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「旦那様、すでにシエラと会いましたの?」

 そんな言葉に、ようやくシエラと私が顔を合わせたことに気づいた様子。

「あぁ、なぜか色褪せてサイズの合わないメイド服を着たシエラにな。そこですべて聞いた。食事も抜くことが多かったようだな?そして、貴族令嬢の教育は受けさせていない。そうだろう?」

 カタカタと、震えるアマンダに告げる。

「来月にはアリアンも公爵家に嫁入りするし、シエラも辺境伯と婚約し領地に送り出す。それと共にデリアンに私は爵位を継承し領地に下がる。アマンダ、お前もだ。今後一切の社交を許さない。シエラにしたことと同じだ」

 社交が生きがいだったアマンダには、これが少しでも罰になるだろうか。

 シエラの時間は戻らないが、私ができることはアマンダと共に物理的にシエラから離れた生活を送ることのみ。

 アマンダにもうこれ以上シエラを好きにさせない、それだけだ。

「私に、社交を引いて隠居しろと?アリアンが嫁ぐこのタイミングで?」

「子どもが全員、結婚が決まり息子に爵位も継承するのだから当然だろう?」

 さも、それが当たり前というように告げた私にアマンダはキッと顔を上げて睨むと言った。

「あなたが、メイドなんかと子を作らねば私は幸せだった!あなたのせいよ!」

 そんな一言に、私はふっと笑って言った。

「私が気付いていないとでも思っているのか?離縁せず、アリアンを実子として扱い公爵家に嫁がせるだけありがたいと思え」

 私がシエラの母と、想い合う前にすでにアマンダには愛人がいたこともアリアンがその相手との子なのも、いまだにその相手と続いていることも知っている。

 侯爵家の当主なのだ、家のことはそれなりに把握せねばならない。

 シエラのことが抜けたのは完璧に私の落ち度だ。

 報告を家令に任せていたのが間違いだったと、反省している。

 本宅の使用人はみんな、子の継承の際にはある程度の金を渡して暇を出す。

 領地には気の良い使用人が数多くいるし、生活には困らない。

 離れの使用人と共にデリアンたちが本宅を使えばいいだけだ。

 さすがに、気づいていないと思っていたらしいアマンダには呆れる。

「気づいていたのですか?」

 その声に、私は頷くだけで声には出さなかった。

 アマンダへの関心が薄れた要因の一つだったことは確かだからだ。


 その後、お茶会から帰宅したアリアンにも話をする。

 爵位をデリアンに譲ること、アマンダと私は領地に隠居すること。

 今後、アマンダは社交しないこと。

 そして、アリアンは私の子ではないこと。

 侯爵家の子はデリアンとシエラのみ。アリアンの本当の父親は男爵家の次男で騎士爵の男だということを。

 アリアンは絶句していたし、到底認められないと荒れたが一月後には次期公爵夫人になるのだから良いだろう?と話せばとりあえずは落ち着いた。

「そしてシエラはアイラザルド辺境伯に嫁ぐ。お前の結婚式の前には辺境伯領へ送り出す」

 そう告げて、一応の結末を迎えたのだった。


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