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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、回想を始める-7

 私が高校を出て最初に働いた所は、えっと、なんだったかな。

 忘れました。

 事務作業で就社しましたが、入って一ヶ月で倒産した会社ですから。

 ちなみに、姉は福岡県庁で働いています。

 就職氷河期に、地方公務員として働くことができました。そのことから姉がどれだけ優秀か、推測できることと思います。

 その頃、父は再就職先を探していました。父は自分の実績があればどこでも仕事があると思っていたようです。

 とある深夜、私は両親が話し合っているのに気がつきました。

 この時は、私の最初の会社はまだ倒産してない頃でした。

 姉は既に仕事に就き、家を出ていました。

 したがって、家にいるのは両親と私の三人だけ。

「まだ仕事は見つからないの?」

「どこもダメだな。やはり不景気なんだな」

「困ったわね。このままだと生活が」

「悪いが、Hと一緒にパートに出てくれないか?」

 いやよ、こないでよ、やるなら別の所にしてよ、と思いました。

 家でうるさく言われ、外でもうるさく言われるなんて。

 ところが、母はこう答えました。

「無理よ。教師を辞めてから、ずっと専業主婦してたんだもの。急に言われても困るわ」

 父はため息をつきました。

「しかし、このまま就職できてもせいぜい年収五百万か」

「たったそれだけじゃ、生活していけないよ」

「一時は、ボーナスも三百万円を越えていたんだけどな」

 私は何も言わず、部屋に向かいました。

 生活が苦しいなんて言っていたけど、無駄が多いように私には思えました。

 それまで蓄えていた貯金もかなりあるだろうに。それはどこに消えたのでしょうか。

 私が大学に行かないことで、浮いた金も残っているはずなのに。

 もしかしたら、私が高校生だった頃には、既に家の資産はなくなっていたのでしょうか。

 それはないでしょう。

 信金が吸収合併されるまで、父は普通に働いていました。

 世間一般よりも多額の収入を得ていたのですから。

 両親は私が帰ったのも気づかず、話し込んでいました。

「……、この仕事は」

「出来ない」

 それから、私の会社が倒産するのに、それほど時間はかかりませんでした。

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