Hが狂い始める-5
金髪の坊主頭が襟をつかんできた。
細い眉に三白眼のこいつもまた悪人面だった。
「聞いてるのか?」
今まで自分に何か話していたらしいが、まったく聞いていなかった。
四人のチンピラはいつの間にか自分を取り囲んでいる。
面倒な問答はしたくなかった。
相手は顔を近づけてきた。
男のあごに銃口を押し当て、引き金を引いた。
辺りは静かだった。
銃声が鈍く聞こえた。
襟をつかんでいた男が後ろにのけぞる。
そいつの後ろにいた男をねらい、撃つ。二人目は短く叫び、胸を押さえて倒れた。
「銃を持っていたのか!」
「てっ、てめえ!」
狼狽する三人目のスカジャンに銃を向け、撃った。
しかし出たのはガチッという、弾切れを示す金属音。
その途端、男二人は表情を変え、襲い掛かってきた。だが、自分が何者か知らない彼らには、不幸なことだった。
さっさと逃げればいいものを……。
拳をかいくぐり、銃のグリップを鼻面に叩き落す。
三人目はもんどりうって倒れた。その首に足を踏み下ろす。
持っている武器は銃だけでなく警棒と手錠。
予備弾はあるが、無駄には使えない。
銃をしまい、警棒を伸ばす。
「おい、まて」
四人目が自分から少し距離を置いて、攻撃の隙をうかがっていた。
もしかしたら、三人目の攻撃に乗じて飛び掛るつもりだったかもしれない。
四人目をにらんでいると、不意に脛を中心に足全体に伝わる痛みを感じた。
三人目に脛を叩かれたのだ。
「なめんじゃねえぞ、クソだら……」
「……!」
反射的に何かを叫んでいた。自分の耳でさえ、自分の今の言葉が判別できなかった。先ほど首に踏み下ろした足を、今度は顔に踏み下ろし、何度も繰り返す。三人目が両腕で防いでいたが、彼の頭はアスファルトに何度も打ち付けられる。
「野郎!」




