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一章♢ ありがちな前世の記憶? 04

「まぁっしろにして、転生させてやる。これは儂ら神の役目で、義務ってもんじゃ。儂らの世界の都合のいいようにするんじゃ、せめて苦痛のないようにするんが筋だからのぉ。」


「それをエーテルコラがサボったのが元凶なんだよ。んで、アンタの前世のアレクサンドライト・シシリクス……だっけ? それが死んだ時に発覚したの」


ずっと黙っていたフレイアが口を開き、グラインドの言葉を引き継いだ。先程と違い、グラインドに噛み付くでもなく淡々と喋り出す。


「魂に情報を残しすぎると、次の自我が崩壊する事が多くて逆にメンドイんだよ。だから〜、前世の情報以外はシャットダウン! ん、シャッターアウト? すんの!」


「シャットアウト、の事? フレイア。」


「あ、そうソレ! 流石ライアルエア! で、そのシャットアウトは魂の方が許容オーバーだっつって勝手にやってくれんの。アタシらは暇つぶしにその情報を見てたりするんだけどさ、そこでアレクサンドライトの魂の異変に気付いたってわけ。」


もし見てなかったら気づかれないまんまだし、とフレイアは良い事をしたと言う顔で笑う。


「アレクサンドライトは本来、もぉっと長生きする予定じゃった。それを、前世の記憶の残滓という歪なモンが、捻じ曲げてしまった。……儂らの都合が、お前さんの前世を終わらせてしまった。じゃから、のう。」


せめて、今を生きる「サラ・アステリア・メルディロード」というお前さんが、少しでも幸福であるように。グラインドはそう締めくくった。

シンとした神殿で、言い争いを止めたアクアエリオスがエーテルコラの頭を叩いた。


「う……ごめんなさぁい。」


「ちゃんと謝罪の意を見せなさいよ貴方……。兎に角、このバカがしでかした事に気付くのが遅れてしまったのは、私にも責任があります。本当に、申し訳ありません。」


改めて、と深々と頭を下げられる。アクアエリオスはどうやらエーテルコラのお目付役も兼ねているようだ。

五柱は対等のはずだけれど、やはり文献とは相違があるものなんだなぁ。

だけど正直、実感は湧かない。死んでしまった記憶を取り戻したのも随分前のことだし、その上、今見せられた過去のことなどただの記録だろうと思う。

記憶を戻されたことで湧き上がった恨みも、あるにはあるものの、どこか乾燥していて客観的で理性で留められるようなまさに「アレクサンドライトの残滓」というレベルなのだ。


「もう、終わってしまった事です。今の私に、わざわざ伝えることでもない気がします。」


「ええ。ですから、私たちの償いなのです。自己満足と言われても仕方のないこと。」


いくら神でも、時を戻すことも死んでしまった人格を戻すこともできないのですよ。とアクアエリオスが苦笑した。


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