ノウェリス平地-2
平地に繰り出した兵士達。
王国は軽装騎兵。帝国は重装歩兵。
丘が少しある地域。しかし敵は見つけやすく、周りを見渡せば3km程は容易に目を通すことが出来る。
観測兵であれば4,5km位遠くを見るのは簡単だろう。
「帝国重装部隊がここから3km先、進軍しています。」
「よし、まずは奴らの出鼻をくじくのだ。いいか?第一陣の隊長として重ねて言わせてもらう。陛下が生きて帰って来いと仰ったのだ。これは命令だ。絶対に生きて陛下から拝命した事を達成するのだ!」
「オオーッ!」
「進軍!」
―――◆―――
「将軍、敵の軍勢が見えました。いかがなさいますか?」
「ここからどのくらいの距離だ?」
「2km弱と思われます。」
ふむ、と相槌を打ち、思考する。
まずは上々と言ったところか。ということは・・・?
いや、エルダート国王は油断ならぬ男。
このくらいの事は読んでいるだろう。しかし、そうなればなぜこれに乗った・・・?
機先を制する、ということなのだろうか?戦力を減らさず、こちらの重装歩兵を倒せるとでも思っているのだろうか・・・
いや、そこまで甘い考えではないだろう。であれば単純に時間稼ぎ・・・?
「ここは時間稼ぎと考えるべきだ。先陣は?」
「はっ、先陣は軽装騎兵です。」
軽装騎兵・・・ということは時間稼ぎの名目もあるな。それでいて内部工作か、それとも奇襲か・・・
「進軍!敵の騎兵を叩き潰すぞ!」
「オオーッ!」
仮に奇襲だったとして、この戦闘は相手にとってはブラフとなるのだろう。
しかし、今回はそれでいい。後詰の部隊は本陣を守るように配備されるよう陛下から直接命令が下っている。本陣の安全は保たれた。ということは退路の心配はない。
ただ、奇襲とは別に別働隊の動きを気取られないように・・・などであればその別働隊はどこに行くか?である。
しかし、それは私の知る所ではない。
不本意だがそれはあの糞ジジイに任せる事になるだろう。
あるいは陛下の命が下れば直ぐに動けるよう準備はしているが。
―――◆―――
「突撃だー!帝国の雑兵など薙ぎ払え!!」
「乱戦に持ち込め!王国の雑魚など剣の錆びにしてしまえ!」
ぶつかり合うたびに剣と剣がぶつかりあう音や、槍と剣がぶつかる音がする。
金属的な甲高い音であったり、鈍い木製のモノが壊れる音であったり。
槍が壊れた者は倒した兵士の物や、仲間だった者の武器を使い応戦している。
王国の騎兵でひどい者は馬を殺られ、地べたに転がる。しかし、善戦している。
「引け!引けー!」
突如王国側が退却を命じる。
これは・・・追うべきか・・・?
「将軍ッ!500m先に王国重装歩兵!その数300ッ!!」
早い段階で戦闘が始まってしまい、後続の、後詰の魔法部隊と重装騎兵隊がまだ追いついていない。
「クッ、引けッ!多勢に無勢だ!一旦退いて後詰と合流するぞ!!!」
「「オウッ!!!」」
怒号とも言える命令の了承と共に、速やかに後退を始める部隊。
訓練が生きている、と実感する。
それなりの時間が経っている兵士で、戦闘にも数回出ている実力の有る部隊だ。
とはいえ、練度で居れば王国と同等か、それ以下なのだろうが。
第一戦は痛み分けか・・・と嘆息する。
日はまだ高い。様子を見て側面攻撃や波状攻撃を仕掛け、魔法による追撃を仕掛けよう。
「さぁ、戦いはこれからだ・・・これからは王国兵士は惨たらしく死ぬ・・・」
ニヤリと、不気味な笑みを浮かべ、先陣将軍・・・レツィオ・トニーノは戦争に身を投じた。
やっとレツィオの本来の性格っぽくなりました。
そして更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
構想を練っていたのが半分、他の事に気を取られていたのが半分でした・・・
気づけばユニークも80人超・・・本当にありがとうございます。
これからも精進させていただきます。