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3.00MHz 学校の怖いウワサ『死神のラジカセ』

 次はとっておきのヤツだ。

 俺が小学生の頃の話。




 大人の都合で東京の小学校に転校してきた俺は、新しくできた友達から面白い噂を聞いた。いわゆる学校の七不思議ってのだ。

 夜中に音が鳴るピアノやら、理科室で踊り出す骸骨やら。

 ベタベタの子ども騙しだが、小学生男子にはそれが刺さったんだろうな。友達と一緒に七不思議を調べるぞって学校中を探検しては、先生に叱られた。


 ……いま思うと、転校してきた俺がはやく馴染めるようにそんな話をしてくれたのかもしれないな。


 まあここまでならちょっといい話なんだが。

 本題はここからだ。


 七不思議のひとつに『死神のラジカセ』っていうのがあった。それはこんな噂だ。


 ・校舎のどこかに壊れた赤いラジカセが落ちている。

 ・ラジカセには12個のスイッチがある。

 ・12個のスイッチをすべて押すと、

  無かったはずの13個目のスイッチが現れる。

 ・13個目のスイッチを押すと、

  ラジカセから死神の声が流れる。


 友達とかくれんぼをして遊んでいたとき、偶然にも校舎裏の茂みで赤い【壊れたラジカセ】を見つけたんだ。【スイッチ】もちょうど12個でさ、全身の血がブワーってなったね!




  まさかこれが、『死神のラジカセ』――?




 最初は友達に教えようと思った。けど、どうしても自分で【スイ チ】を押してみたい欲求に勝てなかった。俺は、次々と12個の【スイッチ】を押していった。当然音は鳴らなかった。


 出たよ。

 現れていたんだ。

 最初に押した【スイッチ】の隣に。

 絶対に最初は無かった、13番目の【スイッチ】が。


 恐怖より僅かに好奇心が勝った俺は、勢い任せに【スイッチ】を押し込んだ。鬼が出るか蛇が出るか――?




「――みい〜〜〜つけた」

「うわああ!!」


 

 鬼が出た。

 というか、かくれんぼの鬼役の友達だった。


 俺は驚いて茂みから飛び出した。

 というか向こうもびっくりしていた。


 【ラジカセ】からはなんの音も流れなかった。

 所詮、噂は噂だったってわけだ。


「なにみてたんだよ、はやく来いよ!」

「おっ、おうっ!」


 友達に呼ばれた俺は、早足で駆け寄る。





 そのとき――背後からガシャンという音がした。




 振り返ると【壊れたラジカセ】の周囲に、窓枠とガラスが散らばっていた。

 上の階から落ちてきたのだろう。


 【ラジオ】は見るも無惨な姿になっていた。

 あのまま立っていたら今頃は、俺も――


「「わあーっ!!」」


 俺達二人は叫びながら、一目散に逃げていった。




 後で先生達に聞いたが、その場所には割れた窓ガラス以外のものは何も無かったらしい。

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