表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Toy Soldier  作者: 教祖
2/3

【1章】第2節~「つよし」と呼ばずに「ごう」と呼べ!~

 「よっ! 大和やまとおはようさん」

 腕を組んだ男が俺の名を呼び、手を挙げて挨拶してきた。

 「おはよう。今日も暑いな。つよし

 後ろ手に玄関の扉を閉めつつ、毎朝迎えに来てくれる友人に感謝の気持ちを込めて笑顔で返してやる。

 「つよしちゃうわ!ごうや!ご・う!」

 「わかったよつよし

 「自分ケンカ売っとるんやるやな? そうやろ? そうやんな?」

 「そんなことないですよwww つよしさん」

 「よーし。いっぺんシバいてみよか。話はそれからや」

 ゴキゴキと指の節を折りながら近づいてくるつよし

 「ごめんごめん。もう言わないから許してください」

 「ほんまやな?」静かに拳を下ろすつよしwww

 「もう絶対言わんよっ☆つよs」

 メシャッ!と頭蓋骨が嫌な音を立てて軋んだ。ほかでもない。剛にアイアンクローをされたためである。

 「もう言わん言うたよな?」

 俺の顔を片手でつかみあげながら剛が問うてきた。

 ヤバい目がマジだ・・・。てゆうかそんなに強く握ったら壊れちゃう。主に俺の脳が。脳のお味噌がコンニチワしてしまう。

 「はい。もう言いません。ごうさん。」

 「よし。」

 剛はスッと俺の顔から手を離した。

 痛てて・・・。ふー。危ねえ。危うく自分の脳味噌と奇跡の対面を果たすところだったぜ。

 この男の名前は、草薙 つよし。決して、某アイドルグループの人ではない。

 先ほど、頑なに「つよし」と呼ばれるのを拒んでいたが、この名前が本名なので「つよし」と呼んでいた俺が正しい。

 だが、どうもヤツは「つよし」と呼ばれるのが嫌いらしい。理由は不明。

 そして身長180センチでなかなかの男前。バッチリ決めた今どきのチャラチャラした髪型とガタイのいい筋肉質の姿は女子からの人気も高い。(恋愛対象というだけではなく腐女子の方からも・・・・)

 そんな奴だったから始めは俺もかかわろうとは思わなかった。なぜかって? そんなの決まっている。

 そうゆうやつは決まって俺のような人種を徹底的にいたぶってカモにするからだ。

 教室でラノベを見ていれば、

 「うわーっ!出たよオタク小説!キメー!そんなのばっかり読んでるから友達もカノジョもできねーんだよwww」

 とか言ってくるし、そこに女子がいれば、

 「なあ?こーゆう奴と付き合えるやつとかいんのかな?wwwお前ならどうよ?もちろん?・・・・あっはっはっは!だろうなー。いやほんっと、こんな奴とつるんでやってる俺マジやさしいよな?」

 なんて女子を話に絡めながら、俺をいたぶりつつ自分の女子からも評価も上げる糞みたいな会話を展開しやがる。

 剛とちゃんと話すまでは、奴らと同じような人間だと思っていた。

 今になってみると本当に申し訳ない・・・・。

 「おーい?どないしたんや~。変なもんでも食ったんか?」

 「うおっ!」突然剛の顔が目の前に現れて思わずのけぞってしまった。

 「なんやねん自分!急にわしの事じーっと見て動かんようになったと思たら、今度はわしの顔見てびっくりしよってからに。」

 両手をぶんぶんしながら剛が抗議してきた。

 お願いだからその巨体で両手を振り回すな。本来それは、二次元女子がやるべき行動だろうが。お前がやったらただのラリアットだ。当たったら脳震盪でも起こしかねん。

 「いや、お前のこと見てボーっとしてたのは悪かったけど、急に目の前に人の顔が出てきたら誰だってびっくりするだろうが。」

 おまけにお前の顔は彫りが深くてゴリゴリだから、ソッチ系の人かと思ったんだよ!掘られるかと思ったわ!とは言わないでおこう・・・・・・。

 「ほう。そりゃすまんかったな。なんにせよボーっとすんのも大概にしいや」

 「ああ。気を付ける」

 さてと・・・・。静かに呟いて、トンットンットンッと軽快に玄関の前の階段を降りると

 「ほな!今日も一日気張って行こか!」

 と学校のある方向に向かってヒーロー戦隊もののような格好で指をさしながら俺に向かって言ってきた。

 「おあ。」少しの高揚感とともに階段を降りる。さて、今日も楽しくなりそうだ。

 



                                次へ

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ