1.00MHz リサイクルショップ
さあ、いよいよ6番目の話だ。
これまで付き合ってくれてホントありがとうな!
――この話をする前に、言っておくことがある。
この6番目の話は、これまでの話と大きく違って見えると思う。
だけど本質的には変わらない、って事だ。
それからもうひとつ。
笑い話で終わらせたいのなら、最後の話は聞かない方がいい。
ほんの数日前の話。
休日のヒマを持て余していた俺は、近所のリサイクルショップが潰れるっていうんで、もののついでに足を運んでみた。
そこは住んでる安アパートから歩いて数分の距離だったけど時代遅れのボロ屋で、一度も立ち寄った事は無かった。掘り出し物でも安く手に入るんじゃ無いかってな。
陰気な店主からはいらっしゃいませのひと言もなく、節電で薄暗い店内は埃臭い。客は扇風機を探している老夫婦がひと組と、マッサージチェアで眠りこけている大学生がひとりいるだけだ。
ただ人が少ないからか、ありがたいことに冷房は効いていた。
俺は電子機器のコーナーに向かう。
メンテナンスされているかも怪しい数世代前のパソコンや骨董品のテレビなんかが雑に棚に置かれていた。あまり購買欲をそそられるものはないなあと進んでいくと、奥の暗がりにポツンと独立した棚があった。
『ラジオコーナー』
近寄ってみると、旧時代のラジオがひとつの棚に積まれている。売れないので処分品を積んでいるんだろうなと、棚を見上げた。
「あ」
【顔】だ。
【男の顔】だ。
まるで商品のように上の棚に置かれた【生首】が、棚の上から此方を見下ろしていた。
そんなはずはない。
瞬きし、目を擦るが、そいつはやはりそこにいる。
【半開きの口】からは、蜘蛛が這い出していた。
俺はその、正気のない洞穴のような【眼球】と、目があってしまった。
「うわああああああっ!?」
悲鳴をあげてリサイクルショップを飛び出した俺は、すぐさま110番をした。
しばらく後に警察が到着し、リサイクルショップは騒然となった。しかし――生首は見つからなかったらしい。
「ちょっと来て」
俺は警官に呼ばれて、二度と行きたくなかったが、ラジオコーナーに戻った。
「本当にここにあったの?首が?」
「は、はい……」
「それが消えちゃったってこと?」
「……あの、いえ、その。消えたというか……」
「ハッキリ言ってくんないとわかんないよ」
苛立つ警官に促されて、躊躇いがちに口を開く。
「……今も、あります…………まだあるんです、そこに」
棚の上に置かれた【男の生首】を指差して言った。
店主も警官も、どうやらソレが見えていないらしい。
ソイツは、俺だけに見えているのだ。
――と思った矢先。
警官が【生首】を掴んで俺の目の前に突き出した!
「お前にはコレが生首に見えるのか!?コレはラジオだ!ただのラジオだ!壊れた古いラジオだ!!」
そんな馬鹿な。
そんな馬鹿な。
そんな馬鹿な。
その後の事はよく覚えてない。
が、俺は簡単な事情聴取をされた後――精神病院へと連れて行かれたらしい。
次で終わります。