9話 好きな人
翌日、高穂は朝一番に学校に向かった。そして先生の手伝いをしていた。
「この本は何処に置けばいいですか?」
「その本は900番台の本棚にお願い」
図書室にて先生と本の整理を行っていた。すると机に高く積みあがった本が僕目掛けて倒れてきた。
「っておわぁ!?」
高穂は本に押し倒され、そのまま床に突っ伏した。
「大丈夫!?」
「あっ……」
高穂の手を引く柔らかい手、それは同じクラスの女子だった。
「大丈夫……?」
「大丈夫、だけどこんな本を積んでどうしたんだ?」
「……受験勉強だよ」
「たしか2か月ぐらいしたら受験だもんな……」
赤本がたくさん積まれており、東京大学や早稲田大学の赤本が見えた。
「東京大学行くのか?」
「いや……数打てば当たるっていう……」
「経験を積むっていう事だよね」
「そうだね……」
奥から先生が飛び出してきたが高穂の無事を見て奥に戻っていった。
「そういえば岸部君のお父さんやお母さんはどういう人なの?」
「お父さんは灯油屋、お母さんは物心がつく前からいなくなってた」
「そうなのね……片親の気持ちはわからないんだけどね」
その後、高穂は本の整理の続きを行い、とりあえず今日分の本を整理し終えた。
「おつかれ~」
「どうして手伝わないのかな……」
「勉強に夢中なので」
「すべては勉強じゃあないと思うけど」
「そう?バツ1岸部君」
「バツ1は事実だけどここで言うなよ……はずかしい」
高穂は高校1年の時、自身が好きだと豪語する麻雀部に入っていたがその時好きだった女子部員が先輩に寝取られ、それと同時に麻雀部を退部、それっきり麻雀に対する熱が下がり、その女子部員とも別れたという過去がある。
「今空いてるんでしょ?隣」
「隣ってどういう?」
「ほら、恋人」
「……後で話す」
高穂は面倒くさくなり、図書室から出ていった。
「もう、いじわるなんだから」
そして高穂は気が抜けたように教室に戻った。
「よぉ高穂、昨日は本当に災難だったなぁ」
「うん、後ろからまさかSUPRAが追ってくるなんて思わなかった」
「だよね、最後はエンジンブロ―で終わったけど最後まで行ってたら勝ってた?」
「いや、負けてた、明らかに僕の実力がSUPRAの実力に及ばなかったんだ」
「そうなんだなぁ……やっぱり世界を見ればゴロゴロと強い奴が居るんだなぁ」
こうして高穂たちは授業を受け、家に帰ってきた。
「ん?この紙なんだ」
家に帰り、2000GTのワイパーの間に紙が挟まっていた。
{12月20日 榛名山 ヤセオネ峠にて待つ 赤城山サンダーズ 夕凪風間}
「だれだこの夕凪風間って言うのは」
(この名前は聞いたことがない、だがどうして僕に手紙を……?)
12月20日まではあと3日ある、走るしかないと悟った高穂は広瀬に電話をつないだ。
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