H、回想に苦しめられる-3
その父の信金が破綻した。
母は父を口汚くののしった。
生活できないと言っていた。
姉は家を出て行った。
福岡県内の、聞いたことのない地区に引っ越していった。
私は失業したまま、家に残ることになった。
生活スタイルは変わらなかった。
父は職安に通い続けた。
昔の事を持ち出し、両親に文句を言ったこともある。
が、その多くが弾かれた。
私が無職であるということから、逆に説教をされた。
父の希望する仕事など職安にあるわけがなかった。
父も私と同じ無職になると思っていたが、再就職した。
私はコンビニの店員になった。
母もパートに出た。
親は疲れて愚痴ばかりこぼすようになった。
どれだけ頑張っても、私が誉められることはなかった。
あるのは「頑張ることが大事」だというごまかしだけ。
再び腹に強烈な痛みを感じる。
意識がフラッシュバックから現実に戻った。
が、目の前が暗くなっていく。
「らぁ!」
蹴られた。
体が男から引き離される。
背中がアスファルトに打ちつけられる。
だが、すぐに起き上がる。私自身も興奮し、怒りで我を忘れかけていた。
体に多少の痛みがあっても、恐怖は感じなかった。
記憶が混乱していた。
フラッシュバックが繰り返され、今、実際に目の前で起こっているように感じられる。
一方で、今、この場の出来事が、消えていくときがある。




