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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、事件の日を思い出す-2

 前向きになって、それで行動を起こしてこんな……、いや、今までもこうでしたよね。

 私が何かするたびに、どこからか邪魔者が現れて。

 それも、私は他の人がみんなやっていることをしようとしているだけ。誰にも迷惑をかけないように、自分の分け前が減ったとしても、仕方がないと思っていた。

 ささやかなものでよかった。今まで、全部そうでした! 

 全身に力が入る。

 胸の中が熱くなる。歯をかみ締め、相手を見据える。

 このとき、私は周囲の時間が異様なまでに遅く流れていることに気がつきました。

 と、同時に、私の今まで記憶が一気によみがえってきました。

 かの『殺しの天才、S』と同じ現象でした。

 Sさんは言っていました。

 記憶がフラッシュバックして、その度にひどい頭痛がすると。そして、誰かを殺さなければ気がすまなくなると。

 わかる、気がします。

 よくないことだとわかっています。でも、納得は出来なかったのです。

 自分にはなかった。

 みんなが普通に暮らしていれば得られるものが、私には。

 真面目に暮らしていたのに。

 私の中に経験として積み重ねられてきたものが、腐敗し、ヘドロと化して混ざりあっていく。

「Sさん……」

 今ならわかります。

 Sさんがどういう気持ちで殺人鬼となっていったのか。

 そして、たった今わかりました。

 絶対にありえないことが私に起こっていること。

 ヘドロが私の体に広がっていく。そして、私の中に眠っていたものと結びついていく。

 でも、それはなんだろう。

 少なくとも、今までの私にはなかった物です。

 ふと、Sさんの顔が浮かびました。

 ああ、そうだ。

 どうして今まで気がつかなかったんだろう。

 それとヘドロが完全に化合した。そのとき、私の中に怒りとか憎しみ、妬み、僻み、怨み、嫉みなど、マイナス感情が急激に膨らみました。

 再び目の前の男に意識を戻しました。

 眼鏡がなくてもよく見えました。

 男たちはそれほど動いていない。つまり、今までのことは全て瞬きほどの時間もかかっていないということ。恐怖はどこかに消え、ひとつの疑問が頭に浮かんできました。

 なぜ、この人は私に襲い掛かったのだろう、と。でも、その後その疑問はふっと消えてしまい、代わりに現れたのは目の前の男たちに対する殺意だけでした。


 この後の結果は推してしかるべし。

 私がSさんから引き継いだもの、それは殺しの才能でした。

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