4話 謎の加速力
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S字コーナーを抜け、FITとLANCER Evolution Vの差はほんの数センチ。LANCER Evolution Vが若干前に出ている、そしてここからトンネルを抜け、きついコーナーに差し掛かり、鈴木は不思議なほどにインにいた。
(どうしてそんなインにいるんだ……それにスピードが乗りすぎている……この速度だと崖下に真っ逆さまだぞ!?)
「ランエボVは一体どうしてそんな速度を出してるんだ!?」
「まぁ見ておいてよ高穂」
高穂は前のLANCER Evolution Vを見ているとドリフトを始めた、すると溝にタイヤを引っかけていたのだ!
(なんだこの技……溝にタイヤを引っかけている……このまま溝にタイヤがハマらないのか!?)
途轍もない加速力でコーナーを抜けていき、FITを突き放していった。
「これがリーダーの強さなんだよ……」
「……そうなんだ」
「なんで気合が無くなってるの!?」
「いや、ただあの技難しそうだなって」
「やろうとしないでね!?脱輪しちゃうかもだから!?」
「うん、やろうとしてる」
そう言っているがもうすでに緩やかなコーナーになっていって、高速セクションに変わっていた。
「まぁ真似したらタイヤの消耗が凄く早くなるからね!?」
「うん」
高穂はやる気のなさそう声で答えた。
(もうFITは追いつけていないのか……やっぱりへっぽこ広瀬か)
そう言って鈴木はほくそ笑んだ、それと同時刻、高穂と広瀬はもめていた。
「ちょっとそのFIT運転させてくれないか?」
「どうしてだよ!?」
「いや……何となく」
「ぶつけたらただじゃ置かないぞ!!」
そうぶつくさと言う広瀬は運転席から助手席に、高穂は助手席から運転席に乗り替わった。
(もうドリフトのコツは掴んだ、僕の感覚を信じるんだ)
高穂は思いっきりアクセルを踏んだ、それと同時に広瀬の顔には笑みが消えていた。
(LANCER Evolution Vの距離はおよそ100mぐらい……NAのダウンヒルだと追いつける距離だ……)
高穂は直線のダウンヒルを思いっきりアクセルをベタ踏みし、コーナー直前でドリフトを開始した。
(高穂……ブレーキを使ってくれよ……そう思うと急に腹痛が……!)
小さなコーナーでもドリフトを使って通り抜けた、そこに減速をしていたLANCER Evolution Vが居た。
(何ッ!?こんなスピードで突っ込んでくる……広瀬らしくない……!?)
鈴木は焦ったのか思いっきりアクセルを踏んだ、そして本当のガチバトルが始まった。
「広瀬、きちんと掴まってろ」
高穂はそう言ってドリフトを始めた。
(ここは舵角の少ないドリフト……スピードを殺さず、綺麗に曲がれ……!)
そう言っている内にLANCER Evolution Vとの距離がおよそ3メートルになっていた。
(もうこんな後ろについてきてるとは……いや待てこの顔……連れの!!!面白いじゃねーか……そう言うなら……こっちも本気を出さざるを得ない!!)
鈴木はシフトレバーに触れた、そして数百メートル先に2連ヘアピンがある。
(この2連ヘアピンで差を付ける!!)
LANCER Evolution Vが先にコーナーに綺麗に入った、FITもコーナーに入った、だがぎりぎりまでインに寄せていた。
(ギリギリまでINに寄せろ……ここに溝はない、だが……段差はあるんだよ!!)
そしてFITが少し揺れ、ドリフトも同時に始まった。
(何っ!?インからどうして抜かせるんだ!?)
鈴木はFITの足元を見た、すると溝にタイヤを引っかけていることに気が付いた。
(そこにも溝があったのか……!!)
ヘアピンの途中でFITが先頭に立ち、LANCER Evolution Vが2番手になった。
(それほどまでのドライビング技術……このあたりを見てきたが居なかった……いつどこから湧いて出てきたこの化け物!!!)
トンネルの中は溝がないので落とせない、そして鈴木は焦ったのかハンドルを握る手が震えていた。
(まずい……コントロールが効かねぇ!!!)
既にLANCER Evolution Vはグリップを失っており、90度カーブ手前でスピンをした。
(ぬおぉぉ!?)
そして左側の壁に当たり、車は止まった、そしてFITは見事なドライビングテクニックでゴール地点まで走った。
「……LANCER Evolution Vが来ていない……」
「途中ガシャンって聞こえたけど」
「……まさか事故ったのか?」
「一度見てくるか」
その時、鈴木は車の外に出ていた。
(……まじか……これは板金20万か……いや20万じゃ済まなさそうだな……痛いなぁ)
そう言って鈴木はレッカーを手配したのであった。
「リーダー!!!」
「広瀬か……さっきの走り、お前じゃなかっただろう」
「そうですけど……」
「バカヤロー、走り屋ってのは他人にドライブの補助を頼まず、個人の力で走る物だろうが……」
「LANCER Evolution Vは……」
「ああ、こいつは板金じゃ済まなさそうだ」
鈴木はそう言ってLANCER Evolution Vのリアに座った。
「仕方ないが今日はここで解散だ、あいつにも言っておいてくれ」
そんな事もあり広瀬と高穂は待ち合わせ場所に向かった。
「……そうか」
そう言ってAE86は帰っていった。
「さて、僕たちも帰ろうか、家まで送るよ」
そう言って高穂は自宅兼仕事場に帰ることになった。
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