63話 めんどくさい店長
翌日、高穂は昼間はバイトにいそしんでいた。
「そういえば昨日いろは坂に居たって話聞いたぞ?」
「行きましたけど……それが何か?」
「どうだった?あの場所」
「とてもヘアピンが多いなって」
「だろ?あの場所は俺でも慣れないからな……やっぱりスピードをガツンと出せる取上峠が最高よ」
「スピードをガツンと出せるって……」
「まぁまぁ、それで今日は5時上がりなんだって?」
「そうですけど……」
「ならその86を俺のおごりで給油するから夜、道の駅にいてくれないか?」
「いいですけど……店長来るんですか?」
「いいや、今GT-Rは車検でね、今手元にあるのは自転車だけだ」
「自転車……」
「いいじゃないか!別に」
「まぁ自転車でも時速100キロは出ますからね」
「そうなの!?」
「そうですよ?ダウンヒルと追い風ってのが条件ですけど」
「でもこけたら顔面大根おろしにならない?」
「そうならないように頑張ってください」
「も~高穂君は冷たいんだから~」
「僕は温かいですよ」
「結局どっちなんだよ~」
店長が高穂にダルがらみをしていると広瀬がやってきた。
「うす~」
「今日は出勤日じゃないがどうした?」
「いやなんか暇すぎて人肌恋しくなった」
「なら高穂を使え、暖かいらしいから」
「ちょ……めんどくさいことを押し付けないでください」
「やったー!」
広瀬は高穂に抱き着いた。
「もう暑いんだから離せよ」
「いいじゃあないか、別に」
そして高穂は仕事をこなしていき、午後五時になるまで暇すぎてガソリンスタンドに置かれてある雑誌を読み漁っていた。
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