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一章♢ ありがちな前世の記憶? 07

「そうですね、あまりにも長いと王家連中に目も付けられるでしょうし。」


王家やら国やら、人間は大変ですよねぇとアクアエリオスは頭を振った。確かに、神様からすればこの世界の全ては平等で、その世界をわざわざつぎはぎに切り離している人間は、浅ましく見えるのだろう。

うんうんと頷きながら、フレイアがシュバッと手を挙げた。


「じゃ、サッサと加護を与えるよ! まずはアタシからね! アタシがサラの前世の事見つけたんだし!」


「では次は私ですね。私は前々世の記憶の欠片集めをしましたし!」


「そういう事ならそん次は儂じゃな。この集まりの声掛けに世界への調整なんぞは儂がやった! 儂が順当じゃろうて。」


「じゃあ、次は僕、かな。世界への調整とか、手伝ったし。」


「えー! 私! 私はぁ!? どうして最後なのぉ!? サラちゃんの魂は私の管轄だったんだしぃ、ライラちゃんの加護も私が与えてるのよぉ! 私が一番でも」


「有り得ないっての!」「ふざけるんじゃ有りませんよ売女が」「それはないのぉ」「却下、かな」


……おぉ、なんとも綺麗に否定の言葉が被った。

神様全員が私一人に加護を与えてやろうと順番を競い合う、というなんとも非現実的な光景に、少し、理性というか常識が飛んでいたようだ。


「いや。」


「ほらぁ! サラも嫌だって! やっぱりアタシからが」


「そうじゃあないんですよ!!!」


またしても、キンキンと神殿中に響き渡る声量で叫んだ。

順番なんてどうでもいい、でも、そういう事じゃない!


「私! 神様の加護なんて、いりません!」


「「「「「えっ」」」」」


神様の加護?冗談じゃない!

そんなものをもらってしまえば、それこそ王家、いやこの世界の国すべてに目をつけられてしまう。

そうすれば、結果として王家からの暗殺や他国からのスパイ……考えるのも恐ろしいような人生を歩まなければいけないだろう。

ちょっと恐ろしい想像までしてしまい、ブンブンと首を横に振ってイメージを振り払う。


「怖い怖い想像するだけで怖いありえない無理無理私今10歳でしょ死ぬ無理絶対死ぬ殺される」


「え、ちょっ……サ、サラ、さん……?」


前世の記憶に引きずられたのか、右手親指の爪を噛みながらぶつぶつと呟いていると、突然の変化に戸惑ったアクアエリオスに声をかけられる。


「絶対! 絶対に神様の加護はいりません! 結構です!」


「じゃ、じゃが……加護はあるに越したことはなかろう? なんぞ将来の役に立つじゃろうし、のう?」


戸惑いの表情を浮かべる神々を尻目に、私は叫んだ。


「今度こそ! 老衰で死にたいんです!!」


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