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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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Hが狂い始める-3

 苦笑が止められなかった。

 男たちが何か言ってきた。見掛けとは裏腹に、彼らは口々に自分への非難を口にしてきた。

 そういえば、こんなこともあったか。


 学生時代、クラスの女子たちから囲まれ、口々に自分への罵声を受けたことがある。

 理由は良く思い出せないが、確か自分が何かのクラスの代表に祭り上げられ、文化祭だったか……その話し合いに赴いたことがあった。

 実際に代表になろうとの意思はなかった。

 誰かが自分の名前を挙げると、クラス中が賛成した。自分が反対できる余地はなかった。で、話し合いに赴いたものの、結果は芳しくなかった。

「何やってんのよ!」

 結果を伝えてすぐ、自分にかえってきたのはこの言葉だった。

「ふざけんなよ!」

「あんた代表でしょう!」

「しっかりしろよ、バカが!」

 こうなることはわかっていた。

 だから、自分も一生懸命食い下がった。

 ところが、それほど頭の良くない、口もうまくない、しかも多数決でも負けている。

 言葉が見つからず、意見を言うために途中で頭が痛くなるほど、考えたりもした。

 けど、ダメだった。教室に帰ってくると、予想通りの結末が待っていた。

 教壇で説明を終え、席から帰ってくる罵声を受け、自分は何も言い返さず、ただうつむいているだけだった。

 担任もその場にいた。自分へ対する非難がひどいと思ったらしく、立ち上がり、自分の代わりに教壇に立った。

「待て待て、みんな。ちょっと言いすぎだぞ。俺もその話し合いに立ち会ったが、Hだってがんばっていた。決まってしまったものは仕方がない。Hを責めるよりも、みんなでがんばってこうじゃないか」

「何言ってるんです」

 生徒の一人が反論した。他の奴らもそいつに続く。

「Hがもっと頑張っていたら、こんなことにならずにすんだんでしょう」

「一生懸命頑張った、でもダメだったじゃ、ダメじゃん」

「こんなことになったのは、Hのせいよ」

「相手の言いなりになって帰ってきて、それじゃ子供の使いよ」

「一人でやれよな」

 先生が教卓を叩き、生徒全員の前で怒鳴った。

「いい加減にしないか! Hが悪いというなら、Hを代表に選んだのはお前たちだろ!」

「どうして俺たちが悪いんですか」

「Hは確かに代表になった。しかし、Hを代表に決めたのは、このクラス全員の総意だろ? あの時、みんなは賛成しただろ?」

「Hだって、了承していましたよ」

「よく聞け。クラス全員が賛成している中で、反対なんかできるか? Hも頑張った。それを知らずに、非難ばかりして。こういうことは競争じゃないんだ。クラス全体で一致団結して頑張ることこそ大切なことなんだ。Hが話し合いに参加して、こういう結果になった。でも、こんなときこそ、Hをみんなでフォローするんだ。これは今だけのことじゃないぞ。これからの人生において色々と挫折することがあるだろうが、結果が全てじゃない。頑張ることが大事なんだ」

「何、甘いこと言っているのです」

 思わぬ反論が来て、先生は話を中断した。

「何?」


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