勇者達
「あの国は腐っている。腐りきっている。貴族共は私腹を肥やすだけ、領民は苦しみに喘ぎ、ひどいところではその日を暮らす為の食料さえ賄えないのだ。」
「誰があの様な国を望む?あの上に立つ人間は何を考えている?なぜ平然としていられる?」
コンコン
「陛下、出陣の用意が整いました。」
「レツィオか、よい、今は余とお前だけだ。」
「しかし、今は気を引き締める時です。いくら友の間柄であろうと、区別は付けねばなりません。」
「ふむ・・・それもそうか。まぁそれはいい。」
そう、それはいいのだ。
今から動く事に異論は唱えない。
全ての段取りが終わっているだ。
内通工作や扇動、内部破壊から戦闘方法まで。数十の作戦を立てた。
それぞれ使う事があるかわからない程の数を用意してある。
その途中で移行がある程度可能になるように順序から時間までを事細かに決定した。
「さぁ、大義名分を背負った一方的な戦争の始まりだ・・・」
「先陣は我々第一軍隊にお任せ下さい。我が重装騎兵を用いて敵を砕いて差し上げましょう。」
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「全軍!最敬礼!」
ザッ
と音が聞こえるような数千人の足音。
その音には一つの乱れがない。現に今は布擦れの音すらないのだ。
「さて・・・諸君。我々はなにをしようとしている?侵略か?略奪か?義なき戦争か?否――我々が行うのは大義ある戦争だ。今こそ虐げられた民を王国から開放しよう!!」
「皇帝陛下バンザイ!皇帝陛下バンザイ!皇帝陛下バンザイ!」
「これは聖戦だ!我らは義軍である!弱きを助け!強きを屠る!それが我々の行う聖戦だ!」
「オオオオーーーーーーッ!!!!!」
大地を震動させるような雄叫びが響く。戦意は高い。
そんな数千人の兵士・・・いや、勇者達を見ながらリヴェルは背中に寒気にも似た快感を覚えた。
これだ、これが私が屈辱を与えられた時から望んでいたモノだ・・・
心からそれを現したい。
そんな欲望も湧いてしまう。
しかし、今はその時ではない。すぐに思い直し、勇者達を見る。
「目指すはエルダート王国首都!シェリエンだ!!!」
ここに帝国から義軍が出陣した。
上手くまとめたつもりですが、至らない所も多いかと思います・・・
リヴェルの性格が少し狂っている気もしますが、今は憤怒に駆られてる、と思っていただけると幸いです。