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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、カツアゲにあいながら、過去を思い出して苦しみだす

 なんだというのだろう。

 学校でのことが、いまさらながら思い出してきた。

 記憶からよみがえったところで、今の私にはどうにもならないのに。

 ふざけやがって。

 私は車の助手席側のドアを開けた。

 その際、振り返って

「ちょっといいですか?」

と、近寄るように促す。

 既に左手は手錠を握っていた。

 手錠の輪の部分を重ねて持った。

「あった?」

 男は何の警戒もなく踏みよってきた。

 バカが……。


 ねぇ、Hってまた一人で食べてるよ。

 友達いないのかな。

 いないんじゃない? ネクラだし何考えてるか分からないし。

 がり勉のくせに、へんな本読んでそう。

 一人で食べてると、雰囲気悪くなるよね。

 便所で食べたらいいのに。

 Hって、本当邪魔……。


 H? やめてくれよ、あんなブス。

 あいつと目があっちゃったよ。


 男が近づいてきた。

「なぁ、あった?」

「ありました。でも、ちょっと……」

「なんや」

 男は不用意に車の中を覗く。

 私の呼びかけに応じて、私のほうを振り向く。

 男は私に顔を向ける。

 間の抜けた顔だった。

 その顔に向けて、手錠を握りこんだ拳を叩き込む。


 えっと。Hさん?

 はい。

 高校を卒業して、バイトを探しているということだったね。

 はい。

 で、どうしてうちを?

 はい。……でして、生活費を稼がないといけないし、ここなら私にもできそうだと思って。

 アピールポイントは?

 え……。

 うちは、君を雇って、何か利点はあるの?


 フリーター?

 変わっているね。今の経済状況、分かってる?

 どうして、仕事に就かなかったの?

 うちはいらないんだけど。

 不景気だけど、仕事はあったはずだよ、新卒なら。

 馬鹿か君は。

 要するに、無職ということですよね。


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