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旧作

婚約破棄された貴女に、救済を代行します。~レンタル救済承り中~

作者: 堀吉 蔵人
掲載日:2026/07/18

 

「婚約破棄、されそうなのです」


 そう切り出すと、受付の女性は慣れた様子で頷いた。


「お相手のご身分は」


「伯爵令息です」


 帳面にさらさらと書き込む。


「伯爵令息でしたら、実父の伯爵コース、宰相コース、国王コースがございます」


「違いは?」


「実父コースは、ご家族による説得です」


「宰相コースは、法的整理を中心に」


「国王コースは、その場で全て終わります」


 私は少し考えた。


「国王コースで」


「承知いたしました」


 受付は新しい紙を差し出した。


「反撃に必要な証拠収集は弊社で承ります。手紙や帳簿などをお持ち込みいただければ、調査期間を短縮できます」


「こちらを」


 私は封筒を置く。


 伯爵令息が男爵令嬢へ贈った宝石の領収書だった。


 受付は中を一枚だけ見て微笑んだ。


「十分です」


「当日の割り込みのお言葉ですが」


 私は顔を上げる。


「国王コースの標準は『何事だ』で割り込ませていただきます」


「ほかにも?」


「『その件、余が預かる』、『誰の許しを得て、その裁きを行っている』などのオプションもございます」


 私は少し考えた。


「標準でお願いいたします」


「承知いたしました」


 受付は契約書を閉じる。


「請求書は館へお送りいたします」


「お願いいたします」


 三日後。


 夜会。


「エミリア!」


 伯爵令息が私を指差す。


「君との婚約を破棄する!」


 隣では男爵令嬢が涙ぐんでいた。


「彼女は君から何度も嫌がらせを受けた!」


 会場がざわつく。


 私は静かに待った。


 予定時刻まで、あと少し。


 扉が開く。


「何事だ」


 低く響く声。


 誰もが一斉に跪いた。


 国王陛下だった。


「陛下!」


 伯爵令息が青ざめる。


「説明せよ」


 伯爵令息は勢いよく男爵令嬢を指した。


「彼女は長年、この女から嫌がらせを!」


「証拠は」


「え……」


「あるのだな」


「それは……」


 国王は私へ視線を向けた。


「そなたは」


 私は一礼する。


「こちらをご覧ください」


 衛兵へ封筒を渡す。


 中には宝石の領収書、帳簿の写し、商会の記録。


 国王は静かに目を通した。


「伯爵家の資金で買ったものではないな」


 伯爵令息の顔色が変わる。


「それは!」


「王家補助金の流用か」


 会場が静まり返る。


 国王は帳面を閉じた。


「伯爵令息。謹慎」


「男爵令嬢。調査が終わるまで王都を出ることを禁ずる」


「以上だ」


 衛兵が二人を連れていく。


 伯爵令息は最後まで私を睨んでいた。


 夜会が終わり、人払いが済む。


 担当者が国王へ歩み寄った。


「陛下、本日はありがとうございました」


「うむ」


「出演料は、いつもの口座へ振り込んでおきます」


「請求書は後で送る」


「承知いたしました」


 二人はそれだけ話すと、それぞれ別方向へ歩き出した。


 担当者は私へ向き直る。


「本日の救済はいかがでしたか」


「満足しております」


「ありがとうございます。またのご利用を」


「次はないことを願います」


 私は笑って館を後にした。


 少し高かった。


 けれど、国王コースにして正解だった。


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― 新着の感想 ―
陛下本物なのかよwwwwwwww 金掛かりそうだなあw
国王様コース…やっぱお高いのかしら(* ᐕ)? 久しぶりにキタ━٩(。•ω•。)و━!!でノリノリでやりそうなwww でも威厳出さなきゃ(・ω・`*)ネー シリーズ化(ㅅ´ ˘ `)キボンヌ♡♡ 気が…
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