2話 親父
自宅兼仕事場に着いた高穂は駐車場に車を駐めた。
「ただいまー親父」
「おう、何か吹っ切れた顔をしているが、どうした」
この人は高穂の親父、名は岸部海人と言う。
「帰りの時、走り屋とバトルしてきたんだ」
「ほぉ、車を少し見せてみろ」
高穂と海人は2000GTを見に外に出た、下半分は雪がついていた。
「……まだまだだな」
「何がまだまだなの?」
「タイヤが物凄くすり減っている、何をしたんだ」
「ドリフトを見てまねたんだ」
「……そうか」
そう言って海人は家に戻っていった、高穂は2000GTについている雪を取っていった。
(冷たい)
そうして高穂は学校の準備を始め、そして自転車で学校に向かった。
「おはよー」
「よぉ高穂、今日も灯油を運んでたのか?」
この人は生徒指導部長、本当は僕の事を指導しないといけないが灯油配達をしているという理由で許されている。雪が降る地域に住む人にとっては灯油が生命線と言っても限りないのだ。
「そうですね……まぁ面倒な人に絡まれたけど」
「そうか!!!災難だったな!!」
「声がうるさいです、小鳥が鳴きますよ」
「俺は似鳥だ、間違えるなよ?」
「はいはい……」
高穂は教室に入り、そしてゆっくりと本を読み始めた。
(今日は23ページからか)
その時、後ろから声をかけられた。
「なぁ高穂~」
「その声、広瀬だね」
「そうだけどさぁ~さっきの2000GT、高穂だよなぁ~?」
「灯油の配達の帰りだったんだ」
「一応無免許運転だから気をつけなよ?」
「分かってる、なんなら2回見つかりかけてるんだ」
「もうすでにばれてるんだなぁ?」
高穂はもっとドリフトの技術を磨きたいと思っていた。
「なぁ、広瀬」
「どうしたんだ?高穂」
「今日も走りに行くのか?」
「走りに行くけどどうしたんだ?」
「仕事が終わったら同乗してもいい?ドリフトを突き詰めていきたいんだ」
「いいけど、ドリフトをするのって初めてだった?」
「うん、とても滑るような感覚だった」
「なら仕事を終えたら連絡くれよ、そしたらFITで迎えに行くからさ」
「そういえば乗ってたFITって誰の車だっけ」
「バイトを頑張って貯めたなけなしのお金だよ、中古で買ってそこから部品の取り換えやらチューニングをしていったんだ」
「へぇ、チューニングか」
「それよりも2000GTは誰のなんだ?」
「僕の親父だよ、堅物でクソ親父」
「そんなこと言わなくてもいいじゃないか」
「いや、これぐらい言っておかないと心が晴れないんだ」
そうして高穂は灯油配達を終えた後に広瀬のFITに乗せてもらえる約束を結んだ。
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