小泉部長の苦悩
初の投稿です。不慣れですので、理解しづらい部分もあると思いますが、気楽に読んで頂ければ幸いです
とある学校の部室
窓からどんよりとした空模様
雲一つ無い快晴だったら、どんなに良かっただろうか
「本当最悪マジふざけんなおい柴田誰の所為だと思うこれ?」
「小泉、お前の所為だと思う」
向かい側に座る眼鏡を掛けたキツネ目の男子生徒、柴田ははっきりと言った
「はい、そうですね全部俺の所為ですよ!!流星群くるから部活動出来るって期待した俺が悪かったですよこんちくしょう!!」
「逆ギレすんなよ。まあ俺はこうなると分かってたけど」
「えぇ……マジで……?」
天文部部長、小泉はバナナの皮があれば必ず転び、仕掛けがあれば必ず引っ掛かる
周りの人は彼の事を"不憫で片付けられる男"として認識していた
小泉はぐってりと机に突っ伏して空を見上げる
やはり空は灰色に染まっていた
「ごめんな柴田……俺の所為で部活動出来なくて」
「大丈夫、お前が部長に就任してからもう分かってたから」
「流石柴田マジ天才、あとそれ褒めてるの?」
「小泉部長」
名前を呼ばれ顔を上げた瞬間、ビシッと額に何かが当たった
トゲトゲとした砂糖菓子――金平糖だった
こんなもの投げつけるのは一人しかいない
「食べ物を投げんな野上!!」
「いやいや、これは小泉部長を慰める為にやってるんですよ」
部室の入り口には黒髪をポニーテールに纏めた女子生徒、野上がいた
「金平糖投げて慰めるってどうゆう事だよ!?」
「名付けて金平糖流星群です」
そう言いながら野上は両手にエアガンを握り、銃口を小泉に向けた
「え、なに、そこに金平糖詰入ってんの!?普通詰まるよな!?」
「大丈夫です。詰まらないよう改良してますから」
「大丈夫じゃねえ!!いて!?やばい痛いってこれ!!全然嬉しくねえ!!」
流れるように撃ち込まれる金平糖を柴田は平然と見ていた
この部室では何時もの事。気にしたら負けなのだ
「こんにちはー。あ、野上ちゃん早速やってるね」
部室の入り口から茶髪でボブヘアーの女子生徒、島崎が顔を覗かせていた
「これ島崎さん発案?」
「うん。流星群が金平糖だったら可愛いねって言ったら、野上ちゃんが実現してあげるって」
「成る程ね」
「柴田、島崎!!話してる暇あったら助けてくんない!?」
部室に散らばった金平糖を箒で掃いて集める
それを島崎は残念そうに見つめていた
「あ~あ、勿体無い…」
「全く、小泉部長の所為ですよ」
「どちらかと言うとお前だろ!!」
「はいはい、喧嘩しないでさっさと掃除しろ」
柴田の言葉に従い、無言で掃除を再開する
小泉は再び窓から外を見る
雲は更に濃くなり、今にも雨が降りそうだった
自分が部長に就任してからというもの、部活動らしい事は一度もしていない
このままでは同好会に降格、運が悪ければ廃部だ
そう思うと、嫌でもため息が出てしまう
「……ため息何て、小泉部長らしくないですよ」
ぽつりと呟かれた言葉に小泉は驚き振り返った
発言者である野上は何食わぬ顔で箒でちりとりに金平糖を乗せていた
「小泉部長は私がどんな事をしても怒るだけの単細胞な人です。たかが流星群一つでため息ついても意味ないでしょう」
「そうだぞ小泉。お前のその運の無さ過ぎる体質何て今に始まったことじゃないしな」
「そんなしょんぼりした顔しないで、何時もみたいに眉間にシワ寄せてた方が小泉君らしくていいよ!!」
「お前ら……全然慰められてる気がしないけど」
好き勝手に言われれば、小泉の眉間に自然にシワが寄ってく
しかしながら、三人の言っている事にも一理あるかも知れない
自分の体質だって今に始まったことではない。それを乗り越えて来てこその自分だ
そう考えればこんな曇り空、どうって事ない
「……そうだな。ため息しててもしかたねえな」
「お、立ち直った」
「小泉部長が元気になって良かったです」(棒読み)
「そうだよ小泉君、それにもしかしたらこの後晴れるって予報で言ってたし!!」
「え?」
島崎の一言に小泉は顔を上げた
しかし他の二人のしまったと言わんばかりの表情に小泉は気付かなかった「晴れるって本当か島崎!?」
「うん、さっき確認したら夜は晴れるって天気予報で言ってたし」
「マジか!!やったー!!」
嬉しそうにガッツポーズする姿を確認し、柴田と野上は窓の外に視線を向ける
外は土砂降りの雨で、流星群何て見れそうにない
(こりゃ今日も活動無理だな……)
(ご愁傷様です。小泉部長)
二人が心の中で呟いてる間も、小泉は嬉々として窓から外を見上げていた
「早く晴れないかなぁ」
顧問から活動中止の連絡を告げられるまで、後十分
ここまで読んで頂きありがとうございました
全体的にこんな感じの緩い話を書いて行くので、また機会があったら読んでみて下さい