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L3 killing of genius "H"  作者: 迫田啓伸
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H、暴走……

「ヤクザがついているなら、刺青ぐらいしているだろ? どんなのか、見てやる!」

 男の口から血と歯のカケラが飛ぶ。

 倒れたと同時に男に襲い掛かり、シャツを引き裂く。

 刺青はなかった。

「ヤクザじゃないのか! おい、なんで私を選んだ? 私がおとなしそうで、すぐに金を払いそうだからか! 聞いてるのか!そう思ったんだな! なめやがって!」

 男の首がかすかに横に動く。

 それが私の癇に障る。

「何だ、コラァ! まだ私に逆らう気か! お前のようなただの犯罪者ごときが、私に逆らえると思っているのか!」

 男をうつぶせにし、右手を開かせてアスファルトに置く。

 その指の一本をにぎり、力任せに、曲がらない方へと力を加える。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!」

 残る指も同じようにねじり上げる。

 そのたびに男は割れんばかりの大声で、悲鳴を上げた。

 私は許す気にはなれなかった。

 左手の指も、折るつもりでいた。

 私やSさんが真面目に働いてもちっとも報われないのに、この男は罪を犯していながら、毎日楽しげに暮らしている。

 ルックスも悪くないことから、交際相手もいるだろう。

 何の苦労も知らないような奴が、私よりも幸せに暮らしているのが、気に入らない。

 そう言う私も、苦労という苦労はしていないかもしれない。

 

 くだらない。

 

 実にくだらない理由で、私は暴力を振るっている。

 そして既に何人か殺している。

 しかし、過ぎたことは取り返せない。このまま気が触れたままで、生きるしかない。

 左手の指を折る。また悲鳴が上がる。

「うるさい! 静かにしろ!」

「あああああっ!」

「男だろ! わめくな! お前の罰はこんなものじゃないぞ!」

 ポキッ。


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