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不思議な依頼

はじめまして。

斉藤メロンと言います。


ざっくりとしたスタンスで生半可な気持ちで書いております。

見ていただいく方もまぁ、この程度かぐらいの気持ちで見ていただければ幸いです。


このストーリーはヒーローものを書きたいと思いつき作りました。

全身タイツにマントは登場しませんが主人公含め仲間が困難を乗り越えながら成長していく姿をぜひご覧ください。


感想・アドバイス等ありましたらドシドシお待ちしております。


かなり亀ですが、見ていただければ幸いです。

能力が開花した人間が現れてから30年あまり。

能力者に人権が認められてからおよそ25年。

能力者の犯罪が社会問題となってから20年。

犯罪の激化に伴い民間の会社が能力者を取り締まれる制度が出来てから約15年。


未だに能力者の犯罪は絶えない。


小さな事務所の一番奥に彼のオフィスがある。

とはいっても、彼の趣味であるヒーロー名鑑が年号別に本棚にあったり、趣味の悪いオブシェがテーブルを占領。灰皿はタバコが溜まり、まだ開けていない段ボールがそこらじゅうに積み重なって置いてあるここは、オフィスというより、物置部屋といった方がしっくりくる。

そんな場所でも彼にとっては一番落ちつく場所であった。


「なぁ、ボス」


彼の部下がオフィスに入る。

彼はいつもの様に窓を全開に開けてソファに座り、外から入ってくる匂いを堪能しているところだった。


「なんだよ。給料の前借りなら無理だぞ。」


彼は部下がしゃべる前に口火を切る。図星だったのか、そのまま部下は言葉を飲み込んだ。


「なぁ、でもよぁ、もう少しデカイ依頼はないのかよ。」


「仕方ないだろ。俺たちみたいな小さい事務所はそんな依頼降りてこない。デカイのは大手企業か、あの超有名で皆のヒーローMr.アルティメット様が持っていっちまうからな。今は不景気だし、そんなもんだ。」


皮肉交じりにそう言うが、部下は納得しない様な表情をしている。


「なんだその顔は!恨むなら俺じゃなくて、能力者に生まれた自分の人生を恨むんだな。」


「…わかったよ。」

部下は諦めた様にオフィスを後にする。


部下が部屋を出ると、再び彼は風を感じるのに集中する。

「んー、今日はいい風が吹いてる。何だかいい事ありそうだ。」


そんな矢先、オフィスの依頼受付用の電話が鳴り響いた。

彼はすぐに受話器を取り上げ、営業用の声を急いで作る。


「はい、ありがとうございました。こちら安全安心を提供するシリウス事務所でございます。強盗や犯罪者の取り締まりから護衛、迷子のネコちゃん探しまで何でもお受けいたします。」


「おう、シリウス!俺だ俺!」


受話器からはシリウスの聞き慣れた声がする。


「なんだ、ボロスお前か。依頼用に電話してくんじゃねぇと言っただろーが!」


「なんだよ、旧友に向かってそりゃねぇだろ。」


ボロスは含み笑いをしながら、そう答える。

それにシリウスはさらに腹が立った。

不景気でまともな依頼の来ない上にこのイタズラの様な電話。

これは苛立たずにはいられない。


「それより、何の用だ。また変な事に首突っ込んでんじゃないだろうな。」


「違えーよ。まぁ、新しくビジネスを始めたからその報告をな。」


「ビジネス?」


今まで危ない事件に首を突っ込んではシリウスに尻拭いをさせていた彼の話だから、どうせロクな仕事じゃないんだろうと鼻から疑っていた彼はバカにした様に返す。


「今度は間違いなく真っ当な仕事だ。」


ほら出た。こんな決まり文句を言うやつに真っ当な仕事をするやつがいない。

シリウスは益々疑いをかける。


ボロスは続けて「まぁ、今度顔だせよ。お前もきっと気にいるよ。住所はデスクにおいておくから。それじゃあな。」そういうと一方的に電話は切られた。


デスクに目をやると、そこには先ほどはなかった紙がおいてある。

おそらくボロスが能力を使って置いたのだろう。


シリウスが紙を見ると、汚い字で店と住所が書いてあった。


「ボロスの野郎。この住所…。やっぱり真っ当な仕事じゃねえじゃねえか。」


シリウスはそれをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ捨てた。


それとほぼ同時にオフィスに唯ならぬ殺気を帯び男が入ってくる。


「おいおい、シリウス。」


全身が氷に包まれた体にスーツ姿の男は事務所のご意見番。

彼を怒らせる事は事務所内ではタブーとされている。


「なんだよコールド。俺はなにもおかしな事は言ってないぞ。」


シリウスはデスクのミネラルウォーターを飲もうと手を伸ばすが、コールドが先にそれを取り上げる。

ペットボトルの水は一瞬にして凍りついてしまい、それでシリウスはコールドが本当に怒っている事を感じ取った。


「ペインもヒスもアイルも皆不満だらけだぞ。ボスが親身になってくれないってな。」


「依頼がないのは事実だ。嘘は言ってない。」


コールドが持っていたミネラルウォーターは手の中で握りつぶし、ダイヤモンドダストのように輝きながら地面に落ちる。


「違う。依頼が無ければとってくるよう指示したり、上に掛け合って持ってくる様にしたらどうだ?今の不況待っていても依頼は来ないぞ。様はやる気だ。ボスのあんたがやる気を見せないと指揮が下がる。今のチームは良くまとまっているし、やる気もある。あんたがそれでどうするんだ。」


コールドが凄むとオフィス中が冷気で白く染まり、シリウスの息も白く変わった。

彼を怒らせてはならない。

彼が前に激怒した時は、真夏のオフィスが一瞬にして凍りついた程だ。


その二の舞になりたくないシリウスはなだめる様に「わ、わかった。依頼は上に掛け合ってみるし、宣伝活動もする。依頼がくる様にする。」


そう言うと、オフィスの温度が元に戻る。

コールドも満足そうにうなづいた。


「わかってくれれば良い。部下は宝だ、よろしく頼むよボス。」


すぐに人を信用するのもコールドの悪い癖だ。



「たくっ、事務所を冷蔵庫にする気かよ…。」


二人が話していると、部下がオフィスに飛び込んできた。


「ボスー!!」


「今度はなんだ?」


「依頼が来た!しかも依頼主の服装から見ても……間違いない。“上玉”だ!」


依頼人の依頼の良し悪しは大体服装や身につけている物を見ればすぐわかる。

部下にもその眼を肥やさせているから間違いない。


シリウスもこいつはデカイ依頼だと確信した。

コールドも手を叩いて喜んだ。


「幸先がいいな。ボス、ビジっと決めて来てくれよ。」


「この依頼逃すかよ。待ってろ。お前らに久々に美味い飯食わせてやるからな。」


シリウスは着慣れたジャケットを羽織ると颯爽と依頼人の待ってる部屋へおもむく。





シリウスが依頼人のいる部屋に行くと、目の前には何かの毛皮のコートに爬虫類の皮のカバンにツバがバカみたいに長い帽子を被り、サングラスをした、セレブ風の女性が座っていた。

シリウスはしていたネクタイを締め直す。


「はじめまして、私はここの社長のシリウスです。」


シリウスが握手を求めるも

彼女はそれを無視してカバンから小さなメモを取り出した。


「シリウス・マイルズ、ヒッチコック州生まれた37歳。幼少期から青年期までをボロス・ホーキンスと共に喧嘩や悪事に費やした。一時期はギャング集団にも加入していた事も…。能力はテレキネシス。」


彼女はシリウスの事を調べ挙げているようで、上から目線にメモを読み上げる。


「よく調べ上げたんですね。」


「貴方の事は色々と調べたわ。依頼する相手を知らなきゃ安心して頼めないもの。悪く思わないでね。」


「いえ、物騒な世の中、あなた様の気持ちはわかります。」


「私はファニーよ」


そういうとファニーは始めて、シリウスと握手する。


「よろしくファニー。最初に簡単な質問を2.3個よろしいですか?」


ファニーは足を組換えて頷いた。

短いスカートが動くのにシリウスは少しドキッとし、一瞬動きが止まった。

しかしすぐに気を取り直し質問にうつる。


「ではまず、以前他の民間会社に依頼を頼んた事は?」


「ないわ、ここが初めて。」


シリウスは心の中でガッツポーズをした。

ここが初めてという事は、相場をわかるまい、もしかすると、うまく行けば多額の金を落としてくれるかもしれない。そう考えたからだ。



「それは良かった。最近は物騒な会社が増えていまして。簡単な依頼でも多額の金額を請求する悪徳な業者がいるとか…。でもご安心を私どもシリウス事務所は、小規模ながら検挙率100%、頼まれた依頼は必ず遂行し、しかもお値段も安心設計。依頼人のアフターケアもしております。こんな会社はなかなか見つかりませんよ。ファニー、あなたはラッキーな人です。」


「そう。」ファニーは素っ気なくそう答えた。


「では、次に。あなたの職業は…?」



シリウスが質問をしている間。部屋の外では部下たちが中の様子を推測していた。


色々な論争を繰り広げていると、シリウスが中から出てきた。


「ボス、どうだった。」


「おい、こいつはかなりの玉だぞ。間違いなく上玉だ。財力十分、金額指定もこちらに一任するってよ。」


部下たちは大喜び。シリウスも足踏みして喜んだ。


「やりましたね!ボス!」


「あぁ、ただ、ちょっとした問題があってな。」


シリウスの顔が少し強張る。


「なんですか?」


「それは…」



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