56話 手を引く一歩
次の左のコーナー、SUPRAの3台は綺麗なドリフトでコーナーを抜けていったがSUPRAはレブらせながら駆け抜けていった。
(もしかして実力差なのか?それともマシン差、いやこんなことを考えている間にも差は広がっていく、だがどうしてそんなに速く走れるんだ!)
夕凪は前の3台を観察していると綺麗な一列で走っていることに気が付いた。
(一列に並んでいる、そういえば高穂に抜かされた時もこういう知識不足で負けたんだよな)
SUPRAも列に並んだがそれと同時にコーナーが待っていた。
(ってこりゃ他の人のドリフトを見る機会じゃあないか!)
夕凪はブレーキを踏み、ドリフトで駆け抜けていったがSUPRAの3台は綺麗なドリフトで同じラインを通って駆け下りていった。
(なるほど、ここの峠の最速理論を知ってるってことか)
夕凪はゆっくりとアクセルから足を離した。
「なるほどこりゃ勝てねーわ」
夕凪は直感していた、最後まで戦ってもゴール位置には誰もいないことを、それに速さがSUPRAと比べ、格段に速いことを。
「……こりゃちびるぞ」
そして夕凪はそのままの足で地元に帰っていったのであった。翌日、高穂は珍しく朝に目を覚ました。
「……朝だ」
今日は高穂、運命の日。異性の友人とデートをする日だ。
「緊張する……」
そして高穂は86を走らせ、喜多方市内に入って行った。
(ここだっけな)
高穂は適当な駐車場に86を駐め、待ち合わせ場所に走っていった。
「まった!?」
「いいや、時間通りだよ、岸部君」
それはあの時、図書室にいたあの子だった。
「それで大学はどうしたの?」
「大学ね、通ってたけど今じゃないって思ってね、辞退したの」
「辞退かぁ……でもいいのか?」
「いいの、人に操られる人生より、自分自身で動いて行けるような人生がいいなって」
そう言って僕とその人は枝垂桜を見に行った。
「……そういえば名前言ってなかったよね」
「うん、でも岸部っていう上の苗字は知ってる、灯油屋だからね」
「僕の名前はそれで呼んでもいいよ」
「私は流川愛花、よろしくね」
「うん、愛花って呼んでいい?」
「いいよっ、岸部君」
そんな会話をした後、高穂と愛花は枝垂桜の道を歩いていたら通行人の人とぶつかった。
「おっと、ごめんなさい」
「ああ、前を見てなかったな」
感じの悪い人に絡まれる前に高穂と愛花はその場をそそくさと離れた、だがぶつかった通行人がこんなことを言った。
「そういえばだけど、愛花ちゃん、今日どう?」
その言葉、それは高穂からしてみれば何のことを言っているのか分からなかった。
「んーとね、10万、用意しておいてね」
その言葉に高穂は嫌な感じをしてた。
「……今の人って一体?」
「ん?最近始めたビジネスってやつ、先輩から誘われてね」
高穂は愛花を見つめてこう言った。
「今すぐそのビジネス、やめてくれ」
「どうして?おっさんの相手をしてるだけで一か月で40万稼げるんだよ?」
「でもその代わりに心が傷ついてるじゃないか」
「高卒の私が就職できる職種はないし、このままで居ようかなって」
「……ちょっと来て」
高穂は愛花の手を引いて駐車場に向かった。
「これって車?」
高穂は無言で愛花を助手席に乗せ、高穂は家に向かった。
「ちょっと何処に行くの!?」
「……」
運転している間、高穂は声を出さなかった。そして家に着いた高穂は愛花にこう伝えた。
「なら灯油を売ってくれ、それだったらパパ活をやめれるだろ!?」
高穂は必死に愛花を売春から足を洗うように説得していた。
「でも……もう私の体はもう……」
「今からでも間に合う、だから」
「……理解できないよ、どうして馬鹿な私に職を提供しようなんて!」
「大学入試で合格が出てるんだろ?全然馬鹿じゃないじゃないか!」
「それはそうだけどさぁ……」
すると愛花は泣き出した。
「でもこの道に足を踏み入れちゃったんだよ?私は一生の傷をおっちゃったんだよ?」
その涙はどこか悲しさを含んでいた、すると声に気が付いたのか海人が出てきた。
「一体どうした……ってはぁ」
海人はため息をついた、するとノータイムで愛花の涙を拭いた。
「今までの話は聞いてた、中で詳しく話してくれないか」
「親父、これは僕と愛花との問題だ、口を出さないで」
すると海人は高穂に対して怒鳴った。
「喧しい!」
その声に高穂は委縮をしていた。
「ほら、愛花といったか、中で詳しく話を聞く」
「ありがとう……ございます」
そう言って海人と愛花は灯油屋の中に入って行った。そのことに高穂は愚痴をこぼしていた。
「どうして親父が話を聞いてくれるんだよ」
そう言って高穂は86を駐車場に駐め、自室に入っていった。
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