表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
85/345

作者と主人公、カウンセラーと会う-3

A「これでも、Hの事件には興味を持っていて、わし個人でも調べていたことなんだが……。Hの

 事件について、Hの精神性に入っていく。いわゆるプロファイリングなのだが。さて。一点目」


① Hみたいな真面目人間が犯罪を起こすか。


L「実際起こしているでしょ」

A「まあそうなんだが。ここでキーになるのがいわゆる『良い子』と言うことだ。供述を聞く限

 り、Hが『良い子』であったことは間違いない。ところでこの『良い子』だが、誰にとっての

 『良い子』なのだろうか。それに『良い子』の定義は」

L「大体、そう決めるのは親とか?」

A「その通り。現在、この国では親の言うことをよく聞く子ほど『良い子』だと誉められる傾向に

 あるね。その逆で言うことを聞かないと『悪い子』だと怒られてしまう。子供からすれば誉め

 られたほうが嬉しいわけだ。そして親の期待とか、して欲しいことを感じ取り、そういう風に

 行動する。そのような性格の子供が一般的に『良い子』だと思われている」

L「大体そうだね」

A「少し大きくなって、親の期待がかかってくる。子供は親の期待に応えようと努力する。ところ

 が『良い子』たちは親の過度な期待でも、頑張って応えようとする。応えられなければ親の愛

 を得られないと無意識的に感じ、それを恐れる」

L「お受験などで、親に尻を叩かれる子供たちもそうかな?でも、そうなってくると、何かに追わ

 れているみたい」

A「まさにそうだ。本来安らげるはずの家でも、たえず緊張しなければいけない。それが、自我が

 出てくる思春期になると、親のために我慢を続けている自分に気づく。本来ならそこで親と衝

 突して成長していくのだが」

L「その時間が反抗期なのね。でもHにそんなのはなかった」

A「いや、あったはずだ。でも本来真面目な性格のHは、親に反抗できなかった。内心『おかし

 い』と思いながらも『良い子』の振りを続けていたのかもしれない」

L「じゃあ、Hは近所でも評判のいい優等生を演じていたということ? 親のために?」

A「かもしれん」

L「でも、親は満足しなかった」

A「Hの成績を聞いたが、悪いわけではなかった。でもHはわしに『私、頭悪い』と言ったことが

 ある。親の要求が厳しく、どんなに頑張っても満足してもらえない。そのため、Hの自己評価

 は低かった。つまり変な思い込みがあったのだ」

L「ストレスたまりそう……」

A「まさにその通りだ。そのストレスが臨界点にたまって爆発したとき、世間を騒がす事件を起こ

 す。初犯が殺人という」

L「Hの場合は特殊だと思うけど」

A「心理的なものは変わらんよ。ただ、HはSの影響を受けすぎている。これが二点目じゃ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ