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潰されるべきは、お前だ

作者: 23すてぃん





「なんでっ…!!どうしてっ…!!」



トイレでかけられた雑巾を絞った汚い水のせいで全身が臭い


投げつけられたビリビリに破かれた教科書やノートには『死ね』『クズ女』『自殺しろ』などとマジックで書かれていた



由緒ある金持ち学園の、今は使われていない旧体育館倉庫にモップなどで小突かれながら先程強引に連れてこられ、さらにその道具類で袋叩きにされた彼女は嗚咽を漏らしながら蹲っていた







「いい様だな、クソ女」



「え…あ…?

み、水瀬くん…?」



そこには大企業の御曹司にして文武両道の"学園の王子様"こと水瀬(かなめ)が立っていた



「…いい気味ですわ」




彼の腕を控えめに抱いてそっと寄り添っているのは美少女というより美女という形容詞がしっかりくる切れ長で吊り目の美しい女の子



西園寺麗華、別の大企業のご令嬢であり要の婚約者であった




「ほんと、入学当初なんで突き放さなかったんだろ…同じ庶民ってことで油断したんだろうね…



あなたなんて金輪際友達じゃないから」




麗華のすぐ隣に立っていた、ふわふわとした短めの茶髪にタレ目で非常に愛らしい顔立ちをした女生徒が絶対零度の眼差しで元親友(・・・)を見下す



特待生の東條桃華であった





そして、歯を食いしばって3人を睨みつける平凡な外見の少女



少し前まで()()()()()()()()()()()()女だ




桃華は水瀬要に憧れていた

ただしそれはあくまでアイドルに対するものだ



自分と水瀬君がどうこうなる、なんて桃華は考えもしなければ望んだこともない



そもそも、婚約者である麗華ちゃんとはくだらない冗談を言い合ったりちょっと下世話なお話だってしちゃう()()()()()()()






そしてこの女が受けている制裁(いじめ)は、元は桃華がされていたことだ



といっても桃華はここまで酷いことはされていない



せいぜい取り囲まれて文句を言われる程度であったがそれでも恐怖であることには変わりはない





「桃華ちゃんが内心迷惑がっているのも無視して、幾度となく要に彼女をけしかけるような真似をしてくれましたわね」



麗華はぼんやり回想するような口調で、白けた表情で彼女に言った




「お陰で麗華とのイチャイチャタイムが何度邪魔されたか…やっぱ薬漬けにして暴力団に売り飛ばすか?」




要はかなり頭に来ているようだ

顔面蒼白となった少女を見て3人は嗤う




「東條さんをけしかけてるときのこいつの顔マジで気持ち悪い表情してたからねぇ?」



「あー、私からは絶対見えないですよねそれ」



「そうそう真後ろだからね。でも俺や麗華からは丸見えっていう」



「"悪役令嬢からヒロインを守り、ヒーローとのお近づきの手助けをするアタシ最高にいいオンナ!"って感じでしたわね」



「うわぁ…キモ」




「結局俺達3人の人格を否定して、自分が決めつけた役を押し付けてるだけだろうが


貴様のクソ平凡な容姿では俺に見向きもされないのは分かっているから、東條さんに()()()()()()()()()()()を押し付けたんだろ?」




「…それに、何が何でも麗華ちゃんを不幸にしたかったんでしょ?結局それって醜い嫉妬じゃん?



麗華ちゃんは水瀬君を支えていく為に、私達庶民なら一生しない色々な努力をたくさんたっくさんしてるんだよ?」



「そんな頑張り屋で健気な麗華が大好きだし、俺の隣は麗華じゃなきゃ務まらねぇんだよ最初から」



「も、もう!

要も桃華も褒めすぎですわ」





顔を赤くしてもじもじする麗華を睨みつつも、少女は何一つ反論出来なかった




全て図星だったからだ





「それにさぁ、仮に水瀬君に婚約者が居なくてフリーだったと仮定して何かの間違いで私が恋人になったとしても絶対普通の幸せ望めないよね」



「そうだな


俺と麗華もほぼ恋愛結婚とはいえ色々両家の思惑があることは否定できん

昔ほど堅苦しく無くなったとはいえ、親の世代はまだ政略結婚当たり前だったから心無いことを言う奴は掃いて捨てるほどいるだろうな」



「恐らく一生財産目当ての女だと言われ続け、ギスギスした空気の中で過ごしていくことになりますわ…



実際過去にいくつか有名な家で身分差ロマンス的なこともあったそうですが、大体は主人に気取られないように使用人にまで見下されて虐められたりして、お心を病まれたりして離縁しておりますわ」



「もしかして()()()()()退()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のも親友という便利な()()()の立場から眺めて愉悦に浸りたかったんじゃないのか?」



そこで少女は目を見開く



そこまでバレたのか、と。





「うわ…マジなんだ」

「吐き気をもよおす邪悪ですわ!」

「どんだけ歪んでんだよ…もうあれだ、お前死ねよ」





そして3人は踵を返した



彼女がいじめられるように仕向けた、ともいえなくも無いが後悔も反省も無い



そんなものは必要ないからだ



3人がしたことは、桃華を敵視してたびたび呼び出して怒鳴りつけたりしていた女子のグループを呼び出してお話をしただけだ



桃華は麗華の親友だから、嫌がらせをやめてほしいということ



桃華は水瀬を恋愛対象と思ったことすらないこと



頭の悪いロマンス小説みたいな略奪愛をけしかけているのは桃華の親友面をしている馬鹿女であること



麗華と要はラブラブだということ



…最後のは二人の甘い展開に普段からきゅんきゅんしている桃華が暴走して語っただけだが




彼女達は桃華に謝罪して、それか受け入れられるやいなやいじめを10倍以上過激にして再開した




もちろん対象は親友(サポートキャラ)




思えば東條桃華の本質が善良だから、水瀬ファンクラブの令嬢達も取り囲んで文句を言うだけに留めていたのだろう




しかし次に呼び出した彼女は邪悪で生意気な本質を隠しもせず抵抗して吠えた

だから制裁も過激になった




キレたお嬢様の集団が結構えげつないということをクソ女(サポートキャラ)の全身についた生傷が如実に表していた







そんな彼女(サポートキャラ)、椎名アカリは結局自主退学となり、違法な風俗で働いていたが酔った客と口論になり殴られた時の打ち所が悪くて死んだそうな










「ふふ、明後日の結婚記念日、腕によりをかけるからね!」

「うふふ、お願いね」



桃華は水瀬・西園寺両家の援助でマドリード、フィレンツェ、パリ、銀座、赤坂での修行を経て西園寺家の料理長の息子と結ばれた




すっかり女職人の顔つきとなった桃華は何年経ってもラブラブな親友夫婦とプライベートスペースでお茶をしながら、頭の片隅でとびっきりのメニューを模索し始めた



〜fin〜

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― 新着の感想 ―
[一言] どんな理由があるにせよ 人に手を上げる事が日常化出来、それ見て笑えるって時点でただのクズ。 潰されるべきは、お前らもだ。
[一言] ラブコメ要素が見当たらない。 異常ないじめを正当化する3人が気持ち悪かった。 サポートキャラポジのつもりで色々やらかしたかもしれないけれどその報復がこれでは理解が出来なかった。 最後に…
[一言] なんというか、ドン引きしました。 アカリがやったことは 1.桃華を要と恋愛関係にしようとけしかけた 2.麗華と要の仲を裂こうとした その目的の為に何をしたかは、本文からは読み取れないので…
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