H、カツアゲにあう
「見かけはこんなで、ホストとかに見えるけど、髪も染めているしな。でも、ずっと待っていて、やっと出来上がったんよ。修理するにも、知り合いに頼まな。居間いくら持ってる? 財布みして? それに、これもただやない。大阪ン帰る前に……」
この男が、私を強請る気なのだと感じました。そこで私は
「カードは車の中に置いているのです。車はすぐそこに置いていますから、いっしょに来ますか」
男は来ました。
ノコノコと、私の後について。
今日作ったばかりのメガネのレンズは、指紋で汚れていました。
本人は否定していましたが、暴力団と関係しているのかもしれません。
もし、あの場でへんなことを言ったら、少々まずいことになっていたと思います。
私は隠し持っている手錠を確認しました。
わざと自分の物を壊させて、金を巻き上げたり、言いなりにしたり。
私の学生時代にもありました。
私はその被害にあっていませんが、行われていたのは知っています。
「あそこです」
「そう。結構近くやったね」
私が女だから、軽口を叩いてくるのでしょう。
それにいちいち応えなくてはいけない。
面倒になってきました。
こいつも、馬鹿そうな顔をしている。
強請りなどする人間に、ろくなのはいない。
私が知っているのは、学校内で強請りを行っていたのは、不良はもちろん、運動部のエース級で、成績優秀者。
私みたいにスポーツがダメ、成績も振るわない生徒がいる一方、何もかもできる生徒が何人もいました。
ルックスもよく、先生や近所の評判も良く、目立つ存在だった。当然、付き合っている相手がいる。学内でも人気がある。
そいつらが学内で強請りをしているとは、先生は誰も信じないだろう。
普段のイメージがいいから。
今、私の後ろをついてきている奴も、そいつらの仲間だ。
だとしたら、私はこいつを……。
ねぇH、……の役職やってよ。
どうして私が。出来ないよ。あなたがやって。
Hのほかに誰がいるのよ。みんなもHがいいよね。
H、パス!
いたい……。
何やってんの! ちゃんと取りなさいよ!
今度はこっち!
ち、ちょっと待って……。
だめぇ~、これぐらい取れなきゃ。
だって、私と1メートルしか離れてないよ。
これはHを特訓しているの!
そうよ、いつも足を引っ張るんだから。
でも、すぐ目の前から全力で投げられたら、取れない。
え~、聞こえな~い。
ぶっ……。




