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精霊の愛し子で、聖獣の愛し子でもあり、竜種からも愛し子認定された私は愛し子の肩書の大渋滞を起こしていると言える。
これだけ加護を得ても、加護同士で反発等は無く各々の種族に極端に好かれるといった具合だという。
精霊は終始周りにいるし、力になってくれる。
聖獣のリルも寄り添い、常に近くにいる。
そして竜種の加護はワイバーンと話も出来るし、乗せてもらうこともできる。
大変ありがたい加護であった。
なにより、お話しできるようになったことをオーロがとっても喜んでくれた。
大変可愛い子である。
「今回、シエラ自身に会ってさらに周りの様子や関係を見ていると仮説は有力かなと思うようになったよ」
皇太子殿下は辺境伯邸にたどり着いてサロンで一息入れることになると、さっそく話し出した。
サロンの前にはオーロとアイラが丸くなって過ごしている。
「どんな仮説でしょう?」
私は皇太子殿下に聞く。
「シエラは自然に寄り添う種族にことのほか好かれているってこと。精霊しかり、聖獣しかり。竜種も高度な知能と魔法力を持った自然界最強種族で、自然をこよなく愛する一族だから」
そんな皇太子様の言葉に周囲はおおいに納得した表情をして、同意を示した。
「それなら、レイシア様も結構精霊に好かれていると思うのだけれど」
私が疑問のように効くと、リルに入っていたウィンガルム様がこともなげに一言。
「レイシアにも愛し子の素質はあるだろうな。二代前の愛し子の血を引いているから精霊たちに好かれているし、本人の気質も穏やかだから」
二代前の愛し子だとざっと四百年位前のこと?と思いつつ聞く。
ずいぶん薄れているとは思うけど、精霊って魂とか、その人の気質とか雰囲気を好むから二代前の愛し子に近い雰囲気を持っていれば好かれやすいだろうことは納得できる。
「それならレイシア様も愛し子でもいいのでは?」
私の言葉にウィンガルム様が言った。
「当代の愛し子はシエラだけだな。精霊王に五大精霊の加護、聖獣の加護、竜種の加護と歴代最強の加護持ちだから」
そういわれると、私としてもどうしようもない。
仲間が居たらいいのにと思ったけれど、難しそうだ。
「私の元には、風と水の子しか来ません。でもシエラ様にはどの属性の子もみんな来ますでしょう?それが愛し子様なのだと思いますわ。私は自分の属性の子に好かれてラッキーって感じです」
レイシア様の話を補足するように皇太子さまが言うには、自身の魔法属性の精霊に好かれると魔法を使う際の体への負担がぐっと減るらしい。
「そのおかげか、レイシア様の風の補助でオーロの飛行は安定と速度を増して今回皇都から辺境まで小一時間の飛行で済みました。前回単独だと三時間近かったのでかなりの短縮ですよ」
そんな魔法に関しての威力の証明は、今回のオーロでの移動補助で証明されたようだ。
「やっぱりレイシア様も愛し子と変わらないのでは?」
そんな私の言葉にはみんなが首を横に振って否定。
「愛し子はシエラ一人だと思うよ」
そう言われた私は、オーロとアイラを撫でつつ、膝の上にはリルというもふもふ、つるつるの幸せ空間にいる。
「よその人のワイバーンとフェンリルを愛でられるのはシエラ様だけだもの」
締めくくるように、レイシア様が言ったその言葉に皇太子さまにセルゲン様、邸の使用人一同も同意していたのだった。




