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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

たいやき

作者: 古家  雅

たいやきの食べ方で運命で決まればいいのにね、そんな話です。

「ねぇ!芽郁ってたいやきってどこから食べる?」

 

寒い冬のある日、スーパーマーケットでセールになってたミニタイヤキを二人で4つ買って食べてたときに凜は私に聞いてきた。


「えっと、頭からだけど」


「だよねぇ…普通頭とか尻尾とかだよねぇ」たい焼きを左手に凜はため息を付いた。


「凜は?お腹から食べるの?」


「ううん…私食べ方少し変じゃん?だから、半分に割って冷ましたあと、あんこ取って食べてそして生地部分たべるんだよ…」そう言って彼女は私にその様子を見せてくれた。


 凜の手は小さい。小さいからミニたい焼きが普通のサイズにみえた、私の手には小さいたい焼きなのに彼女は得してるみたいだ。凜はアチチと言いながらミニたい焼きを半分に切ったあとふーっふーっと冷まして左手にあったたい焼きをゆっくり押してあんこを出した。その後落ちないようにあんこを食べたら、すごく幸せそうな表情を浮かべていた。


「変でしょ?」口にあんこがついたまま凜は困り眉で私の方を見つめる。


「…今更じゃない?そういう人もいるでしょ。」


凜は好きなものを最初に食べるタイプの人間でよく変な食べ方をして周りの人を驚かせてる。ピザをペパロニ食べてチーズ食べて最後にパンの部分を食べたり、ハンバーガーもハンバーグ食べてパン食べてそれから野菜…とても食べにくい食べ方をしてる。クラスメイトや先生からもこの話は有名でよく芽郁がご飯を食べるとき他の人が興味津々チラチラと見ている。


「いるかなー?いたら運命かも!…龍くんはどういう食べ方なんだろう…。」龍くん、立川龍は凜の好きな人だ。凜と私の幼馴染で、昔から凜の好きな人だ。凜によると彼は頭がよく、眼鏡が世界で一番似合ってて、顔立ちがかっこよくて…凜によると「運命の相手」らしい、


「たいやきの食べ方一つで運命が決まるならみんな好きな人と同じ食べ方してるよ。そういえば、凜ってそんなにあんこ好きだっけ?」


「たい焼きのあんこって美味しくない?!温かいからかなぁ?」そう言うと左手にあったたい焼きのあんこを食べ終えた凜は次は右手にあるたい焼きのあんこを取っていた。


「それはよくわからない、ゴミ捨ててくるね。」


「わまうま!」凜はたい焼きのあんこを頬張りながらうなずいた。


「食べながら喋らない。」



私はそう言い、少し遠い場所にあるゴミ箱へと歩いた。そうしたら声がした。


「あれ、芽郁ちゃん。」噂の龍くんだ。


「龍くん、奇遇だね。」


「そうだね、あれ?芽郁ちゃんもたいやき食べてたの?ミニたい焼きセールになってるから買っちゃうよね…。ってあそこにいるのって凜ちゃん?」凜はあんこを出すのに夢中でこっちに気づいてない。


「うん、二人で食べてた。」


「そっか、凜ちゃんってどうやってたい焼き食べるの?ほら、凜ちゃん結構独特な食べ方するじゃん。」言われて、私は凛の「独特」なあんこを最初に食べる食べ方を思い出す。そうそのまま言えばよかった、でも。


「…たい焼きは普通に頭から食べるよ。」私は嘘をついた。


「へぇ!そうなんだ。」


「龍くんは?」


「僕?僕は尻尾から食べるかなー。あんま面白くないでしょ、芽郁ちゃんは?」


「私も頭。」


「そっか、凛ちゃんと同じなんだー!あ、親が呼んでる…そろそろ行くね。じゃあね!」


「うん、また明日。」



 凜の場所へと戻った。


「さっき龍くんにあったよ。」私はあんこを食べ終えて生地を食べてる凜に言う。


「え?!言ってよ!!って…だめだ。こんな食べ方してるの見られたら笑われる…ってもうバレてるのかな…?」一人であーだこーだ言い始めた。


「そういえば、その時に龍くんとたい焼きの食べ方の話になった。」


「え!?り、龍くん、どうやって食べるって?」尻尾って言ってたから尻尾っていうべきだ、けれど私はまた嘘をついた。


「…頭から食べるって。」


「まじか!!よし、私も頭から食べよう!!!」そういい、買ってきたミニたい焼きをもう一つ取って今度は頭から食べ始めた。


 私もたい焼きを一つ取って頭からかぶりつく。私はずるくて性格が悪くて嘘つきで欲張りだ。欲張りだから願ってしまう。運命がたい焼きの食べ方一つで決まればいいのにと。


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