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令和日記

作者: 霧裏野鉾

気紛れ日記


塵も積もれば山となるとはよく言ったものだと常々思う

SNSには各々文句を垂流し死にたい消えたいと宣う人間の群れ

こんなにも自殺志願者がいるのにも関わらず町中に出てみればきゃらきゃらした笑い声が満ち満ちているではないか

晩の名残の路傍に転がる酒瓶の破片がキリキリ音を立てながらその喧騒を賑やかし、街ゆく人々の護謨底を磨り減らしているのは何たる皮肉

やれ子持ち様だ老害だ騒ぎ立てる電子化された閉鎖空間とはなんだったのかと見紛うほどの街の喧騒。


「嗚呼こんな世の中今直ぐ消えてしまえ」なんて口先から流れるように吐き捨てる者は何処に居るのだ、この世は希望に満ち溢れているではないか!


そんな人間に対する希望が崩れ去るのもまた人間による醜い醜い言葉なのである 


「キャア!」なんてわざとらしく転び難癖を付ける女を見た。

何時からだろうか、世間様がたたえる銘柄を安っぽく思える様になったのは。

路地の身形だけは御綺麗な売女が身に着けるもの、マウンティングする女が身に着けるもの、財力を誇示したい女が身に着けるもの


そのワザと女サンが身につけていたものも世俗のブランドに疎い私ですら知る銘柄の数々

「アナタ何してるの、足をヒネっちゃったじゃない」なんてサラリイマンに愚痴愚痴と嫌味ったらしく言葉を擦り付けているではないか

「ああ、ああ、すまない。本当に」

御手本通りのような謝罪をしているサラリイマンと未だ文句を垂れ流すワザと女サン


ああなんて可哀想なサラリイマン。

まるで脚光を浴びた様に安っぽい輝きの頸飾りを綺羅綺羅と反射させるようにせわしなく頸を動かすワザと女さん…


キャアキャア騒ぎ立てる女を遠巻きに見物にする私の頭はイカれてしまったのかもしれない

嫌だ嫌だ、あんな売女になりたくはないねえなんて心を宥め、先刻までの足が宙に浮くほどの希望の欠片を必死に集める私のなんて醜いこと…


いつしか生活に溶け込むようになってしまったスマートフォンが我々を蝕むようになったのは何時からであろうか。

表面をジワジワ音も立てずに溶かし、欠けた部品を補うように脳を侵食するこの小さなスマートフォン

醜い醜い人間の識る必要のない内側までジックリと照らす光が今まさに私の顔を照らして居るのもまた皮肉なものだ







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