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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第二章 転生編
14/217

まだまだ効果はあるようだ

早いもので十三年 

俺の身長はすでに165まで伸びで、成長期の恩恵を日々感じている。フェルの話を聞いてからはより一層訓練に励み、訓練でもフェルに負けず劣らずの所まで成長した。魔法に関しては結局ヴェルさんの言ったとおりで全て上級止まり闇魔法に関しては素質ゼロ。


試しに火魔法の上位である緋クラスの魔法を練習したけど暴発してターニャに本気で怒られた。怒っても怖くないターニャは俺に身長を抜かされたのが気に食わないようで底の厚い靴で差を埋めようと努力していた。


艱難汝を玉にすと言うが玉から生まれた俺にもそれは当てはまるようで、ある程度の初期ブーストこそあったが以降はまったく作用していない。努力に裏打ちされた強さの方が強いからなこれでいいんだわとポジティブに無理矢理移行した。


本日の俺の予定は見事に何にも無い。暇なのだ。

魔法の訓練はターニャがもうする必要ないと言うし、武道ではフェルが「私に教えることはもうありません」なんて格好いいこと言われたし。自分で言うのは気が引けるけど確かに強くなったと思うけど、ただ圧倒的に実戦の経験が無いのが最近のフラストレーションの一因になっている。暇だし実戦の経験がしたいとルナにそれを言ったら。


「平和は良いことなの!シンが戦わないで済むってことはそれで良いことなの!」

「シン様は自分の実力を測りたいのですね」

「そーなるのは仕方ないんじゃない?シンちゃん街まで行く許可こそ貰えてるけど街からまともに出た事無いもんね」

「シンは強いって言っても納得できてないの」

「シン?力に溺れてしまってはいけませんよ?」


「ぶうううううううう!ぶううぶうぶぶうう!」


「シン、十三歳でも凄く可愛いわね!」

「可愛いですね」

「ふにふにしたくなるね」

「ターニャは身長抜かれたの……」

「ふふっ可愛いです」


「ぶうううううううううううううううう!」


「あら、そんな顔はしちゃダメよ?」

「シン様、そんなお顔はなさらないで下さいませ」

「あはっは!シンちゃんすっごい顔になってる!」

「その顔はターニャ嫌いかも!」

「シン?顔が戻らなくなりますよ?」


「うわあああああああああああああ!」


「シン五月蝿いわよ?」

「シン様お静かにお願いします」

「はっははうるさーーい」

「シンうっさいの」

「シン落ち着きなさい」


「だってぇ!だってぇ!」


「シン?地面をゴロゴロしても何もないわよ?」

「シン様汚れてしまいますからお止め下さいませ」

「シンちゃん駄々っ子ね」

「シン汚いの」

「シン?いけませんよ?」


「るなぁ~」

「うっ。だっダメよ?」

「まぁ~れぇ~」

「しっシン様、いけません!」

「れぇすたぁ~」

「はははかわいい!」

「たーにゃ~」

「うぅううだっダメなの」

「ふぇるぅ~」

「だめです」


反応を見るとレスタなら行けそうだな、実戦云々より暇を持て余してるのが辛い。メインターゲットロックオン……目標レスタ。カサカサカサ!!!

魔力で身体強化をしたらこんな動きができるのだ。


「シン!その動きはしないでって言ったでしょ!」

「シン様、お願いしますから。それはダメです」

「あっはははすっごい動き!」

「シンきもちわるいの」

「シン、やめなさい!」

レスタの足元までカサカサで移動して彼女の脚に絡みつく。

「ひゃっう!なっなにかな?シンちゃん!!」

「れぇすたぁー」

ルナ達は少し羨ましそうな顔をしているが無視してレスタへ攻撃を開始する。


「どうしたの?シンちゃん?」

「ぶううう」

「あはは可愛いね!」

「にゃあああ!」

レスタが俺を引き剥がし立たせると、手を首に回すと抵抗虚しく引き寄せられて……きたあああよおおおおお久々のぐにぃいいいいがっ!!

ほっぺが幸せすぎて落ちそう。


うーん。このぐにぃはいけませんな!まったくけしからん!レスタのぐにぃは半端なくふにふになのだ。実際、俺の顔は少し埋まっている。最高です!ぐにぃ協会の会長が言うんです間違いないです!


「シンちゃん顔がにやけちゃって!エッチねぇ~」

「ふぅああレスタがしたんじゃないか!」


「しっシン?たまにはアタシの部屋に遊びにきなさいよ?」

「シン様、買い物に行きましょう!」

「シン、ターニャと魔法の訓練するの!」

「シン?私と稽古しましょうか?」


「ダ~メ!ウチと遊ぶの!買い物に行く?それとも馬に乗ろうか?」

「いいの!?馬に乗りたい!乗りたい!」

「シン?馬ならアタシの馬に乗りましょう!」

「れっレスタはまだ仕事があるでしょう?」

「そっそうだ!ターニャはもう終わってるもん!」

「騎乗は不得手ですっ……」


「ウチ昼までに仕事終わらせるから終わったらお昼一緒に食べて馬に乗ろ?」

「おー!!」

「「「「ぐぬぬぬぬっ」」」」

「お昼前に庭の椅子にでも座って待ってて!」

「わかった!」


まだ皆には俺のあざといverの力は効くようだぜ!お昼から楽しみだなぁ~!馬には何度か乗ったけど一人だとまだうまく行かないから今日は練習だな!



龍殿の鐘が鳴る。

俺はレスタを椅子に座り待つ。お昼なにかなぁ~いい感じにお腹減ったし早く食べたい。ぼけーと空を飛んでる鳥を見てると


「シ~~ンちゃん!」

「ふごぉ!」

目の前が真っ暗で息ができねぇ!だがしかし俺には分かる!俺の皮膚が!神経が!これが何かを教えている!ぐにぃきたあああああああああああ!

なんという重圧!息が本当に出来ない……。


「ふぃふぃふぁふぇふぃふぁふぃ!」

「あっ!ダメだよ息かけちゃ!」

重圧から開放される。まさに暴君!これは凶器!

人の命を圧殺する凶器だ!


「げほっ!レスタ重いよ」

「重いとかいわないでよ」

「レスタが悪い」

「そんなこと言うとお昼あげないよ?」

「レスタ可愛い!」

「うむ。よろしい」

「シンちゃんお腹すいてる?」

「うん。ぺこぺこだよ」

「じゃあここで食べてから厩舎行こうか!」

「おー!」


レスタがお昼ごはんを広げてくれる。

ヴォルマでは漁師がアッズル海で毎日のように漁へと出るため市場には魚介類が多く並び、グラネ大連山の方へはギルドから常に肉やモンスターの素材関係の依頼が出ているので肉の供給も魚ほどではないがある。


パンは黒くて固いものが多い。

小麦は海を挟んだ向こう側の国クラジョコラジュから多くを輸入しているらしく、食に関しては似てるものが多い。どんな世界でも取れる素材が似てたら料理も似通うのは当然たった。


お昼ご飯はタコ系の触感のあるピオスコ、トマトにしか見えないマロモドをスープにして、ジャガイモにしか見えないパタモを蒸かして煮込んだ料理だった。何これおいしい!うめぇよこれ!


「シンちゃんって顔にすぐでるよね」

「え?そんな顔してた?」

「うん!凄い笑顔で食べてくれてるから作ったかいあったわ!」

「作ってくれたんだ!すっごいおいしいよ!」

「あはは!ありがとう!」

「レスタは料理苦手だと勝手に思ってた!」

「それはウチがガサツだって言いたいのかな?」

「違う!以外な一面で逆にいいなぁって思った!」

「にひひ、嬉しいこと言ってくれちゃって!」

「ほっぺ突かないで!」

「んふふ!さっき作ったばかりだから暖かいうちに食べちゃおう!」

「うん!」


レスタの料理に舌鼓を打つっていると

「シンちゃん!あ~ん!」

「ふぇ?」

「あ~ん!」

「え?僕がするの?」

「あ~ん!!」

「むっ、あ~ん!」

「んんっ。ふぉふぁ。モグモグ」


レスタの口にデカめのパタモを突っ込んでやった。

どうだ!ははは。熱かったらしくホクホクしながら食べ終えると。

「シンちゃんもあ~ん!」

「いいよ。自分で食べれるもん」

「あ~ん」

「レスタ?少し目が怖いんだけど」

「あ~ん?」

「うっあっあ~ん」

「うばば!ふぁふぁふぇ」

「あっはは!仕返しだよ」


腹八分になったところでご飯は終わり、心地いい満腹感ってのは幸せでいい。はぁ~いい感じすぎて睡魔が手招きしてくる。光が暖かくてふわふあしてくる。

「んっん~」

「あらら起きちゃった?」

「ふぇ~?」

「おはようシンちゃん」

「あっごめん寝ちゃってた」

「んふふ。いいよ全然」


あまりに心地よくて寝落ちしてた、右のほっぺが暖かいこのまま寝てたい。

「ほぉらシンちゃん起きて?厩舎いくよ?」

「ん~もうちょっとだけぇ~」

「ダメ。起きなさい」

「クッションが気持ちいいからもうちょっとだけ」

「あははっ!シンちゃんはえっちね~」

「ん!」


すぅ~と体を本来の真っ直ぐに戻して右を見るとレスタが寄り添うように座っていた。俺はなんてこと!なんてもったいない!俺ってやつは!もうっ!

レスタのぐにぃに顔面ぐにぃして寝てたらしい。

ぐにぃクッションさいこおおおおおおおおお!

「あっ!ごっごめん!」

「ん~別にいいよぉ~?クッション気持ちよかったんでしょ?」

「はっはい……」

「あっははっ!ならば許そう!」

「ありがとう」

「それは何のありがとうかなぁ?」

「りょっ両方です!はい!」

「ふふふ。正直だから許す!」


レスタとそんなやり取りをして俺達は厩舎へ向かった。いつもメイド服のレスタは格好いい馬術用の服を着ている。

「じゃあ乗ってみようか!」

「はい!」

「今日も宜しくなっ!ドリドゲス!」

「ヒヒ~ン!!」

「シンちゃんの馬だからいいけどさ、なんでドリドゲスなの?」

「え?格好いいよ?ドリドゲス」

「そっそうだね格好いいね」

「うん?」


やはり女性にはこのカッコいいのが分からないんだろうな、ドリドゲスは青鹿毛なのに白い靴下を履いた綺麗な馬なのにな。他の馬はみんな同じぐらいのサイズなのにドリドゲスだけは、ばんえい競馬の馬並みにデカい。馬並みだけどな。

「じゃあシンちゃんはウチの後ろに付いて来て」

「はい!」


ドリドゲスは賢い馬で人間の言葉が分かってるんじゃないかと思う時がある。俺は何もしてないのにレスタが乗る月毛のヴィネジュに付いていく。

「ドリドゲス、お前は本当に賢いな!」

「ヒ~ン!」


レスタの後ろに付いて行くと急に速度を上げた、俺は指示を出そうとするとドリドゲスは勝手に速度を合わせる。まじでこいつ人間が中に入ってんじゃないか?と思う程に賢い。

「なぁドリドゲスは本当は人間なんじゃないの?」

「ヒ~ン?」

「そんな訳ないか……」

「ヒイ~ン」

「ヴィネジュが好きなのか!」

「ヒ~~~~~イン!」

「そうかそうか!好きなのか!」

「ヒ~ンヒ~ン!」

「後でちゃんといい感じにしてあげるから」

「ヒーーン!」


俺はドリドゲスに乗ることだけは上手くなって暫くレスタと騎乗訓練をした後、俺達は馬を綺麗にしてやる為に水場に向かう事になった。ドリドゲスは十歳の時にレスタが馬には乗れた方がいいと買って来てくれた馬で、初めて見た時は凄く小さかったのに今では他の馬より大きくなっている。


レスタにはまだ一人で乗ってはいけないと言われたので暇さえあればドリドゲスに会いに行ってたものだ。会いに行く度に喋りかけていたらドリドゲスも反応を返してくれるようになって、今や俺にとって数少ない馬友達になっている。


「よーしドリドゲス今から体を洗ってやるぞ!!」

「ヒイーーーーン!」

「ん?どうかしたの?」

「ヒヒヒヒーン!!」

「ヴィネジュの横で洗って欲しいの?」

「ヒーーーーン!」

「まかせとけ相棒!!」

手綱を引いてヴィネジュの近くまで行くとレスタがスペースを空けてくれた。


「ドリドゲスは大きいから手伝ってあげようか?」

「ううん!自分でやる!」

「ドリドゲスのこと大好きなんだねーシンちゃん」

「友達で相棒だからね」

ドリドゲスを洗いブラッシングしてやるとツヤツヤのイケ馬に変身さ!さっきからチラチラとヴィネジュをチラ見しているドリドゲスにアドバイスをしてあげることにした。


「あのなドリドゲスよいいか?よく聞くんだぞ?」

「ヒ~ン?」

「男のチラ見なんてもんはな女からすりゃガン見と同じなんだぜ?」

「ヒッ!!!!」

「それにな女って言うのはあっけらかんとしている雰囲気出してるけどな男の目線には機敏で分かってるんだ」

「ヒン↓」

「お前はデカくて格好いいんだから真正面から正攻法でいけば良いんだよ、性向法じゃないからな?いきなりエロ目線じゃダメなんだからな!」

「ヒンッ↑」

「さらっとヴィネジュの横に行って来いよ!」

「ヒヒンッ↑↑」

ドリドゲスを押し出してやるとヴィネジュの横まで行きまるで挨拶するように頭を下げていた。ドリドゲスを見ると格好良いと感想が漏れるがヴィネジュは綺麗で御淑やかな感想を持つな、レスタに色々聞いてみようかな?


「ねーレスタ!」

「どうしたのシンちゃん?」

俺はレスタの手を引っ張ってしゃがんでもらうと根掘り葉掘り聞き出す。

「ヴィネジュは女の子だよね?」

「うん?そうだよ?」

「好きな子いるのかな?」

「え……」

「だから好きな子いるのかなって?」

「あっあのねシンちゃん?ヴィネジュは馬だからさ?いくらオトシゴでも」

「何言ってんの?」

「えっ!!」

「あのね、ドリドゲスがヴィネジュのこと好きなんだって!」

「あっあーああ!」


まさか俺の馬好きがそういった対象に見られるとは……いや流石にそれは無いだろ。そりゃ俺は馬は大好きだけど馬は馬じゃん!


「でっ?どうなの?」

「ヴィネジュはねー決まった相手は居ないねー」

「なんで?綺麗だよ?美馬だよね?」

「ウチもあの子は他の雌馬に比べて綺麗だと思うし、他の牡馬が何度も近づいてるの見たことはあるけどいつも蹴られてるね」

「なんで!!」

「どうなんだろうねーあの子も五歳だし興味はあると思うんだけどね。そうかードリドゲスはヴィネジュが好きなんだね」

「できたら付き合いを認めてあげてください!」

「あっははは!まるで結婚する子供見たい」


馬達の方を見るとドリドゲスが蹴られてた。

でも図体が大きいドリドゲスからしたら可愛いもんらしく、蹴られてもまた近づいて蹴られてる間違いないドリドゲスはMだ。


「いつもなら一回蹴ったら牡馬は逃げるけどドリドゲスは違うなー」

「ドリドゲスをそこらの馬の骨と同じにしないで欲しいね!」

「あはははっ馬の骨って」

「ドリドゲス!頑張れ!!」


結局、八度目の蹴りを食らっても食い下がらないドリドゲスにヴィネジュの方が逃げた。俺はドリドゲスを撫でながら良くやったと褒めて上げることにした。


「ドリドゲス!お前は凄いぞ!」

「ヒッン↓」

「大丈夫!まだチャンスはあるから!」

「ヒン?」

「今までヴィネジュの蹴りから逃げなかったのはお前だけなんだって!」

「ヒ~ン???」

「次だ!次!また頑張ろう!行けるって!」

「ヒン!」

ドリドゲスの為に人肌脱いでやる覚悟は出来ていたがまた違うお話である。


皆様のお陰でユニークアクセスが1300を超えました!

二章はまだ暫く続きますが今後とも宜しくお願いします!


いつもながらですが、読んで頂いてありがとう御座います。

ブックマークして下さっている方もありがとう御座います。



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