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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第二章 転生編
15/217

海と船とかくれんぼと

十三年目の海輝 


現在は船上で波の揺られている。目指すはヴィルマから船で二日の距離にある国クラジョコラジュ。ディルカーレに生まれて十三年、ヴォルマから違う国に行く初体験にテンションは上がる。


「シン!あまりはしゃいでると落ちるわよ!」

「落ちても魔法でなんとかするよ?」

「あのね、落ちるの前提で話を進めないで頂戴!」


「だって!ルナ!海の上だよ!」

「船の上なんだから当たり前でしょう!」

「潮風が気持ち良いなぁ~!」

「だ・か・ら!潮風感じるのも景色を楽しむのもいいわよ!でもね、わざわざ船の淵に立って眺める必要はないでしょ!」

「え?高い所から見たいだもん」

「あ~もういいわ!好きに眺めてなさい」

「うん!」


「ルナリア様、シン様も初めての船で気持ちが高揚しているんだと思います」

「まぁね。ずっとヴォルマで育ったから仕方ないかもしれないけどね」

「シンちゃんが落ちたらウチらで助けるから大丈夫だよルナっち」

「お馬鹿は高い所に昇りたがるから仕方ないの」

「シン!アタシは船室にいるから何かあったら言いなさい!」

「わかったーー!」

レスタとフェルを残して船室へ消えていった。

何度も乗ると成れて飽きるんだろうけど全然飽きないかもしれんな。


「シンは海が好きなのですか?」

「フェル!好きか嫌いで聞かれたら好きだよ!」

「っそうですか」

「フェルは船に乗ったのは初めて?」

「はい。海は眺めるものだと思っていましたので少し怖いですね」

「大丈夫だよ!見て!凄く綺麗だから!」

「そうですね。海の上だとこんなに良い香りがするんですね」

「フェルチは泳げないの?」

「海には入った事がないので、というか後ろから抱きつかれると動けません」

「まぁまぁ固いことは言わないで」

「レスタは泳げるんですか?」

「ウチはバリバリ泳げるよ」


会話が流れる船上、十三年目にしてなぜ今頃こんな事になったかと言うと……。

「シン!明日から船でジョコラに行くわよ!」

「お腹すいたのルナ?」

「何言ってるのシン?」

「え?」

「ん?」

「シン様、ジョコラは食べ物ではございませんよ」

「じゃあ何なの?」

「ジョコラとはクラジョコラジュ国のことでございます」


クラジョコラジュ

ヴォルマとは先の大戦より前から友好関係にある国。全てが魔法で廻っているその国は魔法の国や魔女の国として知られている。王は結界に関する魔法では誰より強く、己の敵には残忍で冷徹だとルナが教えてくれた。ちなみにこの国も女性中心で世界が出来ているらしい。新たなぐにぃが俺を待っているとしか思えない。


「でもなんで今更違う国にいくの?」

「向こうの王があなたに会いたいんですって!」

「なんで今なんだろうね?」

「今更よ十三年よ?幾らでも来れたでしょって話よ!まったく!エルフやシルキーは寿命が長いから時間の感覚が違うのは仕方ないにしても十三年よ!」

「ジョコラの王もお忙しい方ですから致し方ありませんよルナ様」


「なんで僕に会いたがってるんだろうね?」

「どうなんでしょうか、気まぐれな方ですからね」

「マーレは会ったことあるんだね」

「ルナ様に付き添いで何度か訪れていますからね」

「でも違う国見れるのは楽しみだからいいや!」

「決まりね。明日の朝に出発したら明後日には着くからそのつもりでいてね!」

「ふぇーい」


そんなこんなで船の上、暇を持て余すことになると思ったけど景色が綺麗でこれはこれでいいものだな。客はゼロだし、ルナ専用なんたってヴォルマの王なんだもんな。面白い船で飽きないからいいんだけど。


帆が魔方陣で形成されてるのか、風の魔法を利用して効率よく進む訳か、日常生活じゃあ調理時に火とか水を使ってるのは知ってるけど、技術の一環として組み込まれてる魔法は新鮮だな。ただ揺れは消しきれないのは変わらんけどな。


さて遊ぼうか!

「フェル、レスタ!」

「どうしました?」

「シンちゃんどったの~?」


「遊んでよ!」

「遊びですか?」

「おっいいね~何する?」


「かくれんぼでもしよう!」

「かくれぼ?なんですかそれは?」

「なになに?」


かくれんぼが通じないだとっ!?

世界は違えどかくれんぼはあるだろう!カルチャーショックだわ。ルールを説明したら俺とレスタが隠れる事になった。


「フェル百数えるんだよ!?」

「分かりました。全員逃しません」

「よーし!シンちゃん隠れるぞ!」

「おー!」


隠れる範囲は船の甲板と船内は一階だけ。


小学生の時は鬼が何度も先に帰った経験がある俺なんだぜ?いいもん。泣いてないもん。次の日にかくれんぼしてた友達が、その後で違う子と遊んでた話聞いても泣かなかったもん。


レスタは甲板の荷物に紛れる気だな、とっとと船内に移動だ移動!単純に一番遠い所が無難だな!一番奥の部屋がいいかな?扉を開けて誰も居ないことを確認!おk大丈夫だ。ここなら探すのに時間がかかるだろう。


ベットの中に隠れたらいいか?どうせここまで来るのに時間かかるし最後ぐらいはあっさり捕まってあげよ。ベットふかふかだな!シーツの下に潜っておくかな。あーすごいさらさらで気持ちいいなこれ。多分、俺は寝落ちしていた。時間にして十五分弱だけど……そして強い衝撃で体が軋む。


「ウヴェエ」

「へっなっなに!!」

「あ~バレちゃったか!ふぇryぶらあああああ」


シーツを剥がされた。俺の思考は若干緩んでいてフェルに見つかったと勘違いしていた。目の前に女性が立っていらっしゃる、その女性はとても綺麗で魅力的。白銀の長い髪の乙女……マッパのルナだったでござる。


「しっシンなにやってんのよアタシの部屋で!バレたって!何よ?」

「えっ?るっルナなにやっての!!」

「まさか覗きに来るとは、もう十三歳だもんね」

「いやちがっ!!」

「アタシも年を取るはずだわ!」

見た目が全然変わっとらんやないかあんた。

まっぱで腰に手を当てたその余裕なんだよ寧ろ、そこは恥ずかしがってくれないとどうしていいか分からん!


「ルナ先に服着てよ!!」

「あら?アタシの部屋でアタシがどんな格好しててもいいじゃないの!」

「あうあう」

「ふふっ。冗談よ冗談。別にシンに見られても困らないわよ」


ドアがガチャリと開いた。

フェルがじぃーとこちらを見ている、どうしよう。

「あら、フェルも覗きに来たのかしら?」

「すっすみません!ノックもせずに!!中からシンの声が聞こえたので」

「いいわよ別に。お入りなさい」

「失礼します」

「シンにも見られてフェルチにも見られてはもうお嫁にいけないわね!」

「本当にすみません」


あんたどうせいかないじゃん

「今どうせ行かないとか思ったでしょ?ん?」

るっルナも心を読むのか!

「オモッテナイヨ?」

「へぇー嘘言う子はダメよ?」

「痛っいふぁいいふぁいふぁい」

「んふふ。悪い口にはお仕置きしないとね?」

「ごふぇんふぁふぁい」

「反省してるからしら?」

「ふぃふぇふぁふ」

「なら宜しい」

マジで痛い目が笑ってなかった……。


「シン!ダメじゃないですか!」

今度はフェルに手で目隠しされた。

「ごめんなさい」

「あ~別にいいわよ?見られて困る訳じゃないし」

「ですがっ」

「アタシがいいって言ってるんだからいいのよ」


「で?シン?どうだったかしら?」

「何が?」

「どう!だった!かしら?」

「だから何が!」

「喧嘩売ってるのね?」

「いえ、めっちょうもないでしゅ」

「チャンスをあげましょう。どうだったかしら?」

「ルナぁ~凄っごい綺麗だったよぉ?」

「あら、ありがとう」

フェルの目が怖い、そんな目で見ないで下さい。

ここでコレ以外の答えは無かったのです。

まぁぶっちゃけめっちゃ綺麗やったけどな!

その後、ルナが着替えるまでフェルに目を隠されたままだった。どっちにしても俺の後頭部がぐにぃを捕らえてたから一挙両得なんだけどな。


コンコン

「失礼致します」

「どうしたの?マーレ」

「お食事の準備ができました」

「分かったわシンにフェルチも行きましょうか?」

「ええ」

「ほい」

甲板で食べるのか、外の景色綺麗だからそれもいいな!椅子に座っているとターニャが食事を出してくれた。


「シン?今日はターニャが作ったの!」

「ありがとうターニャ!!おいしそうだね!」

「ふっふ~ん」

「美味しそうですね」

本当に美味しそうだなぁーと料理を見ていたら後ろから声がかかった。


「シ~ンちゃん?何か忘れてないかな~?」

「え?何も忘れてないけど?」

「あれ~おかしいな~何か忘れてないかな~?」

「レスタそこで何してるの?食事だよ?」

「もおおおお!かくれんぼしてたんでしょ!!!」


あっ……忘れてた。完全に忘却の彼方へ飛ばしてたわ。

拗ねてるレスタも珍しいな。でも可愛そうだから仕方ない。


「レスタ!ごめんね!一緒に食べよ?」

食べよ?のよ?の部分で頭を傾げるのを忘れない。

「もう!誰も来ないから寂しかったんだからね!」

あーそれわかるぅーめっちゃわかわるーあれってさー寂しいって思ってもすぐ見つけてくれるって希望的観測あるからなかなか出て行けないんだよねー。


「はい!レスタは僕の隣だよ?」

彼女の手を出来るだけあざとく引っ張ると、そこにはレスタのにたぁーとした顔しかなかったからセーフだと思う。


初船旅の一日目は何事も無く終了したのだった。




二日目の朝


食事の後から海が荒れだした。それでも船はお構いなく進むけど俺は完全にグロッキーになってた。いくら魔法が使えようが俺にはどうしようもないんだ。


ターニャが心配してくれて眠るまで看病してくれたのがありがたい。そして朝、今現在の俺はターニャに抱きつかれてる状況にある訳だが。

ん~やっぱりなんかイタズラしたくなるよね?ターニャのほっぺを突いてみる。ふにふにしてて柔らかい!これははまる!ふにふにするとターニャから反応が返ってきた。


「にゃ~ふへシンはターニャがいないとダメなの」

どんな夢みてんだろうか気になる。

「んふふふ~」

ターニャは初めは幼女だったけど、今はもう二十代で魔術に関してはヴォルマでは一番なんじゃないか?と言うぐらいに凄いけどぐにぃは相変わらずだ。


彼女の髪を一房取り耳をこちょこちょして見る。

「ふぇあああんーシン寝顔も可愛いの」

何がや?何のこと言うとるんやこの嬢ちゃんは?

「ん~にゃむにゃん」

やだ何この生物かわいい!心臓がバクバクしてきた!!なんだこれ!!イタズラレベル上げたい!


そんな俺をよそに彼女は言うのだ

「シンがもっと大きくなったらターニャ達は……」

おい寝言は最後まで言えよ。


ただそれを聞いてイタズラはやめた。

天井を見て思う、十三年……その間、彼女達は俺の為に常に尽力してくれる。見返りなんてないのにな。当然、俺だって皆のことが好きだし今の環境も気に入ってる。ただなんでだろうか、このまま成長する中でいつまでもヴォルマに居る事が出来るのかな?不安になる。


今の俺は生きていないような気がする。ただ環境に甘えてぶらさがってるんじゃないだろうか?仮に二十代、三十代に成長した時、俺はどうなってんだろう。このままではきっと居られないんだよな、そんな気持ちが少しずつ膨らんできた。


ターニャを見るとまだふにゃふにゃ言ってる。

そんなターニャの手を握るとぎゅーされた。

彼女のぐっが顔にきたけどいつもみたいにきったあああああああああてなれない。別に小さいからじゃないよ?本当だよ?嘘じゃないからね?

ターニャがぎゅーをした後、彼女は目覚めたけど俺はとっさに寝たふりをしてしまった。彼女は俺がまだ寝ていると思ったらしく。


「んにゃ~そのまま寝ちゃった。んふふ。髪真っ黒でサラサラで気持ちいいの。ターニャはもう身長追い抜かれちゃったの」


こそばいのでそろそろ止めて頂きたいがやめないで!俺はどこかでぐっを下に見てたのかもしれない……もちろん「ぐにぃ」も「ぐっ」も好きだ!でも「ぐにぃ」が上で「ぐっ」が下だと決め付けてたんだな。


だがそれは!数字が悪いんだよ。数字に踊らされて生きてる人間は絶対多い……俺は誓う!ぐにぃ達に上も下もないんだ!全てを愛する気持ちそれが大事なんだ!それが好きって事だ!


それがあああああ俺のおおおおおおお愛だああああああああ!


「ひゃっう!」

抱きつくターニャに抱きつき返してた。いいでしょこんぐらいな!

「ん~シン寝ぼけてるの。んひひひ。シンはもっと大きくなるの、もっと楽しいことが待ってるの他にも沢山あると思うけどシンなら大丈夫なの」


沢山と言う単語だけが凄く頭に残った。

だって俺はずっと楽しいことしか経験してないからな。訓練で辛いとかそんなんじゃない辛いとか大変は絶対にやってくる時が来るんだから。


ベットから起き上がり部屋を出る直前に。

「もう少しだけ寝てていいの!んちゅ」


おおおおい!ホンマかいな!ほっぺにちゅうされてもうたで……いつもならぐにぃきたああああああああとか俺なるやん?でも今回のは何かそういうんじゃないって中身のおっさんは分かるんやで?童貞やないんやで?


ターニャが出て行った後、俺はちゅうされたほっぺに手を当てていた。

時間になったらターニャが起こしに来てくれる事を楽しみに眠りに落ちたんだ。

二章も残り数話程になりました。

いつもながら皆様ありがとうございます。

ブックマークも重ねてありがとうございます。


これからもどうぞ宜しくお願いします。

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