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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、回想を始める-6

 昨日、レイプ犯を殺したときみたいに、胸の中で金属板が弾け飛ぶ音がしました。

「お待ちどうさま。……円です」

「あっ、あ、はい」

 財布から代金を取り出し、店員の手に乗せる。

 その店員は再び笑顔を私に見せた。

 私もソフトクリーム片手に、顔をほころばせた。

 少し前、と言っても半年以上も前に働いていたコンビニでのことですけれど、私もあんなふうに他人に笑顔が見せられていたのかな、と思いました。

 あの店員さんの笑みで、私は気分よくデパートから出ることができました。

 出てすぐ、目の前の道路をパトカーが通り過ぎました。

 私は一瞬身を震わせました。

 見つかったかと冷や汗が出ました。

 でも、パトカーは私に気がつくことなく、遠くへ走り去りました。

 そのとき、私はソフトクリームを一口くわえました。

「冷たい……」

 昔、時々ですが両親または母親に私と姉でデパートに買い物に来たことがあります。

 このデパートよりも、もう少し規模の大きな店でした。

 そこには今来たばかりの店よりも、もっとたくさん、似たような店が並んでいました。

 うどんやそばの店があったり、たこ焼きなども売っていたり、簡易的な喫茶店みたいだったり、そこが一種の休憩所みたいになっていました。

 でも、私にとってその場所は、ただ通り過ぎるための場所でした。

「ああいうところの食べ物は、汚いから、食べちゃダメよ」

 それは夏祭りでの縁日でも同じことでした。

「誰が触ったかわからないからな。不潔だし。金の無駄だ」

 両親とも、使う言葉は違うものの、発言の意味はまったく同じでした。

 ほとんど買い食いもしなかった(?)私の舌に、冷たさと甘さが入り混じり、口全体に広がっていきました。

 コーンまで全て食べ終わると、私は車内でリクルートスーツに着替えました。

 人通りも少ないし、さっさっと着替えればすむことでしょう。

 リクルートスーツに着替え、靴も履き替える。

 その後、バックミラーを動かし、自分を写してみる。

 私の頬の筋肉が自然と緩んでいきます。

「いいかも……」

 もう少し自分のルックスがよければよかったのですが……。

 もし、私が大学生になっていて、他の学生と同様に就職活動したら、どうなっていたでしょうか。やはり私のことだから、どこにも就職できずに、コンビニかスーパーの店員になっていたでしょうか。

 私は、人が言うほど勉強が好きではありません。

 Sさんと私とでは、Sさんのほうが学校の成績が良かったと聞いています。

 だから、父親の信金の吸収合併がなく、普通に大学にいけたとしても、実際に大学で勉強したかどうかは?マークがつくところです。


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