作者と主人公、いまだにカウンセラーの話を聞く
アンデルセンは紅茶を飲みながら、言った。
「あのコンビニの中で、SがHに何か言ったのかもしれないな。Hにとって、影響を与えるような
一言を」
「それは何?」
既に紅茶を飲み終えた里緒が、コップを置いた。
アンデルセンは首を横に振り、
「わからん。だが、人というのは何気ない言葉ひとつだけで、影響を受けてしまうものだからな」
砂糖を入れない紅茶に俺は多少の苦労をしたものの、なんとか飲み干した。
アンデルセンの講義が再開したのは、それからすぐのことだった。
③Hは病気か?
S「よくニュースで『心神耗弱』とか言っているけど……」
L「Hを『心神耗弱』で無罪にしたら、日本の未来は真っ暗だと思う」
A「うむ。心が弱っていて、そのせいで起こした犯罪は無罪になる、と言っているようなものだか
らな」
L「では、法学部卒の迫田君。特別に刑事事件で犯罪者になる法的要素を説明しよう。教授、そこ
をどいて」
A「こら、わしを手であしらうんじゃない。まあいい。だが、早く済ませるんだぞ」
L「はいはい」
なぜか知らないが、里緒の法律講座が始まってしまった。アンデルセンは憮然した顔で椅子に座った。
L「迫田君。『罪刑法定主義』とはなんですか」
S「罪とか刑は法律によって定められるということ?」
L「正解。では、刑事罰を与えるときに大事な三つの要素があるけど、それは何?」
S「①構成要件該当性
②違法性。
③責任能力」
L「おぉっ! 迫田君が答えられるとは思わなかった! さすが三流地方私大卒!」
S「誉めてないだろ」
L「あら、わかった? じゃ、迫田君。それぞれの意味は?」
S「①構成要件該当性。 →刑法に載っているかどうか。
②違法性 →それが違法な行為か。
③責任能力 →その刑事罰を負えるほどの人間かどうか」
L「まあ、それで正解かな。それじゃ、ひとつずつ説明していきましょう」




