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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、回想を始める-4

 母は言いました。

「だからね、これから生活も苦しくなるし、あなたにも協力して欲しいのよ」

「でも、お母さん、いままでずっと大学行け、大学に行かないと仕事がないって……」

「事情が変わったのよ」

 話を聞いていると、拳に力が入り、胸の奥が熱くなってきました。

 感動してという意味ではなく、怒りで腸が煮え返っていると表したほうがいいでしょうか。

「それじゃ、私が今まで……」

「あなたの成績なら、行ける大学はないでしょう?」

 私は何も言い返せなかった。

「高卒でも仕事はあるから、今は、生活を考えて欲しいの。もしかしたら、入れる大学はあるかもしれないけれど」

 私の歯がこすれあい、鈍い音を立てました。

「勝手なことを言わないで! 大学に行けと、言っていたのはそっちでしょう! なのに」

「仕方ないでしょう! 信金が吸収合併になったんだから! お父さんの収入が減ってしまい、生活費を抑えないといけないの。それに、地方の三流大学に行ってどうするの? それこそ行く所なくなっちゃうのよ! あなたが、パートででも働いてくれないと、困るのよ。悪いけど」

「でも」

「本当は、大学に行ったほうがいいけれど、高卒でも出来る人は出来るの。例えば、福岡のFランクなんかにいったってしょうがないでしょう? 九州大学は無理でも、福岡大学とか西南大学とか少しは名が通っているけれど」

「じゃ、私は今まで何のために」

「高卒でも、できる人は出来るのよ。本当に出来るのなら、学歴なんかに頼らなくても、立派にやっていけるはず。あなた一人大学にやるためにどれだけかかると思っているの? 国公立に入れれば別だけど、無理でしょう? 収入がなくなったから、私立には行かせられないのよ」

「今までと、言っていることが違う」

「今までのあなたの努力が足りなかったからよ! 今は大学を出ても仕事のない時代なのよ! 地元の三流大なんか、高卒と同じ! それとも、早稲田か慶応に入れる自信でもあるの?」

 そんな大学にいけるような成績か、と問われれば、私はノーとしか言えませんでした。

 私は高校を卒業し、働くことができましたが……。


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