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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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作者、テープリライターを続けてしまう-11

 俺はすぐに何かを察知し、うなずいて、答えを聞かなかった。

「車に乗って逃げたというのは?」

「昨日、福岡県は雨だった。ところにより晴れだった所もあるだろうけど、そんな時、しかも深夜に徒歩で山道を歩く人がいると思う? よほどの物好きでない限り、車に乗っているよ」

「それじゃ、Hがそいつらを殺した理由は」

「二人、五人のどちらかの殺害現場を見たんでしょう。多分、二人が先で五人が後。というのも、二人の方は車を崖から突き落としている。車を崖から突き落とすというのは結構重労働でね。後ろから車を押しているうちにたまたま通りかかった五人組に現場を見られてしまった。二人組の軽自動車は落ちて壊れたけど、五人組の車はまだ無事。おまけに五人組に殺人現場を見られたから、口封じに殺そうと思ったのかもしれない。雨だったし、歩くのも疲れるから車を奪おうと思ったんじゃないかな」

「なるほど。じゃ、今頃福岡県から外に出ていることも」

「県境に検問引いたと稲垣君は言ってた。もし一足遅くても、車を特定し、全国に指名手配すればいい。あって欲しくないけれど、Hによる犯行が起きればその地区を厳重に調べればいい」

「おきなかったら?」

「全国の警察に頼んで、Hを見つける。稲垣君たちも既にそういう対策を採っているって」

「そう」

 俺は息をつき、MDをかけた。

 ところが、この後の話に特に聞くべきところはなかった。

 というのも、Hは学生間だけではなく先生たちの間にも、それほど存在感のある生徒ではなかったらしい。だが、俺がMDで聞いた先生が三人とも『真面目でおとなしい』というHの人物像を語った。

「里緒ちゃん、これは」

 俺はにわかに信じられなかった。

 Sほどではないにしても、Hもかなりのことをしている。しかし、Hの人物像は殺人鬼とは、かなりかけ離れたものだった。

 でも、里緒は冷静だった。

「おかしくないでしょ?」

 いや、おかしいって。

 俺はそう反論しそうになった。

 どうして、何の問題もないような人間がこのような犯罪を起こすのか。

 何の問題もないのなら、犯罪は起こらなかった、Sの彼女なる女も出るはずがないではないか、と。

 しかし、里緒は冷静だった。

「迫田君。子供の頃から問題を起こしている人が凶悪犯になると思う? それに」

「それに、なんだよ?」

「最近の凶悪犯は、周りの評判もいい『いい子』がある日突然、殺人鬼に変貌したタイプが多いと思わない?」

 俺は、答えられなかった。

「迫田君。Hにも込み入った事情があったみたい」

 もう少し待ってて。

 里緒は顔を伏せた。彼女はそれ以上話してくれないみたいだ。

 ちょっと疲れが見えていた。これ以上聞くのはよくない気がする。

 今回、俺の仕事はここまでらしい。


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