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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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作者、テープリライターをやってしまう-3

 Sの人質になった後ではなくて、ですか?

「はい。Sの時は二度目でした」

 一度目のときは、どうでした?

「部屋に閉じこもって、仕事もせず、何を聞いても答えませんでした。夫が怒鳴っても、姉が説得に行っても応じようとしませんでした。精神科医が来て何回目かの面会でようやく出てきてくれました。隣近所に相談するわけにもいかず、どうしようかと皆で悩みました。家にニートがいるとわかれば、世間に顔向けできませんし」

 その後、コンビニの店員になったわけですか?

「そうです。アルバイトしながら就職活動をしていました。でも、仕事は見つからず、Hも次第に諦めてきたようです」

 なるほど。

「長い間、コンビニ店員としてうまくやっているようでした。ですが、Sの事件ですよね」

 ショックで、引きこもってしまったんですね。

 ということは、今回の事件もSの影響が強いとお思いですか?

「はい」

 Sについて何か言っていましたか?

「はい。おとなしいあの子からは信じられないくらい。どうしてSを撃ったのか、どうしてSの話を聞いてあげなかったのか、とか。それから、コンビニの中でSが何を話したのか、Sがどうしていたのかなど、とても激しい口調で。驚きましたが、私たちはSを庇うのはやめろと言いました。でも、Hは私たちの言うことに耳を貸さなかった。Sの何を知っているのかと、逆に問い詰められまして」

 HはSに対して好感を持っていたわけですね。

 それでは話を変えます。

 Hの子供時代はどうでした?

「人見知りするおとなしい子でした。ですから、今が信じられないのです。自分の子供が犯罪者になると考える親がいると思いますか? それに、頭も良かったんです。これなら、と子供の将来に希望を感じ、期待してしまう、そうせずにはいられなくなるのです。あの子が小学生の時は、経済的に余裕がありましたから、それなりのことをさせました。もちろん、Hの姉にも」

 それなりのこと、といいますと?

「世間一般で言われる英才教育ですか?」

 では、Hは私立の学校に?

「幼稚園と小学校は公立でした。子供の頃からレールに乗せるようなことは、したくなくて。で、私立の中学を受験させまして……姉は合格しましたが……」


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