の壁にめり込まず貫通した。

やってもうた・・力んじゃった。

竜が指示したのか翼竜達が次々と突撃を慣行してくるけど、龍の手をブンブンするだけでばったばたと地面に落ちて翼竜の山が築き上げられている事に気が付いてなかった。


「すっ凄い早いの」

「ウチも早すぎて見えなかった」

「なんて凄い力なんでしょうか」

「あっぐ・・一体誰よ」


「ルナリア様!まだ起き上がらないで下さい」

「ルナっち!大丈夫?」

「ルナちゃん痛いの?本当に大丈夫なの?」

「大丈夫よ。それにさっきはごめんなさいね」


「お守り出来ませんでした」

「ウチら何も出来なかったよ」

「そうなの」

「アタシは生きてるからいいのよ」


「うっ・・皆さん」

「フェルチも大丈夫かしら?」

「無理しちゃダメなの」

「私も大丈夫ですがあの方は一体?」


「ウチには空から落ちてきたように見えたよ」

「ターニャ全然見えなかったの」

「それに手の様子がおかしかったですね」

「何がおかしいのかしら?」


「手が獣人系の手に見えましたが・・」

「でも鱗付いてたような・・」

「黒い鱗だらけだったの」

「人では無いと言うことですか?」

「人でもないし獣人でも無いって事なのかしら?」


そんな会話なんてお構いなしにエスカが龍殿から出て来るとさらに容貌が変化していて、彼女はもう彼女とは言えないまでに醜い姿で咆哮するとブレスが橋上を一直線に進む。ブレスが進んだ後には赤黒い蠢く何かがへばり付くように残されている。標的は橋上の全てで全員を殺すようなブレスが躊躇無く進む。


流石にこれを避けると後ろの皆が危ないな。

龍の手を腰辺りでタメてもう片手は掌を相手に向けるように構え腰を落とす。

龍の手に龍の力を留めてブレスに対して手刀による一撃を加える。

旋剛一閃、龍の手には風が纏い振り下ろすと裂くようにブレスが割れその効果を失う。ただ少しだけ後悔、違うやり方で対処すれば良かったと思った。


「おべぇええぇおろろろろおろおぁぇええええ」

吐いちゃった☆ミャハ!

竜が吐くブレスって火とか氷とか格好いいと思ってたけどあれは空想だよ、いや妄想だと言っても過言じゃないだろう。だってアイツが吐いたブレスめっちゃ臭い。臭いとはいえ吐く必要は無いだろうとか思うんだけど、百人が嗅いだら百人が吐くと思う。牛乳を拭いた雑巾を三日間醗酵させて絞り出した出汁に、夏の川辺の饐えた臭いを凝縮させて混ぜたような匂いだよ。そんなもん吐くに決まってるやろ。


「何が起こったの?」

「ブレスに毒が混ざっていたのでしょうか?」

「辛そうだねぇ」

「きちゃないの」

「あの構えは・・・」


何も喰ってねぇのが幸いしたなと口を拭いつつ化物を見ると腕が切り落とされ、龍殿の壁には鋭い爪で引っ掻いたような痕が刻まれいる。

凄まじい威力で放たれた爪痕を見て自分でもびっくりした。

ソルナ達の空間より展開するのが難しいが、威力が上がっていて今後の龍法の使い方を考えさせられる。俺も腕を落とされたんだから痛み分けだろ?


「あぐぃいいうう!オマエは何なんだあああ!!」

「借りがあるだけだから気にしなくていよ」

「オマエなぞ知らんわ!」

「忘れっぽいんだ頭悪そうだし仕方ないけどさ」


折角ソルナに鎌貰ったんだし使ってみようと背から抜き取り構えるが、刃の部分が折り畳まれた状態でただの鈍器にしか見えない。あれ?刃が出ないなんで?えっと不良品?周りの視線を感じるし凄く恥ずかしいんだけど。

絶対に笑われてるよ。


「背中の武器で戦うのかしら?」

「なんでしょうかあの武器は」

「でもなんか綺麗だねぇ」

「凄く大きいの」

「薙刀でしょうか?」


破れかぶれだ!これで行くしかない!大丈夫さ。

「殺す!命乞いしても痛めつけてやるからな!」

「・・・・」


俺はアレがエスカの形をしている時にされた事を思い出していた。

腕を目を失いそれでもケタケタ笑う彼女の顔を、それ以上にフェルを痛めつけた彼女の家族を殺したことを。だから、悪いけど何の感傷も無ければ慈悲の心だって無い。

急接近して刃の出ない鈍器で逆側の肩を薙ぐように殴打し、残った膂力で背後に回ると龍の手で頭を掴み地面に叩き付けた。ドスンと鈍い音と共に地面をバウンドして跳ね上がって来た所へ追撃の蹴りを脇腹へ入れる。橋上のミートボールが死んだであろう辺りまで飛んだ。


「あがうぅがあっがああああ」

「・・・・・」

「うぐっあぁああああああ!!」


悶えるのも我慢して化物は俺の首を掴んできた。

いや、掴ませたと言った方が正しいだろうな、回避しようと思えば出来たしカウンターを入れる余裕だってあったのだが。エスカだった化物に俺を俺として認識させたかったのかもしてない。だから、動かなかったんだと思う。


「キャハハハ!捕まぇたぁああ!!てめぇのツラをぐちゃぐちゃに凹ませて殺してやるぅう!」


頭に手を乗せられても動かずに待ち行動を起こすのを待った。

ゆっくり焦らすようにフードを捲られると目が合う。


「あぁ~?見たことあるような顔してんなぁ!どこぞで殺し損ねたゴミか?」

「てめぇは記憶力ねぇのか?単細胞ちゃん?まぁ、顔も多少は成長してるから仕方ねぇか?あ?」

「おい?オマエは状況ってのを把握出来てないのかなぁ?このまま首の骨折ったらオマエ死ぬぞ?」

「おいおい、どんだけ変態なんだよてめぇは?人様の手を切り落として、目玉抉って、腹に刃物ブッ刺した相手の顔も覚えてないのか?」


「・・・あ?」

「ここまで言っても分からんのか?ついこの前だろ?オマエがこの橋の上で殺したと思ってたガキの名前すら思い出せないのか?」

「シ・・・ン・・・」

「おぉーちゃんと言えるじゃん褒めてやろうか?」

「ふざけんな・・・あのガキは殺したんだぞ?」

「死にかけたけど生きてたわ。それに身体の成長もしたしな?」


「キャハハハ!!確かにそうだ!!そうだ!!その首飾りだ!匂いも同じだ!もう一度殺して欲しくて来たのかああ?ゴミクズがあああああ!!」

「一々でかい声で喚くなよ?俺がここに来たのはてめぇらを倒す為に決まってるだろうが?」

「ならやってみろぉおお!!」

「おう、そうさせて貰うわ。フェルとフェルの家族の分も行くから楽に逝けねぇからな?」


会話が終わると同時に俺の顔面目掛けて拳が飛んでくるが、龍の手で顔面を掴み力を込めると簡単に動きは止まり解放された。

「じゃあなんだ?行くぞ?」

掛け声を送ると返事を待たずに脚にローキックをかましてバランスを崩した所へ鈍器の一撃をブチかます。地面に熱いキスをしている化物に向かって、ピンポン玉サイズに圧縮した蒼煉を手に放つとヤツの手が吹き飛び傷口は焼かれた。


「あぎゃああああぐごがあっ!」

「やかましいヤツだな本当に」


オマケとばかりに鈍器をもう一度振るってソフトに飛ばした。

器用にバランスを取り立て直すと、化物は猛スピードで突っ込んで来るが俺はバッティングの様に鈍器を構えて待つ。野球なんて体育でしかやったこと無いけど大丈夫だろうと判断してフルスイング。


「うがぁああああああ!!!」

「うらぁああああああああ!」


ゴチュアン!完璧に捉える。ジャストミートって言うヤツだろうか?

これで吹き飛ぶだろう!!とスイング姿勢を止めると目の前に化物が立っていた。やばい!ミスったか?慌てて少しだけ距離を取り鈍器を構えて待つ。が相手が全然動かなくて少しだけ時間が流れると後ろから歓声が上がった。


あれ?え?あっ。新しい顔が届く事が無いままに彼女は絶命していたのだ。

放置するのも嫌な気分になると思って、掌に蒼煉を展開させ彼女に向けて放ち彼女を焼いた。胸の中で一つ何かから解放された気分になるが違う何かを背負ったような気分だった。フードを被り直して何故鎌の刃が出なかったのかを考えてると。


「あなた大丈夫かしら?」

「あぁルナも怪我大丈夫か?」

「え・・・?」

「ルナリア様お下がり下さい!」


三侍女がこちらを訝しそうな目で見ている事に気が付いたら、後ろの兵士達も各々武器を握り構える有様だった。俺がシンだって分からんだろうな正直に言ったら信じてくれるだろうか?あの子は死んだ!もう居ない!とか熱く言われないだろうか・・・。もしそうなったら俺泣いちゃう自信あるよ?

でもやってみないと分からんからな。

内心ドキドキしながらフードをとった訳で。


「あっあの~怪しいものにゃないでしゅ!!」

噛んだ・・しかもルビネラっぽくなってる・・・。

「え?なんて言ったのかしら?」

「ルナリア様!怪しいです!」

「そっそうだね!少し怪しいね」

「普通そんな噛み方しないの」

「・・・・・」


「待って頂戴。少なくとも敵では無いわよ?」

「確かに結果的に助けて頂く形でしたが・・」

「ウチも悪い人には見えないけど?」

「手が変なの・刃物持ってるのに殴ってたの・・」

「あのっ・・・ちっ違うんです!!」

「・・・シン・・・ですか?」


彼女の言葉に皆がはっとした表情になった直後に悲しい顔を浮かべる。

「フェルチ・・・止めて頂戴!!」

「フェルチさん・・」

「それは・・・無いよ・・」

「シンはもう居ないの・・うっ」

「いやあのっ!!シンです!」


そうそうこのタイミングなら大丈夫さ!会話をすることが大切なんだし!

ここから広げていけば俺がシンだと分かってもらえるハズだ!

「助けて貰った事には感謝してるわ!でもねっ!」

「私共にとってその名前は大切な家族の名前です」

「流石にウチも怒りが込み上げてくるからさ?」

「そんな嘘付くなんて信じられないの!!!」

「あう・・・あう・・うっぐ・・うぇえええ」


「泣いて誤魔化さないで頂戴!」

「いい歳した男性に有るまじき行為です!」

「愚考もいい所だねぇ」

「気持ち悪いの!!」

「待って下さい!!!」


皆に心をバキバキにされて俺は本気で泣いたんだ。だってこれはあんまりだ!!見た目が違うから仕方ないけど!でもさぁ・・・。

「シンなのですね?先ほどの構えといい泣き方といい。それにさっきの戻し方といい。本当にシンなのですね?」

「ふぇふ~うあああぁああああああん」

「シン!!」

フェルが抱きついて来てくれた!もう身体がデカイから俺が抱き寄せるような形になってたけどでも嬉しかった。彼女は俺の胸の中で泣いていた。

本当にこれでもかっ!といわんばかりに泣いていて俺も泣いた。


「あなた・・本当にシンなの?」

「グスっ・・ルナ・・・嫌い」

「あぐっ・・・」


「シ・・・シン様なのですか?」

「・・・・ぷいっ」

「はぐぅ・・」


「シンちゃん・・」

「じぃ~~」

「うぅ~」


「シンなの・・?」

「チビ・・」

「ふぐぅ~」


「シン?」

「何?フェル!」

「色々と聞きたい事があるのですが・・」

「俺も話さないといけない事があるけど、もう少しだけ待ってくれ。今度はアレをぶっ潰すから」

「ダメです!危険です!竜なんですよ!」

「そっそうよ!シン危険すぎるわ!」

「シン様・・危険な事はいけません!」

「そうだよシンちゃん!」

「お願いだから危ない事しないで欲しいの」

「大丈夫だよ皆!俺はその為に頑張って強くなったんだから!今度こそ皆を守れるように強くなったから!信じてくれ!」

「ですが・・・シン。いくら強くなったとはいえ」


俺はフェルをぎゅっと強く抱きしめて彼女達の心配を拭い去るように気合を入れて叫ぶように言った。

「大丈夫!!俺があの汚ねぇう●k色の竜をぶっ飛ばすから!!!」

「・・ふふっ」

「うふっ・・」

「・・ぐっく」

「んひっ・・」

「ダメですよ?そんな汚いことを叫んでは!」

皆が笑いそうなのを堪えてるのにフェルだけ真面目に言うもんだから俺も笑ってしいそうになる。でもまだダメだ!皆で笑うのはう●k竜倒してからだ!


「コラぁ?てめぇなに調子に乗ってんだ?あんな雑魚潰したぐらいで偉く吼えるじゃねぇーか?あ?」

「てめぇこそオツムは大丈夫かよ?脳天直撃してフラフラしてんのはもう治ったのか?こらぁ?」


ヴォルマに置ける最終決戦の幕が上がろうとしていた。

毎日暑い日が続きますが高校野球見てると元気になります。

応援していた学校も早々に敗退してしまって悲しいです。


そんな話は置いといて、本話もお読みいただきありがとう御座います。

ブックマークして頂いている皆様にも感謝です。


三章は後数話で終了を予定しています。

次話以降も宜しくお願い致します。

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