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一章♢ ありがちな前世の記憶? 06

「特に前々世は、零れ落ちたモノを掻き集めたものですし……かなり、大雑把なところしか残っていないはずです。前世も、細かなところは忘れてしまったかと。」


「……はい、そうみたいです。」


まず、前々世の『自分の名前』が思い出せない。顔や体つき、住んでいた部屋の間取りは思い出せるのに、部屋や土地の名称が分からない。小さい頃の記憶は霞のようで、ないに等しい。

どうでもいいようなことは思い出せるのに、肝心なことが分からない──。

また、前々世の記憶を取り戻したことで、前世の記憶にもムラが生じている。クリアに思い出していたはずの前世も、思い出せないところがあるようだ。


「その様子ですと、記憶の定着はきちんと終了したようですね……あぁよかった。」


こんなこと、数えられるくらいでしかしたことないですし──という、怖い言葉が聞こえてきた気もするが、それもそうだろうなと聞き逃しておくことにする。

というか、何回かしたことがあるのか。


「アハ、前世の記憶を戻したげることすら稀っていうかやんないもんね! 前々世とかハジメテだしぃ?」


めんどくさぁい、という声が聞こえそうな雰囲気。まぁ神様だからこそ許される言い訳だろう。


「さて、ここからが今回の本題じゃのう。」


……本題?と首を傾げると、グラインドはぎょっと体を揺らして目を見開いた。


「いや、お前さんくらい記憶を操れる子供なら、今日という日を人生の一大事と捉えると思うたんじゃが……?」


──ハッ!

そこまで言われて、ようやく思い出した。本題の前の話が濃すぎる上に長かったせいで、すっかり今日の目的が頭から抜け落ちていた。

今日の本題は『神の祝福』だ!

現状に気づいてバッと神々を見上げると、なんと全員がなんとも『良い笑顔』でこちらを見下ろしていた。


「そう、今日の本題は『神の祝福』、だよ。」


「そーそー! 神の、ね!」


「うふふ、楽しみだわぁ。どんな加護を与えようかしらぁ?」


「お前にその権利があると思ってるんですか? なんと厚かましい……。」


「やめいと言うのにお前さんらは……。いい加減にせにゃあ更に嫌われていくぞ?」


「ちょっ、私まで嫌われているような言い方はやめてくださいよ!?」


「……そろそろ、話が進まないと、今日中に、終わらなくなりそうだよ?」


「えっ……それは困るんですけど……。」


思わず素で声を挟んでしまった。だが、本当に困るのだ。

只でさえ普通の神託より時間が掛かっているのに、これ以上時間が掛かってしまえば両親が心配する。

それはもう、ものすごく。

ニホン風に言えば、度の過ぎた親バカなのだ。



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