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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、逃走中-3

Sさんを撃った田中刑事は許せません。でも、この私HとSさんの関係って、なんなんでしょう。警察では、私はSさんの彼女だ、と言ってしまいましたが……コンビニ内であの人とキスしてしまいましたが……厳密には違うと思います。

 もし、私が体を許して、実行に移っていても

「Sさん、つまんないですね」

「そうだね」

 こんな会話が交わされたかもしれません。

 この時には、私にはSさんが凶悪な連続殺人鬼とは思えなくなっていました。

 何分か前には生きていて、会話を交わしていた人も、あれほど簡単に死んでしまうのです。一方、私は生きているのに、その価値が見出せていなかった気がします。生きているだけで素晴らしい、という言葉を聴いたことがありますが、その素晴らしさを私は実感したことがありません。

 日本は環境も、経済的にも世界では恵まれた国だと思います。

 私のように、働かなくても生きてこられたことがその証拠です。なかなかないですよ、こんな国。でも、年間三万人もの自殺者が出るということは、恵まれた生活環境が与えられても、それでもお釣りが来るぐらい生き辛い社会だと思うのです。

 どうしてそうなったのか。私みたいな頭の悪い人間には説明できそうもありません……。

 Sさんならその理由はなんとなく理解してそうです。Sさん、学校の成績は良かったそうです。野球だってやらせてあげれば、途中でやめたとしても、あれほどの殺人鬼にならなかったかもしれないのに。



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