H、回想に苦しめられる
フザケンナ、と教室内で罵倒された。
クラスメートたちは遠巻きに私を見ていた。
中にはニヤニヤと醜悪な笑顔を作っている奴までいた。
私と向かい合って立っているのは、クラスの人気者の男子だった。
成績もよく、部活でも活躍していた。当然先生からの信頼も厚かった。
立ちすくんでいる私に対し、彼は言った。
「なんで、お前みたいなブスと付き合わなくてはいけないんだ。鏡を見ろ!」
このとき、周囲からクスクス笑いが起こった。
私はいたたまれなくなり、椅子に座った。
時々私に視線を送り、ニヤニヤする奴がいた。
どうしてこういうことになったのかは、今でもわからない。
一瞬、意識が飛んでしまっていた。
男が息を吹き返し、私の腕をつかんできた。
怒声を飛ばしながら、私を殴り、腹を蹴って私をアスファルトに引きずり落とす。
「このクソ女!」
そして、逆に私は組み伏せられた。
私は小さくなって机に座っていた。
隣には母がいて、正面には先生がいた。
母は強い口ようではっきりと宣言した。
「○●高校に行かせるつもりです」
「しかし、Hさんは××高校を希望していますし、偏差値もこちらのほうが安全圏です。○●高校はレベルが」
「いえ、この子の将来のためにも○●高校に行かせます」
「お気持ちは分かります。でも、大切なのはどこの高校に行くかではなく、高校で何をするかです。いくらHさんの姉が行っているからといっても」
「私たちはこの子の将来のために、○●高校を勧めるんです。××高校へ入ったって、なんになるのです? どこの大学にいけるというのですか?」
「高校は大学へ行くための予備校ではないのですよ?」
「それは建前です。現在、どこの大学を出たかで人生が決まっているのが、現実ではないですか?」
私が言葉を挟む隙はなかった。




