無詠唱と創作魔法
目まぐるしい時の流れに合わせるように俺は心も体も成長していく。転生前には無かった知識・技術と言った中身は皆が与えてくれて、それに答えようと努力は惜しまない。何かに挫折したり逃げ出したりするような事態が無いのが逆に怖いって思えるぐらいで、今の所は後悔したような記憶もないしな。
季節は空皇、十年、聞けば長く言えば短いと感じる時間の流れの中で日々を楽しんでる。
十歳になった俺の本日の行事はターニャと魔法の訓練。ちんちくりんだと思っていたターニャはマーレとレスタより魔法を教えるがうまいんだぜ?マーレもレスタも実践での感覚派でターニャは魔法に関しては二人を凌駕している事実に驚いたわ。
「今日は護衛魔術師達の訓練所に行くからね」
「いつもみたいにフェルの所でやんないの?」
「今日はシンの魔法試験するの!」
「え? やだメンドクサイ」
「先生の言うことは決定事項だもんね!」
「なんで今更そんなこやるのさターニャ」
「ターニャじゃなくてせ・ん・せ・い!」
魔法を教えてくれるにあたってターニャは俺に先生って呼ばれたいらしい。だから俺は先生と呼ばない絶対にだ! だってそっちのが楽しいからな。
「ねぇターニャ魔法試験って何するの?」
「ムキイイイイ!」
エルフの成長速度は二十歳ぐらいまで人間とは変わらないらしい。二十歳を過ぎると急激に老化速度が落ちるみたいで、ターニャも既に見た目二十歳だが中身で言うと成長してるように見えない。現に先生と呼ばれないから俺の頭をポカポカしてるし、身長も160まで伸び俺は140で勝ってることを胸を張って喜ぶ始末。ぐにぃは残念ながら「ぐっ」が「ぐっぅ」程度にしか成長してない。
「シンがちゃんと力をコントロールできるか見るためにするの! 分かった!?」
「はい、姐さん!」
「姐さんっ♪」
姐さんって呼ぶと「んふふふ~♪」って腰に両手を当て、鼻をならして胸を張って威張るのも変わらない。威張るぐにぃないし、それにぎゅーも相変わらずしてくるし。
ターニャに手を取られ訓練場まで行くと王宮守護隊の魔術師達が訓練してる。この数年でルナ達以外の人達とも仲良くなった。特に魔術の訓練に多くの時間を割いてきたから魔術師達とは仲良しだ。街にもよく連れて行ってくれて可愛がってくれる。
初めてマーレと街に行ったあの日に感じた違和感はヴォルマには男よりも圧倒的に女が多いってことだった。シルキー族が五割を占めていて残りがエルフと人間に獣人といった具合。人口も四万人程度の国家らしい。他国から侵略や戦争が起こったのは二百年前でルナが生まれた年には終結してたそうだ。
魔術師達は五人ぐらいのグループに別れて訓練している。その内の一つのグループが近寄って来ていつも通り頭を撫でられる流れになる。
三侍女はルナ付きではあるが、実はマーレは将軍みたいな偉い役職付き。レスタは近衛の一番偉い人だし、ターニャに至っては去年に魔術師で構成された部隊のトップになってた。俺なんかその辺のゴミじゃんって思うぐらい三侍女達は有能でど偉い人達だった。
でも実際は
「あーターニャちゃんおはよう」
「むう? ターニャちゃんじゃない!」
「ふふ、コロンダンテ殿おはよう」
「うん! おはようシェルト!」
魔法部隊でのターニャはコロンダンテと言う地位らしくそう呼ばれるのが好きみたいで、一々訂正させるのも日課だった。
シェルトはターニャの補佐をしている三十代に突入したばかりのエルフ魔術師。彼女の得意魔法は土と火で何度か一緒に訓練しているがめちゃくちゃ強い。ショートカットの栗毛色の髪が綺麗で身長は170前後の脚が綺麗な女性だ。ちなみにぐにぃはD級な。既に俺のぐにぃバンクへに登録済みだ。
ヴォルマの魔法使い全般に言えることがある。
本来なら魔法使いは遠距離で魔法を放って厄介だが、シルキーやエルフが多いヴォルマではさらに脅威的なのだそうだ。魔法を使わせれば威力もさることながら、一番の脅威は魔法の展開速度で接近戦をしながらドカドカ魔法を使うところにある。二百年前の戦争時ではグランヴィータと呼ばれ恐れられていたとか、命の破壊者そんな意味だって教えてくれた。
シェルトが俺の頭をいつものように撫でながら
「シン殿もおはよう」
「おはようシェルト!」
「今日も一緒に訓練するか?」
「シンには今から魔法試験をするの」
「ほほぅ。試験か? 内容は?」
「魔法使うだけならシンにはもう簡単だからね」
「火と風と光は上級、水と土は中級……闇だけはな。でもこれを経った五年で習得するのはやはり凄いことだ」
「闇だけはどうにも感覚がわかんない」
「闇を扱えないのは珍しいんだぞ?」
「そうなの?」
「命ある者は多かれ少なかれ心に闇を抱える、故に誰だって闇魔法に関しては中級上級までは簡単に習得できるのだよ。それが出来ないってことはやはり凄いことになるんだよ」
「オトシゴだからなのかな……」
「それもあるかもしれないが、それでもシン殿はシン殿だよ」
「うん! ありがとうシェルト!」
いつも笑顔で元気なターニャがこの時だけは少し暗い表情をしていたのを見てしまった。その話を区切るように俺はターニャを先生と呼んで空気を入れ換えた。
「ふふーん。先生だって。ふふふ」
「ターニャ! 結局なにするの?早くしようよ!」
「むぅっ。」
「コロンダンテ殿?いっそ自分と試合形式で戦うというのはどうだろうか?」
「シェルトと試合か……んーいいかも!」
「えええええ」
「シン殿は自分と試合は嫌いかな?」
「シェルトと試合・・・ボコボコにされた記憶しかないんだけど」
「半年も前だろう? 勝てるかもしれないぞ?」
一切思ってないであろうことは言うまでもない。
なのに彼女はニカッと笑って言うあたり性質が悪い。真性のドSなんじゃないか?
「んなはっはっは」て笑いながら頭どつかれそうだよ。
「シェルトと試合することに決定。内容は武器は無しで魔法と格闘だけなの」
「了解した!コロンダンテ殿」
「うわぁ……」
シェルトめっちゃ喜んでんじゃんか、またフボッコのフルコースかよ。痛いんだよな。本当に痛いんだよ。
「勝てたらなんでもしてあげるから頑張るの!」
え! 今っ……いまああああ、なんでもって言ったよね?ね?とはターニャではならないんだよ~わっかるかなぁ。マーレが何でもって言うとさなーんかこう……いけない事してもいいんだ! 的な発想でテンションあがんだけどさ。ターニャだとそれは違うって感あるじゃん? いや、嫌いなわけじゃないんだよ?でも二十歳って言っても触れたらアウトになるかもしれないじゃん?
「なに? どうしたのシン? ……ハッ! ダメよそれはダメなのっ!」
何を自分で自分を抱きしめてやがりますか? 勘違いだよ。ターニャも大人になったんだよな、部分的なことはアレだけど俺は無垢で穢れない表情でいってやるんだ。
「ん? ターニャそれってなぁに?」
「へっ? えっとそのあれなの!お風呂に一緒に入ることなのっ!」
「この前ターニャから入って来たじゃないか」
「あっあれは、訓練よ! 訓練の後にケガが無いか調べただけなの!」
「ふーん」
「ぐぬぬぬぬっ」
「シン殿、色気付いたターニャはほっておいて始めようか?」
「コロンダンテなの!」
もはや無視、それが行幸!
シェルトの向かいに立って礼をする。ターニャはむくれて開始の合図をくれない。シェルトのグループのラヴァが開始の合図を変わりに入れた。
「シン殿かかっておいで!」
「おう!」
「地を走り薙げ! ディヴェント!」
風が地面スレスレに吹くとシェルト目掛けて進む。
シェルトは構えず見ている。
「それでは届かないぞ!」
それでいいんだ、俺はディヴェントで地面の砂を巻き上げるのが目的だからなっ! ディヴェントによって吹いた風の後を追うように砂が巻き上がる。
相手から俺が見えなくなればそれでいいんだ!
「せり上がり、行く道閉じろ! ポルタポルト!」
シェルトの手前に地面から高さ二mの土壁がズズゥと生成されさらに視界を奪ってやる。
「ここだ! 風よ切り裂き舞え! フォルラート!」
俺の両手から風の奔流が二つ土壁を避ける様に左右に弧を描いて飛ぶ。シェルトを左右から風が挟撃する。
「光よ我らが願う、光の束となり堅牢な守りを! ランテスクド!」
馬鹿正直に正面から突っ込んでも勝機は無いから一瞬にかけて見たが当たり前だよな。今ので終わらせるつもりだから自分の視界も防いでしまってるし。
俺はアホか! なんてな! そのまま全力で正面の土壁目掛けて走る。
「岩よ雨となり地面を打て! ディネトラ!」
シェルトはその場を動かずディネトラで拳ぐらいの岩の雨を降らせこちらの動きを牽制。十以上の岩の拳が降り注ぐ中いくつかが俺を掠めたが何とか避けれる。
スライディングで一気に土壁まで接近するのに成功。勢いを殺さずに「我が道を阻むモノを裂け! アブルフェンディ!」
目の前の土壁がパカッと裂けその隙間を縫うように滑る。シェルトが「おっ!」と言わんばかりに土壁を見ているチャンスだ! さっきのフォルラートの風でシェルト側の砂埃は四散しているけど真下からの魔法なら!
「天を貫き刺せ! スオバルダ!」
シェルトの足元から土で作られた槍が五本生まれ天を刺すのをスローモーションのように眺め滑る。
とったどぉおおおお! 避けれないだろ!
完全なタイミングで放ったそれをシェルトは槍と槍の間を踊るようなステップだけで避けたきった。俺はシェルトの足元でようやく止まったけど、そのままシェルトに踏みつけられた。
「ぐっくぅう」
「魔法の威力と展開速度は申し分無いが、目晦ましするなら相手には自分が見えないように。自分からは相手が見えるように動かないとダメだ」
そのまま転がすように蹴られてるが、その勢いで立ち上がるともう目の前にシェルトが迫っている。
「後、どんな状況でどんな状態であろうと相手からは目を離してはいけない」
右手首を左手で掴まれ一本背負いのような体制から空中に投げられた。落下する中でシェルトが動くのを目で追うが落下点に向かって既に動いている。
まずい、次で落とされる。これだけは絶対に見せたくなかった。こんな魔法使えばどうなるか分からないからだ。だがこの状況では負けてしまう。
せめて一撃だけでも入れてみせる! やってやる! こいつの破壊力は凄まじいぞ!
落下点の手前で俺を殴るモーションに入ったシェルトを視認して、あの魔法を発動。その魔法には名前なんて無い。あるのは結果だけ。目を見開き手を向けて放つ! いけえええええ!
「残念だが今回もシン殿の負けだ!」
直撃する瞬間にシェルトの拳はあるモノの感触を得たようだ。
ぐにぃぃいいい
「なっなんだこれは!」
ふははははは! これぞ龍之介魔法だ! あの爺さんはこのぐにぃを魔法だと言ったが本来の使い方では無いとも言っていた。調べてもこんな魔法無かったからな! あの爺は単なるエロ爺だっただけだ。
ただぐにぃを揉みたかっただけの為にこれを自分で創作したんだぜ? だから俺は考えたんだぐにぃの再現法をそして行き着いたゴールへと!
背中から落ちるが勿論すでに俺は地面にもぐにぃを展開している! ニートでミートだった俺の重圧すら簡単にハネのけたぐにぃなのだ! 今の俺の体重ぐらい余裕で受け止めるぜ!
ぐにぃいいにょん!
まるでトランポリン!
押し上げられた勢いを殺さず頭からシェルト目掛けて突っ込む。シェルトにぶつかりそのまま倒れこんだ。
「ううっ」
頭が痛い。起き上がろうとすると手にぐにぃがきた。あれ? こんな範囲まで展開してないんだけど。
体の下に柔らかいものがあった。シェルトを下敷きにして俺は彼女のぐにぃをぐにぃしてた……両手でな! やっぱり本物って素晴らしいね。
この暖かさだけは俺のぐにぃでも未だ再現できてないんだよね。ぐにぃ。
「んっ。シン殿、いつまでそうしているんだね?」
「えっ?」
シェルトと目が合う。やばい、これはイカンぞ。事故とは言えイカン。彼女がジト目で俺を見つめる。やるしかないな、アイツを呼ぶぞ!!
「やったぁ~ぼくの勝ちぃ~」
そのまま抱きついてやった。彼女は抱きつく俺を受け止めて頭を撫でてくれる。
「うっうぅ~」
齢十歳になるからそろそろこの技も通じにくくなってると思ったけど、存外まだやれそうです。
「そこまで!」
ラヴァの合図で試合は終わった。
「シンがんばったの」
ターニャがこちらに向かって歩いてきたのを確認するとシェルトが俺を立たせて俺も彼女に手を差し出す。
「油断してたのは自分だったな。シン殿、最後のアレは一体なんなのだ?」
「え~とね。自分で造った!」
龍之介がやってたのを見たのは事実だが再現まで自分の力で持っていったんだから、別にいいよね?
「シン、魔法を自分で造るなんて……はぁ~」
「別にだれでも出来るけど?」
「シン殿、魔法は確かに造ろうと思えば幾らでも造れるんだよ。その殆どは役にも立たないし無駄が多くて現状の魔法に劣るようなモノばかりなんだ」
「そだね。でもシンが最後に使ったのは実践レベルで十分に使える事が証明されたの。試合とは言えシェルトの拳を止めちゃったんだもんね」
「でも最後のは詠唱してなかったようだが?」
「えっホント?」
こちらを見る二人の目線が怖い。
今回の試合で行使した魔法は上級ばかりで詠唱自体が短いものが多い。上級以上の魔術師なら中略なんてのは出来て当然らしい。ただ詠唱破棄の概念自体はディルカーレには存在しないとかなんとか。
まずいでこりゃやってしもたで……。
詠唱破棄自体は実はあの蒼い西瓜球の時から出来てたけど誰にも言わなかったんだ。「詠唱したよ?飛ばされてる時に」誤魔化したほうがいいだろ絶対。
「何も言ってなかったと記憶しているが?」
「ひゃ?」
「シン、正直に言ってよ?それともその魔法の詠唱聴かせてくれるの?」
一か八かだな!
「龍のー助~だちを~かりーてーわれをーまもりたもぉーれー」
空気が痛い。二人とも目が怖い。もうやだ帰りたい。おらぁあけえぇえってマーレにぎゅーされたいだけなんだぉ~
「シン!」殿!」ほっぺを両サイドから引っ張られた。
「ほっへいふぁふぃいいいいい」
「ちゃんと言うの!」
「ふぉふぁ~いふぁふぉうふぁんふぇふぃふぇふぁふぃいい」
(おぱーい魔法なんて言えない)
「シン殿? 正直に言えばいいだけだぞ?」
っち使うかこいよ俺!
二人の手から無理やり逃げて見据える。
「ぼぉくにもわかんなぁいよぉ(ごろにゃ~ん)」チラッチラッ
「今はそんなのいらないの!」
「真面目に聞いているのだよ?」
あっ。効きませんかコレ。
もう無理ですか、そうっすよね、悲しい……。
「グスン、グスン。ふぇええええん」
泣いてみた。
半分はあざといverの俺が通じない悲しさも相まって泣いた。
本気でなっ!
「あれ? えっ? 違うのシン! 別に怒ってる訳なんかじゃないの!」
「シッシン殿、なっ泣いてはダメだ」
「ふぁあああん。ダーニャどジェルドがぁいじめどぅよおおぉおおお」
周りに居た魔術師達も何事かと注目を集めてしまっているが気にせずいこうか。
「ダーニャもジェルドもぎらぃぃぃいいいい」
「きっきらいなんていわないのぉぉ!」
「シン殿?嫌いなんて言わないでくれ!」
「ああああーああーーあーー」
少し演技で泣いてみたもののなんかスイッチ入っちゃった♪
「何事ですか?」
お助けフェルちゃんきたあああああああ。
「フェルチ?」
「フェルチ殿!」
「フェルぅううう」
俺はトタトタ走ってフェルのお腹辺りに顔を埋め泣きを続けた。
「ううぅうああああん」
「どうしたんですか?」
「あどでぇ~ぼくでぇ~」
うーんこれだと芸人みたいになっちまうな、自分でやってて笑いそうになるわ。
「シンまずは落ち着きなさい?」
フェルが頭を撫で背中をトントンしてくれる。あーこれは心地いいかもしれん。フェルはいつもいい香りするんだよ。あーこれはいいわー。寝そうだわ。
寝てもいいかな? フェルが俺を引き剥がして膝立ちで目線が合うまで堪能しましたよ。
「大丈夫ですか? 怪我をしたのですか?」
「グスン。ぐんでんしでだら、ダーニャとジェルドぅあああああ」
抱きついて泣いた。とても綺麗な髪がくすぐったいけど安らぐんだよ。どうせそろそろこんなのも出来なくなるから最後に一花咲かせたいわけよ?
「二人が何をしたんです?」
「ぼぉくがぁかったのぉおにぃいじめどぅうのお」
フェルが二人を見て促すと二人が説明し始める。
俺はその間に抱きついて寝落ちしそうだった。
「べっべつに虐めてなんかないの!」
「そっそうだ。話を聞こうとしただけで決してそのようなことは無いよ」
「こんなに泣いてるシンは初めて見ますけど?」
「だっだからターニャ達も驚いてるの!」
「あっああ。いつもどんなに辛くても泣く事は絶対ないから」
「はぁ~シン? 私にお話聞かせてくれませんか?」
「グスッ。グスッ。ダーニャきだでぃいい。シェルトごわびぃい」
「きっきら……い」
「こっこわ……い」
二人が相当落ち込んでる。これ以上は悪いからそろそろ止め時だな。
ラヴァがあの~と間から話に入ってくる。
ラヴァはシルキーで髪はショートでストレートの紫色をしている。身長は170と高くモデル体型でゆったりした印象の素敵な女性だ。ちなみにぐにぃはD級だよ! バンクにも登録してる言うまでもない。
「わたしが試合を一番近くで見てましたのでお話できると思いますが」
「お願いできますか?」
「はい。問題は一番最後に無詠唱で創作魔法を使った所にあるんです」
「無・・詠唱に創作魔法でっですか?」
フェルもびっくりしてらぁ。
フェルは魔法もできるがこう見えて実の所は超武道派で俺の武道のお師匠様はフェルなのだ。見えない速さで後ろを何度も取られたし、何度も投げられたし、しかも魔法も使うからチートやで。
「そうなの! だから話してって言っただけなの」
「あぁ。間違いない」
「ただその~シン殿に話を聞くときに相当に迫るような感じだったので」
「「うっ」」
「そうなのですかシン?」
「うん。凄く怖かった」
「シン? 私に話してくれますか?無詠唱と創作魔法のことを」
「うん。フェルならいいよ」
「シン! あのごめんねっ! 怖がらせるつもりなんてなかったの」
「すまないシン殿、ただ驚いていたものでつい」
「ターニャもシェルトも謝ってますから許してあげられますか?」
「うん」
「ありがとうなの」
「感謝する」
「ではシンお話できますか?」
「あのね無詠唱はね……昔に庭に穴を開けちゃったことがあったでしょ?」
「蒼い火の球ですね?」
「そういえばあったの」
「話には聞いていたが」
「あの球も何も言わないでもできたんだ。あの後から魔法の訓練してたけど何も言わないでもできたんだよ」
「何故何も言わなかったのですか?」
「皆少しだけ怖かったから言えなかったんだ」
「そうでしたか。シンは今の段階で行使できる魔法の全部を無詠唱で出来ますか?」
「できるよ?」
「それって五歳の時点で無詠唱で魔法が使えたってことなの?」
「まさかこれ程までとは」
「シンは凄いことが出来ているのですよ?」
「本当?」
「凄いってレベル超えてるの!」
「詠唱中略はある程度の者であれば出来るが破棄となるとな」
「あまり多くの人には見せないようにしないといけませんね」
「そうだよね」
「悪意に利用されかねんな」
「大丈夫だよ?悪いヤツがいても絶対そんなのに利用されないよ?」
「そうですね。その気持ちが大切ですね」
「後はシンさっきの創作魔法のことなの」
「あれは本を読んで少し魔力の流し方を変えたらできたよ?」
事実あのぐにぃを再現するのは大変だったが意外と簡単と言えば簡単だったのだ、ただ俺基準になってしまうけど。これは正直には言えない。
「何も教わらずにそんな高度なことを一人でとは」
「もうぐぅの音もでないの」
「本当に凄いですね」
「えへへへ」
「ですがシンどれだけ凄いことができても傲慢や慢心をしてはいけませんよ?」
「はいっ!」
これにて俺が無詠唱とぐぃにを使える事が周知の事実となった。フェルに悲しい思いとかそんなのをさせたくないからな努力はし過ぎるということは無いからな!
その後、ルナに目が真っ赤ね! 誰に泣かされたのかしら! って事情を知らずに怒ってターニャが全部ゲロった。結果、俺が無詠唱で魔法を行使できることには誰にも言ってはいけないって命令が出されることとなった。
初めて少しの戦闘シーンを書きました。
凄く難しい、分かりやすかったでしょうか?
しばらく日常パートが続きます!どうぞ宜しくお願い致します。
毎回の事ではありますが、読んで下さる方にブックマークして下さった皆さん
ありがとう御座います!