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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、トラブルを起こしてしまう

 私はいつの間にか、駐車場に向かって戻っていました。

 用がないなら、いち早く人の目のない場所に行ったほうがいいに決まっています。

 天神の街にたくさん並ぶ店を覗いてみました。

 積み上げられた商品をじっくり眺めようにも、そんな時間はなさそうです。

 それに、もしそうしたとしても、私には欲しいものなどありません。

 ショーウィンドウの向こうの品物が、絵のように見えてきます。


 そんな時、前方から一人の男性が足早に歩いてきました。

 私は歩道の端のほうに避けましたが、なぜかその人は私のほうに近づいてきました。

 私ももっと速く動けばよかったのですが、その人と私はぶつかってしまいました。

「すみません、大丈夫ですか?」

 その人の鞄を拾い上げ、声をかけます。

 が、その人はしゃがみこんだまま顔を上げようとしません。

 よく見ると、しゃがみこんだまま、メガネを見ていたのです。

「割れとるわ」

 私は再び謝りました。

 先ほどのホームレスのこともあり、できるだけ目立たないようにと決めた矢先のことでした。

 男は立ち上がりました。

 服装は普通ですが、髪を染め、ちょっとホストみたいな感じでした。

 男は私にメガネのいわれを話しました。

 このメガネは福岡にいるメガネメーカーの知り合いが特注したもの。

 何ヶ月かかかって完成し、今日受け取ったもの。

 そして、男は今日大阪に帰らなければならないこと。

 すまないと思っていた私は、急に冷静になりました。

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