警察がようやく活躍し始める
稲垣刑事と迎刑事は殺人現場に到着した。
セミたちがうるさく感じられた。
既に鑑識が到着していて、現場検証をしていた。
現場には通行止めのロープが張られていた。
迎は知り合いの顔を見かける。
「藤野君!」
鑑識たちと話していたひとりの刑事が振り返った。
長髪でこざっぱりしているその刑事は、片手を上げて合図をし、再び鑑識たちに向きあった。
藤野刑事は迎たちの後輩に当たる。
「お疲れ様です」
「お疲れ。それより、ガイシャは?」
「こっちです」
遺体には青いシートがかぶせられている。
三人はそっと腰をかがめる。藤野がゆっくりとシートをめくる。
「こりゃひでぇ……」
稲垣が顔をしかめる。
稲垣を尻目に、藤野が説明し始めた。
直接の死因は放火による焼死。おそらく瀕死の状態でガソリンをかけられ、火を放たれた。
「しかし、身体には殴打の痕が無数に残っていました。頭蓋骨にひびが入っていましたし、骨折箇所も多数。そして数え切れない外傷と内出血。それから、あっちを見てください」
藤野に促され、その方向を見た。コンクリートにはチョークでたくさんのマルが書かれていた。それらは被害者の血痕など。
それが遺体の位置から広範囲に広がっていた。
「ほとんど撲殺されたといっていいでしょう」
「それほどひどい傷跡だったわけか」
「それでは、火を放ったのは」
「止めを刺すつもりだったのかもな」




