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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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作者、テープリライターをやってしまう-4

 Hはダメだったわけですか。

「そのせいか、中学での成績は振るわず、性格も暗くなって。こんな成績ではどこにもいけない、もっと頑張れ、とはっぱかけていたのですけれど。それが」

 どうしました?

「高校になってから、さらに成績が落ちてしまいまして。あの当時は大学を出ても仕事がない時代でしたね。フリーターが急増し、ニートや引きこもりが社会問題になり始めていました。それに、景気もますます悪化し、主人の信金は吸収合併され、リストラされ……。Hは高校を卒業と同時に働き始めました」

 その後に引きこもってしまったわけですか。

「そうです」

 Hは、子供のときは特に問題を起こす子ではなかった、犯罪なんて想像もつかなかった、ということでいいですか?

「はい。成績はともかく、おとなしくて、手のかからない、いい子でした。姉もそうでしたが、私たちの言うことを素直に聞いていました」

 先ほどから、ずいぶんと成績という言葉が出て来ている気がしますが。

「色々な考えがあるでしょうが、現実には学歴がいいほうが、いい生活ができる世の中です。学校生活でも、どうしても勉学での成績の比重が大きくなります。主人のリストラのせいで大学へ行かせられなかったのは気の毒に思いますが」

 ちなみに、どれくらいの成績だったんですか?

「どれくらいと言われても……大学を選ばなければ、どこかに引っかかったでしょうが」

 なるほど、大学には入れるくらいのレベルだったと。

「ところで氷高先生。先生はどこの大学を?」

 東大です。

「すごいですね。そのレベルだったら、無理をしてでも」

 高卒でも、まともな仕事についている人も多いですよ。

 学歴ではなく、その人個人の能力と適正が問われる時代になってきている、と私は思いますが。

「そうでしょうか。その一面もあるようですが、まだまだ学歴偏重の考え方は根強く残っていると思います。Hは長い間仕事に就けず、主人はリストラにあっても、比較的すぐに再就職できました。主人は大学を卒業していましたから、その点が決め手となったと思います」

 そうですか。後で、ご主人のお話も伺いたいのですが。

「分かりました」

 話は変わりますが、家ではHをかなり厳しくしつけられていたように聞こえますが、いかがですか?

「確かに、言い過ぎたりしたこともあります。が、どの家でもそうなのではないですか?」

 それでは最後に、Hの犯行の原因となったものは、何だとお考えですか?

「Sのせいだと思います。ところで、先生……」


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