パニック
サーサーサー…
小降りの雨だった。
雨がコツコツと地面を叩き、
そこを俺は踏む。
そしてそれを横に車がザーッと
横切る。
………神木の、予想は当たっ…てしまった。
臨時休校になった学校を前に
俺は部活のために…
いや神木のために来た。
そして俺は校門前から
行けないことに気付くと
裏に回った。
まわったところに、
黒い大きなワゴン車が
あることに気付く。
そしてその横には茶髪の青年が
俺を見るなりニコッと笑い
近付く。
―そういえば。と今気付く。
後ろにいる。それも複数。
「野生の勘かい?
まぁ後ろに5人もいれば
バレるか。どうも、はじめまして!
物理部副部長岸ヶ谷侑都くん!」
「はぁ?………てめぇ…なんで」
「僕の名前は野田夢斗。
日向勇治くんの旧友さ!
そんでもって―」
「なんで俺のことしってんだよ!
それに日向先輩?
どういうこと―」
「うるせぇ」
と青年…夢斗は口調ががらりと変わり
顔の表情もが変わり眉がつり上がる。
だがそれも一瞬のことで
元の神木のような
ヘラヘラした感じに戻る。
直感的に俺はやばいと感じた。
夢斗は狂気を纏ったいや、
狂気に、満ちた笑みで俺に告げる。
「案内してほしいところが
あったんだけどなぁ………
僕はね、人が喋ってるときに口を挟む
ようなやつが殺したいくらい
大嫌いなんだよね。」
「あっ…案内してほしいところって…」
「ん~?っとね………そうそう!
神木康平くんのところ。物理室」
部屋につくなり俺は異変に気付いた。
いや異変というよりはもうその場が。
「なんだ………この湿気は…。」
『今ウィルスを、
解放してるとこです。
岸ヶ谷先輩。はい、お約束の品です。」
とガスマスクをつけた神木が
黒板のところの椅子に座り
抗ウィルス薬を俺に手渡す。
というよりは投げたが。
俺は神木のジェスチャーを見る。
―早く打て。
俺は寒気がしたので
抗ウィルス薬を腕にうち、
後ろのなにかから
神木のところへと
移動する。
「あれ?岸ヶ谷くん?
………なんで神木くんのところ
にいるのかな?」
『岸ヶ谷先輩。
お約束の品はあと3本あります。
先に準備室下に行ってください。』
と小声で話す。
そのとき。
パァンッ!
乾いた音が響いた。
目の先には
野田夢斗がちょうど本物かと思われる
銃を手に天井へと打ち付けていた。
「抗ウィルス薬を渡してもらおう。
まぁ、生きて帰さないから安心してよっ!」
『伏せて!』
と神木は厚い鉄板を盾に夢斗からの3発の
銃撃を防ぎ準備室へと入り
準備室に、鍵をかけ
準備室の扉の窓に鉄板をはめ
そして下の研究室へと逃げ込む。
入る前に俺は準備室の窓を開け
研究室に逃げ込んだ。
『はぁはぁはぁ………』
「なぁ、………神木。」
『岸ヶ谷先輩、
研究室の奥にどっかの教室に通じる
隠し通路があります。
そこから逃げてください。』
「はぁ?!」
『頭がごちゃついてるのは
分かります。でもバレた以上は
ここから逃げてください。』
「バレたって誰に!」
『僕の愚父です。
先程の彼は野田夢斗と呼ばれる
裏世界では超有名人のテロリスト
のリーダーで、おそらく
派遣でもしたのでしょう。
………詳細は…情報屋にでも
聞いてください。
特に美原音色という人に!」
とガスマスクを脱ぎ
神木は早く!と叫んだ。
もう何がなんだか分からないまま
俺は言われるがまま奥の隠し通路から
逃げたのだった。
「………はぁ…人生って短いな。」
ガチャンッ!
開かれた扉からは
狂気に満ちた笑みで笑う
青年が銃を手に僕にそれを
つきつけていた。
直後乾いた音が響いた。